【新世界エヴァンゲリオン】
チルドレンのお部屋−特別編−
新世界打ち上げ兼キャラクター座談会
<ネルフ本部特設会場>
一同『ガヤガヤガヤガヤ』
(何やらもめている)
一同『ガヤガヤガヤガヤ』
作者「………」
女性陣『◎×△!!』
作者「!?」
(何やら提案したようだが女性陣数名の攻撃により沈黙)
一同『………………』
(どうやら決したらしい)
一同、座布団をもってそれぞれの席に散る。
シンジが一人先頭に座りその背後にずらりと登場人物が整列して座っている。
シンジ「コホン」(一つ咳払い)
シンジ「どうも読者のみなさんこんにちは碇シンジです。一応は主人公のはずですので…」
(後ろから「一応」とか「はず」を撤回するよう声が上がる)
シンジ「あ、ごめん。えー本作品の主人公としてこの会を始めるに当たり御挨拶を…やっぱり誰か代わってくれない?」
(後ろから「総司令が何を言う」とか「お前には失望した」とか声が上がる)
シンジ「仕方ないなぁ…みなさまのおかげをもちまして僕たちも作者もどうにかここまでやってこれました。新世界を初めて公開してからかれこれ2年あまり本編が完結してから1年と半年、外伝も十話ということでなんとか一段落つきました。つきましてはチルドレンのお部屋特別編ということで座談会と銘打って打ち上げ会を執り行うことになりました。それではみなさんごゆっくりとお楽しみ下さい」
一同『パチパチパチパチパチ』(一同拍手)
シンジ「じゃ、ミサトさんお願いします」
シンジのすぐ後ろに座っていたミサトが立ちあがると前に進み出る。赤いジャケットに腕を通すと気合の入った目で声を発する。
ミサト「総員第一種戦闘態勢!」
一同一斉に立ち上がるとばたばたと動き始める。一見混乱しているように見えるが、軍事関係者が大半を占めるだけあってその流れには無駄が無い。いくつものテーブルが用意され、その上に次々と物資が置かれていく。
ミサト「地対地迎撃戦用意!!」
なにやら空気が抜けるような音に続いて何かが落下する音、泡立つ音などが続き、各所でなにかをすすめ、すすめられる声が上がる。
ミサト「準備はいい?」
手には大ジョッキを握っている。中身については今更説明する必要はないだろう。一同の手にも大小の違いはあれど同じものが握られている。(未成年者のコップには別の物が入っている)
ミサト「コホン。…では一言。新世界を始めるに当たって作者はハッピーエンド云々の話をしました。同じように宴も楽しくなければ意味がありません。よって一同、心の底から楽しむように! なおネルフ副司令権限により拒否は認めません」
一部の拒否権を持つ者を含めて一同同意する。
ミサト「そりでは、かんぱーい!!」
一同『乾杯!!』
<最上級幹部トリオ席>
ミサト「ぷっはぁーーーーっ!!」(一息で大ジョッキをあける)
ミサト「さぁじゃんじゃん食って飲んで!!」(自分が率先して実行する)
リツコ「…太るわよ」(冷たい視線)
ミサト「ぐっ…ごほっ! げほっ!!」
リツコ「…汚いわね」
ミサト「あ、あんたがやな事言うからでしょ!」
リツコ「事実じゃない」
加持「まぁまぁお二人さん。そう心配することはないんじゃないか? ここは完結した本編はもちろん外伝からも独立した場所だ。再登場する可能性はかぎりなくゼロに近い」
ミサト「だからなによ?」
加持「つまり宴が終わればそこでチャラ」
ミサト&リツコ「「………」」(目を見合わせる)
ミサト&リツコ「「………」」(黙々と食事にかかる)
加持「おいおい」(苦笑)
<引き続き、最上級幹部トリオ席>
ミサト「だいたい加持は他に付き合ってくれそうな奴がいないから仕方ないとしてリツコはなんでここにいるのよ?」(もも肉をつきつける)
加持「おいおい亭主にそりゃないだろ?」
リツコ「ここは私たち三人の初期位置になってるからよ。…嫌ね、ミサトと一括りなんて」
ミサト「だったら碇司令の所にでもいきゃぁいいでしょ。レイと一緒に家族水入らずでもしてれば?」
リツコ「そう思ったんだけどレイがいないのよ。集合場所にも来てなかったしどうしたのかしら?」
