「こんにちは…じゃなかった。一応こんばんは、かな?」

とりあえず予想はしていたので今度はまともに応対が出来た。

「………」

綾波レイは無表情だ。

「えーと、いろいろ言いたいことあるんだけど…」

めげずに言葉を続ける碇レイ。

「…そう」

綾波レイは呟くように答えた。

わずかでも応答があったことに力づけられ懸命に言葉を出す碇レイ。

「とりあえず…ありがとう。あなたがいてくれて、あなたに会えてよかった。今はそう思う。そう思える。きっとみんなと、そしてあなたのおかげ」

碇レイはなんとかそれだけ言うことに成功した。

そこではっと目を見開く。

「私も…ありがとう。あなたがいてくれて、あなたに会えてよかった」

綾波レイはシンジとアスカにしか見せたことのない笑顔で答えた。

「………うん」

碇レイはなぜか照れてしまった。

それから綾波レイの瞳を見つめた。

綾波レイも優しい眼差しでそれに応えた。

 

 

 

 

「今日は早く寝ないといけませんね」

アイを寝かしつけたアスカが言った。

「? 明日何かあったかい?」

くすっと笑うアスカ。

「あなたは相も変わらず鈍感な人ですね」

「…わからないな」

どこか楽しげな妻の表情に頭をかくシンジ。

「早く眠ればそれだけゆっくりと彼女に会えるでしょう?」

「…そうか。そうだね」

シンジの顔もほころぶ。

「…この子にも彼女は会っているのでしょうか?」

すやすやと寝息を立てる娘の頭を撫でながらアスカが言った。

「…もしかすると人はみんな夢の世界で綾波に会っているのかも知れないね」

「…そうかもしれませんね」

それはとても素敵な事のような気がする。

目を合わせた二人は相手が同じ事を考えたことを知り微笑み合った。

「…そろそろ寝ようか?」

「ええ、おやすみなさいあなた」

「おやすみアスカ」

そしてもう一人に…

「「おやすみ」」

 

 

 

 

おわり

 

 

 

 

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