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以下の小説にはBL・やおい・耽美と呼ばれる表現が含まれています。

夢ならどうか醒めてくれ

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 この後の奴の反応は見ものだった。自分の言葉を反芻し、愕然とし、再び顔が赤くなっていく。俺から目を離すことも出来ず、わなわな唇を震わせている。
「わ、忘れろッ」
「いやーだーねぇ」
 俺はわざとオモチャを高く上げると、それを取り上げようと愛甲が俺に手を伸ばす。酔っ払っていたせいもあり、俺たちは重なって倒れこむ。俺の上に乗った愛甲を見上げながら、俺は初めて間近でこの男の顔を見た。
 なるほど、女はこの角度で愛甲を見るのか。 
 乱れた前髪、重い体重。自分より熱い体温。酒で充血した瞳。
「なぁ」と俺は目の前の愛甲に呼びかける。
「お前、どうやってこれ使ってるの?」
 跨っていた愛甲が息を飲んだのが分かった。驚くのも無理はない。俺の両手が奴の尻を掴んでいたのだから。薄い肉をズボンの上から掴んでゆっくり左右に開く。きっと肛門も開いているに違いないと想像するだけで口元がにやけるのはなぜだろう。
「お前、悪酔いしすぎだぞ」
 不愉快そうに言う愛甲を尻目に俺は笑いながら頷いた。「俺もそう思う」
 言いながら愛甲のベルトのバックルに手を伸ばした。逃げ腰になった奴をベルトごと引っ張り引きつける。
「逃げんなよ。今更だろ」
 ちっと舌打ちが聞こえたが俺は無視することにした。ベルトを外してずるりとズボンを下着ごと半分脱がしてやると、薄い尻が現れた。先程と同じように肉を掴んで左右に引っ張ってやると、愛甲が忌々しそうに「お前、ホモか」と文句を言ってきた。
「俺はお前がこれをどうやって使ってるのか興味あるだけ」
 見せ付けるようにオモチャを愛甲の前にかざすと、奴は眉間に皺を寄せながらもベッドの下に手を伸ばした。しばらくゴソゴソと何かを探していたが、引っ張り出してきたのは半分ぐらいまで減ったローションのボトル。
「準備が宜しいことで」
 俺がからかうと、愛甲は半ばヤケクソになったのか唇を歪めて笑った。「見せてやるんだから、学習して帰るんだな」
「そうする」
 愛甲は俺に跨ったままボトルを開けると、自ら尻を上げて、腰から尻あたりにローションをぶちまけた。そして俺の手とオモチャに向かってもドロドロをぶちまける。
「冷てぇし、気持ちわりい。こんな感触なのローションって」
「一つ利口になったな」
 そう馬鹿にしたように笑って愛甲は俺の手を自らの尻に導いていった。ぬるりとした奴の尻に触るのは奇妙な感覚で、そしてこちらを見下ろす愛甲の瞳が充血しているのは酔いの為じゃないと気づくのに時間は掛からなかった。
 尻の割れ目に指を這わすだけで、目の前の男の瞳が少しずつ細められていく。唇の間から吐かれる吐息は酒臭かったが、妙に甘く。
 ゆっくり撫でるように奥に入り、蕾らしい部分に当たったが抵抗なく吸い込まれていく。
「は、ぁぁ」
「お前、何つう顔してんだよ」
 何だか興奮してしまって俺は自分を誤魔化す為にそう揶揄した言葉を吐いた。愛甲の方はもう腹を括ったらしく、欲望に忠実らしい。俺の声など聞こえてないように目を閉じて、俺の手を握って指を奥へ突っ込んでは引き抜くを繰り返す。接触している奴の股間は段々硬くなって俺の股に当たっている。薄い唇は浅い呼吸を繰り返し、その唇が何だか物欲しげに見えたのだから、俺もどうかしている。俺は?まれていない左手の指で愛甲の下唇を撫でた。すると、奴は目を開けて微笑むと、俺の指を舌で舐めて咥えてしゃぶり出した。
「お前、エロいよ」
「ほら早く入れてみろ。どうなるか知りたいだろ?」
 俺の左指をしゃぶりながら愛甲が煽りたてるものだから、俺は色々考えるのをやめることにした。右手に例の球体を掴みなおすと、ゆっくりと愛甲の蕾に押し付ける。ぐぐっと力を込めていくと、にゅると入った。入ってしまった。俺が驚いていると、目の前の男は眉間に皺を寄せて背中を震わせた。「あ、」
 その声は痛みと快感がせめぎあったようなセクシーな声で、俺は初めて男の声でドキリとした。