加持「レイちゃん、あんなにチルドレンのお部屋に出たがってたのに妙だな?」
<第一発令所>
『…目標は第一戦闘速度で南下中、目標への到達予定時刻は…』
『…了解。データは速やかにバルタザールからカスパーへ…』
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
マナ「で、なんでまたあんたが隣なのよ?」(隣に座るカヲルを睨み付ける)
カヲル「やぁ奇遇だねマナ」(さわやかに笑う)
アスカ「あら外伝では付き合ってらっしゃるんですし恥ずかしがることもないと思いますよ?」
マナ「あ、あのねアスカ、私は…ぐっ」
アスカ「はい? どうかなさいました?」
言い返そうとしたマナ、対面に座るアスカを見て言葉に詰まる。
アイを抱いているアスカは良妻賢母モード。20代後半、非常に落ち着いた雰囲気と暖かな空気を周囲に発している。高校生モードの面々は(一部の者を除き)目が合って微笑まれるたびに赤面するという状態を繰り返していた。
マナ「あ、あのア、アスカさん」
アスカ「はい? なんでしょう?」(優しく微笑む)
マナ「う、うう、私は負けません」(何とか踏みとどまる)
マナ「し、失礼かもしれませんが、そ、そのモードを、そのやめて…くれませんか? …私たち、外伝でも、そのモードは知らないから対応に、こ、困ります」
アスカ「あら気がつきませんでした。ごめんなさいね。少しお待ちになって下さい」
アイを連れてゲンドウと冬月の座るテーブルに。ほっと息を吐く一同。
一方、アスカは驚く冬月となんとか耐えるゲンドウにお酌をした後、丁寧にアイのことを頼み込む。快諾してもらうと嬉しそうに笑って冬月とゲンドウを赤面させた後、元のテーブルに帰参。
アスカ「またせたわね」(瞬時に口調と服装、若干の体型が変わる)
アスカ「だいたい、あんた達同棲してんでしょ? 今更じたばたしたって無駄よ」
マナ「ど、同棲なんかしてないわよ! 人聞きの悪いこと言わないで!」
静かな声「…そうなの?」
カヲル「そうだよ? 部屋は隣だけど一応住んでいる所は別さ。そういう意味では昔のシンジ君とアスカ君にも及ばないね」
マナ「ほ、ほらみなさい」
カヲル「ただ、たまに同じ場所で朝を迎えることもあるけどね」
マナ「ちょっ!?」
静かな声「…そう、よかったわね」
マナは真っ赤になっているが騒がない一同。すでに結婚しているペアさえいるのに今更といった所だろう。落ち着きが戻って一同わいわいと宴会を楽しみ始める。
静かな声「…
アスカ「えぇいうっとうしい!」(『静かな声』と書かれたプラカードを奪い去ると地平線の彼方に放り投げる)
レイ「あ…」
アスカ「あ、じゃないでしょ! あ、じゃ!?」
レイ「…そう?」(首をかしげる)
アスカ「だいたいなによあのプラカードは?」
レイ「“彼女”と区別を付けようと思って…」
アスカ「そんなの見りゃわかるでしょ? いくらそっくりでも髪も目も肌も全部色違いなんだから!」
レイ「だって…絵…ないもの」
ケンスケ「確かにもっともな意見だね」
トウジ「せやな」
上座に座るシンジ、落ち着いて一言。
シンジ「ねぇトウジ。トウジは綾波のことをなんて呼ぶの?」
トウジ「うん? 綾波、やけど?」
シンジ「じゃあ僕の妹のレイのことは?」
トウジ「…レイ坊、やな」
シンジ「ケンスケは?」
ケンスケ「綾波は綾波、レイちゃんはレイちゃん、かな?」
シンジ「綾波のことをレイって呼ぶのは?」
アスカ「…アタシとミサト、リツコ…」
シンジ「うん、昔の発令所…ネルフのメンバーだね。あとカヲル君もかな?」
カヲル「そうだね」
シンジ「その中で僕の妹のレイをレイって呼ぶのは、アスカと父さん、リツコさん、ミサトさんくらいじゃないかな?」
カヲル「そうだね、僕も彼女のことはレイ君、と呼んでいるし」
マユミ「あとのみんなはだいたいレイちゃん、ですね」
シンジ「だからアスカと父さん、リツコさん、ミサトさんさえ間違えなければ特にレイで区別する必要はないんじゃないかな?」
レイ「…そう?」
アスカ「そうなの! いいわね!?」
レイ「…わかった」
マナ(え? え? 今ので話が終わるの?)
