【新世界エヴァンゲリオン・外伝】
ここはどこ…?
頭上には見渡す限りの黒い空
目の前には赤い水をたたえた湖
周囲には白一色でおおわれた何もない大地
なぜ私はここにいるの?
そしてこの女の子は誰?
「あなた誰?」
【外伝第四話 瞳、合わせて】
目の前の少女は自分と同じ壱中の制服を付けている。
ただ髪は変わった色…水色に見える? …で瞳の色が赤い…いえ、紅い。
同性の自分が言うのもなんだが可愛い、いや綺麗だと思う。
その少女は無表情に自分を見ている。
ただ、どこかで見たことがある。そんな気がする。どこでだろう?
「あなた誰?」
もう一度繰り返す。
少女が口を開いた。
どこか聞き覚えのある声で。
「私は私」
「…何それ?」
この人何言ってるの? の世界だ。てっつぅがぁくぅ〜の人なのだろうか?
…あまり関わり合いたくない気もするけどとりあえず他に話し相手もいないし…
楽しい人たちに囲まれて育ったためか彼女は一人でいるのが割と苦手だった。
「だから名前とか…」
「私の名前は綾波レイ」
「へ?」
「綾波レイと呼ばれているモノ
綾波レイと呼ばれていたモノ」
「き、奇遇ね。私の名前もレイよ。碇レイ…」
そこまで言ってレイは気付いた。
どこかで見た顔、どこかで聞いたことのある声。
…私と同じ顔、同じ声?
「も、もしかして私二重人格とか…」
ずぅんと縦線を背負って頭を抱えるレイ。
「私は私。あなたじゃないわ」
無感情に指摘する自称綾波レイ。
アクの強い人たちに囲まれて育ったせいかレイは対人交渉に強かった。
初対面の相手でもまず臆することはない。
だが、目前の少女に対してはさすがのレイも分が悪いようだ。
『…レイ、レイ?』
そこへどこからともなく別の声が聞こえてくる。
…母さんの声だ。
…起きなくちゃ…じゃこれってやっぱり夢?
そう思ってもう一度レイを見る。
「さよなら」
その一声を残して綾波レイは消えた。
同時にレイの意識も浮上する。