 もっといれたら、もっとこいつは喘ぐのか?
 男の本能が顔を出したと言ってもいいかもしれない。俺は左手で奴の口を犯しながら、右手で次々と球体を奴に突っ込んで行った。最初されるがままだった愛甲だったが、段々積極的になってきて飲み込むと同時に尻をきゅっとしめて俺を煽ったりした。俺を見ながらヤらしく指を舐めたり、スケベな顔この上ない。
 知らず知らずのうちに俺の股間も張り詰めていた。男を見て欲情するなんて信じられなかったが、もうどうでもいい。
「引いてみろ」
 ぐっと低い声で命令されて、俺はビーズを繋いでいる紐を引っ張ってみた。少しの抵抗と共に球体が股間から引きずり出されている感覚がある。
「ぁ、ぁああっ、ぁ」
 愛甲は背中を仰け反らせて嬌声を上げた。明らかに気持ち良さそうなトロンとした目で、唇は涎でベタベタで、だらしなく、ヤらしかった。
「ぁあ、はぁッ、ああぁ、いぃ。すげぇ…ん」
 最後の一個が出るまで奴は振るえ続けて、最終的にぜいぜいと呼吸を荒げた。愛甲の前の股間はビンビンで先が濡れていて、今にもイきそうなぐらい膨らんでいた。
「おい、もう一回しよう。凄い。自分でいじるより全然いい」
 酔ったように言う愛甲の視線を受け止めていた俺だったが、実は俺の股間も限界で、愛甲の体温をもっと味わいたかった。
「なあベッド使おうぜ。ここは狭いし、背中が痛ぇ」
 愛甲は無言だったがゆっくりと俺から離れると、ベッドのカバーを勢いよく剥ぎ取り、そのまま倒れこむようにベッドに横になった。頬を枕につけながらこちらを見る目は、もう昼間の愛甲じゃない。
「まさか男とここに乗ることになるなんてな」
 仰向けに寝て自嘲する愛甲の上に俺は跨った。そして先程とは逆の立場で愛甲を見下ろすと、その唇にキスしたい衝動に駆られる。
「おい、よせ。ホモじゃないだろ」
 愛甲が俺の顔が近づいてきたことで眉間に皺を寄せたが、俺は笑ってやった。
「もう俺、ホモでもいいや」
 薄い唇を味わって口の中に舌を入れる。逃げ回る舌を捕まえて絡ませやると、愛甲の腰が動いた。お互いに唇を味わいながら、服を剥ぎ取り体温に触れる。お互いの肉棒が当たってヘンな気分。からかうように腰を擦り付けると、愛甲の唇が震えた。
 口を離して奴を見下ろすと、もう我慢の限界らしい。「お前どうする気だ?」
「どうするって」と俺は苦笑した。そして奴の足を抱えて蕾に自分の物を押し当てる。
「今更ッ、だろ」
「ぁあっ、う、、っん」
 顔を仰け反らして愛甲は呻いた。その低い喘ぎ声が俺の理性を吹き飛ばした。女のものより狭いし、熱い、油断をすれば食いちぎられそう。それに負けじとこじ開ける。一気に引いて突き上げる。
「ああっ、いいぃっ、高嶋ッ」
 背中を引っ掛かれる。愛甲の腰がより奥へと俺を導く。こんなに密着するものなのかというぐらい俺の肉棒は根元まで埋まり、奴の尻とくっ付いている。それを引き離して襞をめくり上げてやると、愛甲は喘ぐ。
「もっと、もっと深く、ぁ、ああ、っ、ん、」
 俺はもう限界で愛甲の目ももうすぐ絶頂であることを伝えていた。二人で互いを見ながら腰を振った。汗で濡れる愛甲の額に髪が引っ付いていて、睫毛が快感で震えていて、ああ、この男は本当にイケメンだなと思いながら、俺は射精した。びゅくびゅく出る度に腰を振って、最後の愛甲を味わった。奴もガクガクと震えるように射精していた。
 俺たちは気だるい体のまま照れ笑いを浮かべて、ゆっくりとまた唇を重ねたのだった。

「最悪だな」
「ああ最悪だ」
 互いに冷静になったのは、絶頂を迎えてそのまま眠ってしまって朝を迎えてからだった。携帯の呼び出し音を二日酔いの頭で聞きながら、裸でベッドに座っている男二人。最悪以外にどう表現できよう。
 愛甲は眉間に皺を寄せたまま煙草を吸い、俺は寝ぼけた頭のまま、今日の曜日を思い出していた。
 先程からずっと携帯が鳴りっ放しであるのだが、その電話にでる勇気は俺にはなかった。

読了ありがとうございます!

資料探しでググっていたら偶然発見した一品によって、一気に想像力が増し完成しました。愛甲が隠し持っていたものはこちらです(笑)
※リアル商品なので、閲覧にご注意下さい。

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