トウジ(なんやようわからんけど納得してしまいそうやな)
ケンスケ(さすがだなシンジ)
マユミ(ふふふ、このおひたし美味しい)
シンジ「そういえば肝心のもう一人のレイがいないね」
アスカ「あれ? そういえばそうね」
カヲル「道にでも迷ったかな?」
マナ「そりゃあんたでしょ」
アスカ「ちゃんと時間と場所を書いたメモをポケットに入れといてあげたんだけど」
トウジ「そならそのうち来るやろ。華奢に見えてもシンジと惣流の妹や。ちょっとやそっとのことでどうにかなったりせぇへんわ」
アスカ「そうね。じゃ、次の議題に移りましょうか」
ヒカリ「次の議題なんてあったの?」
アスカ「当然。そことそこ、いつ結婚するの?」(マユミとケンスケ、マナとカヲル両ペアを指差す)
ヒカリ「そういえばそうね」
マユミとケンスケ落ち着いたまま、
ケンスケ「ん? だから勘違いだって言ってるだろ?」(戦自にこの人ありモード)
マユミ「結婚ですか? いい人がいたらしてもいいですねぇ」(一見天然、本音は不明の若先生モード)
アスカ「うっ。あんたたち、いつの間にかあたしよりうわてになったわね」
ケンスケ「ま、適材適所さ」
マユミ「料理の腕はとてもアスカさんに及びませんね」
アスカ「…仕方ないわね、そっち………あんたはもっと面倒ね」(カヲルの顔を見た瞬間追求する意欲が失せる)
アスカ「ということは…」
マナ「え?」
アスカ「マ〜ナ〜ちょっといらっしゃーい」
マナ「えっえっ」
<外伝・ガールズテーブル>
マリナ「私たちこんな所にいていいの?」(苺ショートケーキに手を伸ばす)
キョウコ「問題ないでしょう。数少ないレイの親友という立場によって正式に招待されている訳ですから」(湯飲みから立ち上る玉露の香りを楽しんでいる)
マリナ「もぐもぐ…そのレイがいないわよ?」
キョウコ「それはレイの問題であって私たちの問題ではありません。…ずずず。そんなことよりこの豪華な出席者をご覧なさい。誰であろうと親交をもてば、人生にプラスとなることは間違いありません。では早速…」
マリナ「あ、ちょっとキョウコ!! まだチーズケーキが!」
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
カヲル「アスカ君もすっかりミサトさんにそっくりになったね」
シンジ「そういうカヲル君も“アスカ君”と“ミサトさん”が定着したね」
カヲル「おや?」
ケンスケ「まぁいいじゃないか。とりあえず約束通り一杯やろう」
トウジ「せやせや」
カヲル「そうそう、確かこの前神戸の方でもらってきたお酒が…」(どこからともなく一升瓶を取り出す)
ヒカリ「ちょっとあなた達未成年でしょ!」
ケンスケ「俺達は未成年じゃないよ委員長」
ヒカリ「え?」
トウジ「せやな」
ヒカリ「えーと、それは確かにそうだけど…」
カヲル「日本酒はいいね。身も心も癒してくれる。日本人の生み出した文化の極みだよ」
ヒカリ「な、なにか納得できない…」
マユミ「まぁまぁヒカリさん。適度なアルコールは健康にいいんですよ。さ、どうぞ一杯」
ヒカリ「あ、ありがとう」
マユミ「ところで赤ちゃんはいつ頃です?」
ヒカリ&トウジ「「ぶっ!!」」
<新旧発令所要員テーブル>
瀬名「ふぅぅ」
マヤ「あらどうしたの瀬田君?」
瀬名「あ、伊吹部長代理」
日向「こらこらその呼び方は駄目だろ?」
瀬名「あ、すみません」
青葉「まぁ、リラックスして楽しめよ」
瀬名「はぁ」
マヤ「ふふ、瀬田君て可愛いですね。アスカがいじめるのがわかります」
瀬名「え、えぇーっ!?」
青葉「そこで狼狽するから追い討ちがかかるんだよ」
日向「まだ修行が足りないな。もっと精進するように」
瀬名「は、はい」(なんだかとんでもないことを聞いた様な気がするんですが…)
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
ヒカリ「マ、マユミ!?」
マユミ「お店も忙しいでしょうけど、せっかくトオルさんとフミエさんも入られたことですし」
