漆黒の闇の中にテーブルが浮かび上がった。
重厚なテーブルだが実際は立体映像のようだ。
そこに座っている人物はたった一人。
そのテーブルの大きさがかつての同志の数を思い返させる。
男は一言も発せずただ座っていた。
何を考えているのか、男の目はバイザーに覆われうかがい知ることはできない。
「………碇、このまま終わらせはせんぞ」
そうつぶやくと男は消えた。
後にはただ闇だけが取り残される。
コポ、コポ、コポ、
それぞれに口から空気を吐き出す物体達。
LCLの中にあっても美しい姿を惜しげもなくさらしている。
だが開いたその瞳に生気はない。
ドックン、ドックン、ドックン………
微動だにしない白い巨大な固まり。
だが生きている生命だと自己主張するかのように鼓動が洞窟の中に響いていた。
<葛城家、夜>
「はぁ疲れた…」
暇だ暇だと言っていた頃が懐かしい。
家に帰れるだけマシね〜と思いつつ自分の部屋に向かうミサト。
既に時計は午前2時を回っている。
チラ、とリビングをのぞく。
「…あらあら」
シンジ、アスカ、レイが仲良く並んで眠っていた。
おそらくはレイをどっちの部屋で寝かせるかで揉めたのだろう。
シンジとアスカは真ん中のレイを抱いて眠っていた。
ミサトはそっと3人に布団をかけ直してからその寝顔を眺める。
(…シンジくん起きるかと思ったけど起きないわね。そういえばアスカの気配を察知できないとか何とか言ってたわね。家族には警戒を解くってことか。なら、私もちゃんと家族と認知してくれてるってことね。)
3人を見ながら微笑むミサト。
(…あたしたち大人に何かあっても、もうこの子たちだけで十分生きていけるわね。本当はこの子たちを戦いに巻き込まずにすめばいいのに…)
「ふわぁぁぁぁ〜…寝よ寝よ」
ミサトはリビングを出ると扉を閉めた。