【新世界エヴァンゲリオン】

 

 

 

 

<葛城家リビング>

 

 

「あーあ、暇ねぇ〜」

ソファにもたれてミサトが言った。次の瞬間、2対の視線に貫かれる。

「さぼってんじゃないわよ!!」

「暇なんだったら僕達に押しつけないで下さい!」

アスカとシンジが文句を付ける。

「ごみんごみん」

ミサトは両手を合わせて謝った。

「クエ?」

横になったペンペンが何事かと鳴く。

3人のノートパソコンの画面には2年生の英語のテスト答案がずらりと表示されていた。

数学など答えがはっきりしている科目と違い英語は多少ニュアンスに違いがあっても意味は合っている場合がある。そしてそこまで評価する高度なコンピュータが学校にあるわけもない。というわけで結局は教師が一つ一つ答案をチェックすることになる。

「だいたい去年までは一人でやっていたんでしょう?」

シンジが当然の疑問を口にする。

「うーん、それはそうなんだけどさ。この街も復興して移住したり帰ってきた人が増えたでしょ? 生徒数も軒並み増加中ってわけなのよね〜」

「だからって生徒に答案の採点をさせる教師がどこにいるのよ!」

アスカの言うことは至極もっともである。

だがミサトに言わせれば、『そこらの教師なんかよりよっぽど英語に堪能な人材が二人もいるのよ? 使わなきゃ損でしょ』とのこと。

結局、二人はいくつかの交換条件により採点を手伝っている。手伝っていると言えば聞こえがいいがほとんどミサトは何もしていない。ビールを飲んでないだけましである。

ちなみに2018年初頭。

年明け試験の真っ最中。

一般の学生なら悲鳴を上げている時期である。昼間もトウジをはじめ一同が教えを請いにやってきていた。

「試験勉強? 私たちがなんでそんなものするわけ?」

「普段の授業をきちんと受けていれば大丈夫だよ」

二人の言葉を聞いて暴れたくなる一同であった。

 

 

(…ま、それも平和だってことだよね。)

シンジは答案にチェックを入れながら考えていた。

着々と臨戦態勢を整えつつあったネルフだったが、予想に反して敵の攻勢もなく拍子抜けしていた。

「修理がおっつかないのか、時期をはずして奇襲をかけてくるのか、どっちにしてもさっさと片を付けておきたかったわね」

平時シフトに変更したときミサトが言った。

「そうね。でも、おかげで七号機を直す時間が稼げるかも知れないわ」

「俺達の仕事が長引くのは嫌だねえ」

結局、警戒を怠らず日々を過ごすこととなったわけだ。

アスカ達のように何も知らない者達は平和を謳歌していたがゲンドウ以下の面々は素直には喜べなかった。

 

 

 

 

 

 

【第拾四話 日々これ平穏】