ヒカリ「い、いやそういうことじゃなくてね」
マユミ「母子の健康のことを考えると…」
ヒカリ「だからお願いマユミ」(涙目)
<オリキャラ外人サポーターズテーブル>
ジョニー「良い子のみんな元気にしてたか!? ジョニー様だ! HAHAHA!!」
ジャネット「ハーイ、お久しぶりのジャネットお姉さんよ!!」
ジョニー「本編じゃあいにくと死んじまったが!」
ジャネット「外伝にはすこーしだけど出てたし!」
ジョニー「このお部屋にも出れたってわけさ!!」
ジャネット「OK?」
ジョニー&ジャネット「「HAHAHAHAHAHA!!!」」(妙にハイな二人)
ラン「…うまいものだな、この八つ橋というものは」
アーチャー「お前…そばであれだけ騒いでいるのによく平気だな」
ラン「なにがだ?」
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
カヲル「聞く所によると赤ちゃんがほしいかい、というような路線でプロポーズをしたそうだね」
トウジ「そ、そないなことは」
ケンスケ「約束をたがえるのは男らしくないなトウジ」
トウジ「お、お前もか」
それを見ながらシンジぼそりと一言。
シンジ「子供は可愛いよ?」
<引退組テーブル>
ゲンドウ「………冬月」
冬月「…なんだ?」
ゲンドウ「…………」
冬月「…………」
ゲンドウ「…………」
冬月「…孫を抱きたいならそう言えばよかろう?」(ゲンドウの視線から察しをつけた)
ゲンドウ「…いや」
冬月「お前の孫だ、恥ずかしがることもあるまい」
アイは冬月の懐でおとなしくしている。
ゲンドウ「…冬月先生」
冬月「?」
なにやら複雑な表情をしているゲンドウを見て不審に思う。
冬月(何か知らんが、抱きたいというのは間違いなかろう)
冬月「アイ君。君のおじいさんは恥ずかしがりやでな。君を抱きたいのだが自分から言いだせんのだ」
アイ「ほんと?」(目が輝く)
ゲンドウ「ま、まて冬月!!」
冬月「ああ、だからアイ君の方から行ってあげなさい」
アイ「はーい!! おじーちゃーんっ!!」
素直に冬月の言うことに従いゲンドウの懐へ跳び込む。
ゲンドウ「よ、よせアイ!!」
冬月(うんうん。素直でいい子だ)
微かな悲鳴となにやら鈍い音が聞こえたがうんうんと頷いていたので気づかない冬月。
アイ「おじいちゃんもっとあそぼ!」(ゆさゆさとゲンドウを揺さぶる)
何時の間にか倒れているゲンドウを見て怪訝そうな表情を浮かべる冬月
冬月「………碇?」
ゲンドウの頭の回りでぴよぴよとヒヨコが回っている。
『KO』Winnerアイ・イカリ。決め技:フライング・パワーボム。
<最上級幹部トリオテーブル>
ミサト「…碇司令って結構体格良かったわよね?」(冷や汗が伝っている)
加持「…やはり、シンジ君とアスカの子供というだけのことはあるな」(やや笑いがひきつっている)
リツコ「最近アイも成長期なのかどうか知らないけど、以前にもまして強力になったのよ。ここ1ヶ月くらいあの人と会うたびにKOしてるわよ」(平然としている)
ミサト「道理でアイちゃんを抱くのを躊躇していたわけね」(言いつつえびちゅに手を伸ばす。いつのまにやらジョッキから缶に変わっている)
加持「レイちゃんもあそこまでは強力じゃなかったな」
リツコ「そう? 小さい頃はシンジ君が来るたびにタックルしてたと思ったけど…あら、噂をすれば」
二人「「え?」」
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
レイ「………」(コップを口に近づけた所で止める)
シンジ「綾波? …あ」(なにかに気づいた様子)
カヲル「どうやら到着のようだね」
マナ「なに、なんの話?」(息が荒い。どうにかアスカの手から逃れたらしい)
カヲル「耳をすませてごらん」
マナ「え?」
ケンスケ「………なんだこの振動音は?」
アスカ「………」(会話からなにかを察したのかすっくと立ちあがる)
アスカ「…ほんとにあの子は」
キキキキキキキキ!!
ガン!!
ドン!!
そんな音を残してなにかが飛び込んできた。
レイ「とーーーーーちゃーーーーーくっ! …いっ!?」(飛んでいく先にアスカを見つけて青ざめる)
アスカ「時間にルーズな子は…」(くるりと右脚を軸に回転する)
レイ「わーっ!? お姉ちゃんタイムタイム!!」(空中を飛んでいるため回避行動に移れない)
アスカ「駄目って言ったでしょーーーーーーーっ!!」(見事な回し蹴りを放つ)
レイ「きゃーーーーーーーーっ!!」(悲鳴を上げながらも両足の裏をそろえて蹴りを受け、動きに逆らわず蹴りのエネルギーのベクトル方向に跳ぶ)
アスカ「ちっ」
レイ、三角跳びの要領で、天井間際の壁、そして天井を蹴り勢いを殺すと落下する。
アスカ「腕をあげたわね」(構えを崩す)
レイ「ほっ」
<引退組テーブル>
アイ「おじいちゃん、おじいちゃん!」
ゲンドウ「…う、うむ」(やっと意識が戻る。ゆっくりと身体を起こすと立ち上がる)
ゲンドウ「ふっ、相変わらず元気だなアイ」(落ち着いて眼鏡を直し、体裁を整える)
アイ「うん! …あ、レイおねえちゃんだ」(上を見上げる)
ゲンドウ「?」(…なぜ私の頭上を見るのだ?)
見上げるゲンドウの真上からなにかが落下してきた。
<最上級幹部トリオテーブル>
ミサト「お、思うんだけど、レイもアイちゃんも大差ないわね」(脂汗を流している)
加持「そ、そうだな」(顔が青ざめている)
視線の先では何やら白目をむいたゲンドウを今度はレイががくがくと揺さぶっている。
レイ「父さんしっかり! 父さんってば!!」
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
アスカ「あ、このお刺し身美味しい」
シンジ「うん、本当だね。綾波も少し食べてごらんよ」
レイ「…‥‥」コクリ
まったく動じていない三人。
ケンスケ「きっと日常茶飯事なんだな……」
トウジ「うちのお偉いさんは身体が丈夫じゃないとつとまらん」
ヒカリ「ねぇトウジ、じゃなかった鈴原、なにかずれてない?」
<引退組テーブル>
リツコ「はいはい、ちょっと待ちなさい」(レイを止める)
レイ「あ、母さん! どうしよう!? 父さんをノックアウトしちゃった!」
リツコ「知ってるでしょ? この程度でどうにかなる人じゃないわ。ほらゲンドウさん朝ですよ」(ぺちぺちとゲンドウの頬を叩く)
ゲンドウ「う、うーん」
レイ「ほっ」
リツコ「大丈夫ですかゲンドウさん?」
ゲンドウ「…う、うぅむ」(ゆっくりと立ち上がる)
レイ「父さん?」
ゲンドウ「……」(レイに視線を向ける。どうやらまだ意識がはっきりしていないらしい)
レイ「?」
ゲンドウ「ふっ、白か…問題な…」
レイ「きゃああああああーーーーーーーっ!!!」
ガン! ガコン! ドキャーン!!
<最上級幹部トリオテーブル>
ミサト「………誰よ、レイにあんなの教えたの」(つい、えびちゅの缶を握り潰してしまった)
加持「………アスカ…じゃないな。骨法は知らんだろう」(飛び出したビールをかぶってしまった)
<引退組テーブル>
リツコ「…側頭部に曲がり。すかさず顎を掌打で跳ね上げ、そのまま振り抜いた後、とどめに浴びせ蹴り…」(あくまで冷静に分析している)
レイ「あ、あはははははは」(もう笑うっきゃないよね)
冬月「…とりあえず息はあるようだな、しぶとい男だ」
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
カヲル「やぁアイ君どうしたんだい?」
アイ「おばあちゃんがあっちにいってなさいって」
カヲル「そうかい。…りんご食べるかい?」(シュルシュルシュルと皮をむく)
アイ「うん!!」
レイ「あっ! 綾波さんこんにちはーっ! お久しぶりです!!」
レイ「………そう?」
レイ「そうですよ!! もう、ちっとも遊びに来てくれないんですから! あ、ここ座っていいですか?」
レイ「………いい」
レイ「わーい! 綾波さんの隣!」(喜色満面)
レイ「そう…よかったわね」(微かに笑みを浮かべる)
ヒカリ「い、碇君のお父さん放っておいていいのかしら?」(顔がひきつっている)
ケンスケ「よ、余計なことを言わないのがこの世界で長生きする秘訣だよ」(同じくひきつっている)
トウジ「ちゃ、茶がうまいのう」(もちろんひきつっている)
<引退組テーブル>
マユミ「頑丈な方ですね。はい、ここはどうですか? 痛いですか? そりゃ痛いですよねぇ」(無造作に打撲個所を押さえる)
ゲンドウ「ぐおおお!」
マユミ「痛みを感じるのは生きているって証拠ですよ? よかったですね」(にこにこと笑っている)
冬月「…いいのかね?」
リツコ「…本職に任せましょう」
マユミ「はい、ここ折れてませんか?」(にこにこにこにこと笑っている)
ゲンドウ「のぉぉぉぉーっ!!」
<外人サポーターズテーブル>
ジャネット「それでその時シンジったらさ…」
ジョニー「…はははあいつらしいな」
アーチャー「同感、同感」
ラン「………」
盛り上がっている外人組のテーブルで一人なにやらやっているラン。
ジョニー「あん? なにやってんだラン」
ラン「ちょっと支度をな」(十字架と聖書を取り出す)
ジャネット「支度って?」
ラン「ふっ、決まっている」(すっと立ち上がると最寄りのテーブルに向かう)
アーチャー「おい、さすがに今日はやめとけ!!」(慌てて追う)
ジョニー&ジャネット「「………」」(ビール片手に見送る)
ジョニー「…飲むか?」
ジャネット「…そうね」
いそいそとコップと瓶を別の物に取り替える。
ジャネット「そういえばあの時の賭けってどっちが勝ったっけ?」
ジョニー「どっちだったかな?」
ジャネット「だいたいなんであんたが天国にいるのよ?」
ジョニー「そりゃこっちの台詞だよ」
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
マリナ「…それにしても」(視線を左右にふる)
キョウコ「本当にそっくりですね」(同じくふる)
レイ「………そう?」
レイ「ね、綾波さんって美人でしょ?」
マリナ「…あんたねぇ」
キョウコ「一度とことん話し合う必要があるようですね」
ラン「やぁ君は神を信じているか?」
カヲル「神ですか? どんな定義かに寄りますね」
アイ「シャリシャリシャリ」
ラン「ほう」
カヲル「なにせ神の使者と呼ばれたこともありますから」
マナ「誰があんたなんかを天使と呼ぶわけ?」
ラン「君は神を信じているか?」
マナ「え? え?」
<引退組テーブル>
冬月「大丈夫か碇?」
ゲンドウ「ふ、問題ない」(手を組み合わせ、ニヤリと笑う)
冬月「そういう風には見えなかったがな」
つい先程まではマユミにまるで拷問でも受けているかのように悲鳴を上げていたゲンドウの姿を思い出す冬月。
ゲンドウ「あの娘、腕は確かのようだ」
冬月「ほう」
ゲンドウ「ついでに腰痛と肩こりも…いや、なんでもない」
冬月「………で、次はいつ来いと言われた?」
ゲンドウ「月曜の昼過ぎに…も、もとい、何のことだ冬月?」
冬月「ふふっお互い歳をとったな」
ゲンドウ「………ああ」
<外伝ファミリー用テーブル>
トオル「………」(場違いな所に来たなと思っている)
フミエ「………」(なんなのこの人達と思っている)
ミチル「もぐもぐもぐ」(気にせず料理を食べている)
トオル「…俺達って」
フミエ「…つくづく平凡ねぇ」
ミチル「ぱく。うん、おいしい。…二人とも食べないの?」
トオル&フミエ「「………」」(顔を見合わせる)
トオル&フミエ「「………」」(深く考えるのはよそうと決める)
トオル&フミエ「「もちろん食べる!!」」
<新旧発令所要員テーブル>
瀬名「あっちのテーブルじゃあんなこと言ってますよ?」
日向「俺達も充分凡人だけどなぁ」
青葉「そうそう。あっちは格が違いますよ」
伊吹「とてもとても」
(和気あいあいとごく普通に宴に興じている)
瀬名「そういえば青葉ぶ…じゃなかった青葉さんと伊吹さんって交際されているんですよね」
伊吹「そうよ」
青葉「書いてもらったのは外伝だけどみんななかなか気がつかなかったみたいだな」
日向「いいねぇ幸せそうで」
瀬名「そういう先輩はどうなんですか?」
日向「さぁ? それは秘密だよ。ふふふ」(意味ありげに笑う)
青葉&息吹「「ふふふふふ」」(合わせて笑う)
瀬名「…やっぱり、御三方も常人じゃないっすよ」(はふーっとため息をつく)
<引退組テーブル>
冬月「しかしあれだな。さすがに外伝は本編より後の話も多いし、笑い話も多いせいか我々の出番も少なかったな」
ゲンドウ「…ああ」
のんびりと酒を酌み交わしている二人。
冬月「作者も必ずしも本意ではなかろうが、お前もさんざん物笑いの種にされたようだな」
ゲンドウ「ふ、『格好いいゲンドウの方がいい』とのメールをくれる読者の方もいる。問題ない」
冬月「ふむ。……ところで碇」
ゲンドウ「なんだ?」
冬月「お前、ネルフの司令を退いた後いったい何をしている?」
ゲンドウ「…な、なんのことだ?」
冬月「お前、まだ定年までは何年かあったな?」
ゲンドウ「ふ、冬月先生?」
冬月「まさか毎日毎日家でゴロゴロしているわけではなかろうな?」
(自分は高齢にもかかわらず大学で非常勤講師をしているので非常に強気)
ゲンドウ「ば、馬鹿を言え」
冬月「言っておくが、リツコ君に聞けばすぐわかることだぞ?」
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
ミチル「ボクはミチル。ウシオ・ミチル」
レイ「…綾波…レイ」
カヲル「僕はカヲル。渚カヲル。君たちと同じ仕組まれたごっ…」(背後から頭をはたかれて前のめりに倒れる)
アスカ「だからやめなさいよ、そういうの」(大皿をテーブルに戻す)
カヲル「やれやれ、痛いじゃないかアスカ君」
アスカ「今のあんたならすぐに再生するでしょうが」
マナ「は、話には聞いてたけど…初めて見た」
カヲル「ふふ、ほれなおしたかい?」
マナ「ぜんぜんっ!!」(力一杯首を左右に振る)
レイ「あれ? 渚さん髪染めました?」
マリナ「そうじゃないでしょそうじゃ」
キョウコ「なかなか見れませんねぇ、アルビノで美がつく少年少女が3人も」
カヲル「いや、なかなか壮観だね」
レイ「………そう?」
ミチル「なんだかうれしい」
(赤い瞳でそれぞれを見つめる三人)
<最上級幹部トリオテーブル>
リツコ「ちなみに私は自分のやりたいテーマを好きに研究させてもらっているわ。マヤがどうしてもというから一応技術部長に名前を置いているけど、家事もあるし、ネルフには行ったり行かなかったり、行っても数時間とかね。ま、おかげさまで御給料はたくさんもらっているわ」
加持「なんだいりっちゃん、薮から棒に?」
リツコ「いろいろと話の流れがあるのよ。それよりミサト…忙しそうね」(にやりと笑う)
ミサト「ぐっ」
リツコ「こう言ってはなんだけどネルフの副司令って世界でも有数の忙しい役職ね」
ミサト「そうなのよ!!」(ガンとコップをテーブルに叩き付ける)
ミサト「なんで!? どうして私が副司令なわけ!? いっちゃあなんだけど原作中よりも本編中よりも外伝で副司令やっている時の方が比べ物にならないくらい忙しいわよ!!」
加持「他に人がいなかったからな」
リツコ「そうね。でも、それにしては作者はあっさり決めたって聞いたわね」
ミサト「あんたたちのどっちかでもいいじゃない!!」
リツコ「私は所詮技術屋だもの。政治や軍事じゃあなたの方が圧倒的に上でしょ」
加持「ま、俺は裏方だからな。表舞台にゃ向かないよ」
ミサト「いっつもいっつもハンコやサイン待ちの書類の山に埋もれてるのよ? シンジ君がいる時はいいけどそうじゃなきゃぜーんぶあたしの所に回ってくるし、それも世界中から!」
加持「は? 秘書くらいいるだろ?」
ミサト「へ?」
リツコ「秘書よ、秘書。単に押印の必要があるだけで内容を確認する必要がなければ秘書が片づけてくれるでしょう?」
ミサト「………」
リツコ「もしかしていないの?」
ミサト「………」
加持「いや、そんなはずはないだろう? 人事上のデータでは何人どころか、副司令専属の秘書室があるはずだが?」
リツコ「もしかして作品で設定していないから…」
加持「実際は処理してくれているんだが、体感での忙しさはそれに勝る、とか?」
ミサト「くぉらぁーっ!! 出てこい作者―――っ!!」(両手にビール瓶を構えて走り出す)
<主人公(高校生)グループ用テーブル>
レイ「ひょい、っと」(見もせずに軽く身を反らしてミサトの突進をかわしながら鶏の唐揚げをぱくりと食べる)
マリナ「はぁ」
レイ「ん?」
キョウコ「レイがどうして今のレイになったかこの方々を見てよくわかりました」
マリナ「同感」
レイ「なに、それ?」
キョウコ&マリナ「「この幸せもの」」
(別室)
作者「…今日なら貴方もあっちの部屋に行ってもいいんですよ?」
ユイ「いいえ、こちらで十分です。はいどうぞ」(瓶を傾ける)
作者「あ、どうも」
(隣の部屋から笑い声や怒鳴り声、走り回る音や打撃音などいろいろと聞こえてくる)
ユイ「楽しそうでいいですわね」
作者「そうですね。何もしなくても彼らが勝手に楽しくやってくれるのが私としても一番です」
ユイ「ふふふ」
作者「とはいえこれからはどうなることやら」
ユイ「あら心配いりませんよ」
作者「はい?」
ユイ「だって生きているんですもの。幸せになるチャンスは何度でもありますわ」(優しく微笑む)
作者「…そうですね」
<広間の隅>
アスカ「結局、今日もシンジはあんまり出番がなかったわね」
シンジ「そうかな?」
アイ「すーすー」(シンジの腕の中で眠っている)
アスカ「だいたいあんたは主人公だっていう自己主張が足りないのよ」
シンジ「別にいいと思うけどなぁ」
アスカ「よくない」(きっぱり)
シンジ「そ、そう?」
アスカ「だいたい、この会の主旨がわかってないわね。新世界の打ち上げなのよ、打ち上げ! ひょっとするとまた書くかもしんないけど、もうこれで新世界を書かないって可能性が大なのよ、大!! ついでに言うならあと…えーと普通に公開されたら24日だから…もうクリスマス! あと一週間で今年もおしまい! さよなら2000年! ついにあたし達の新世紀がやって来るのよ!! そこんとこわかってる!?」(腰に手を当てておなじみのポーズで力説)
シンジ「ふふふ」
アスカ「何よ?」
シンジ「じゃあもうすぐアスカに会えるんだね」
アスカ「なっ!?」(赤くなる)
シンジ「あと、十何年かしたらアスカが僕の彼女になってくれて、二十何年かしたらアイが生まれるんだ。あ、その前にアスカが僕にプロポーズしてくれるのかな?」
アスカ「………」(真っ赤になって硬直中。もはやぐうの音も出ない)
シンジ「それにさっきの話だけど、僕は主人公じゃなくたっていいんだよ。みんなが幸せになってくれさえすればね」
アスカ「………」(再起動中)
シンジ「それに出番がなくてもアスカは僕のことを見ててくれるし」
アスカ「………」(赤みがひいていく)
シンジ「アスカのことが大好きな僕としてはそれで充分幸せなんだけどな?」
アスカ「………」(再び活動停止、前にもまして赤くなる)
シンジ「アスカの方は僕をどう思っているの? とっても聞きたいなぁ」
アスカ「………」(わかってるくせにわかってるくせに、いつもいつもいつもいつもこの手でーっ!! と思っている)
シンジ「ねぇアスカ?」(にっこりと微笑む)
おわり
それではよいお年、そしてよい新世紀を。願わくば新世界のように笑顔が満ちていますように