ISDN導入とMN128-SOHO-DSU


更新情報


始めに

今時ISDN導入なんて珍しくもないですし、MN128-SOHOもよく雑誌等に取り上げられているので、失敗談を含め、ちょっと違った切り口を重点的に攻めてみます。


動機

私はマックとDOS/Vマシンと98を所有してますが、インターネットには常用マシンであるマックでモデムを使ってアクセスしていました。しかし、最近はWindows95でインターネット対戦のできる面白そうなゲーム(DIABLOやMOTO RACERなど)が登場してマック以外でもインターネットにアクセスしたいと思うようになりました。でも、シリアルポート切り替え機なんて面倒だというわがままな私なのです。また、Windows用のシェアウェア等をマックでダウンロードして、フロッピーやLAN経由で転送する手間にもうんざりしていました。もちろん通信スピードも速ければ速いほどうれしいものです。また、つい長時間アクセスしてしまい、電話が話し中だったとよく苦情を言われるのもなんとかしなければと思っていました。

そこで、MN128-SOHOです。DSUとルーターとTAとHUBが合体した無敵の仕様です。HUBは3ポートあるので私の持ってるコンピュータが3台とも接続できます。これで3台のどのマシンからでも切り替えなしにインターネットに接続できますし、3台同時にインターネットに接続(必要があるかどうかは別として)することだってできる。またISDNにすることによってアクセス中も電話が受けられます。もうこれでもか!っていうぐらいに私にピッタリです。


値段は

人気で品薄が続いているらしく、当時日本橋で在庫のある店を探すのに苦労しました。「見つけた!」と思ったら、DSU無しタイプだったりして。そんなこんなで見つけた一番安い店で、¥51,800でした。


ISDNの申し込み

買って帰ったその日にNTTのフリーダイアルに電話し、現在の電話番号がそのまま使えるかどうかを確認しました。私の住む地域は局番によって同番移行ができないところがあるとのことでしたが、なんとか大丈夫でした。それから申し込み書類の郵送を依頼しました。

2日後に書類が届き、記入例を見ながら2枚の書類に記入した後、FAXで送信して、申し込み完了です。あっけないほど簡単でした。申込書を送信すると、後日切り替え予定日の連絡があります。なお申込書には、TAやDSUの認定番号を記入する欄があるので、先に設置予定のTAを確保しておかなければなりません。

私の住む地域は市の外れにあるためか、「許可が必要なため時間がかかる」とか言われて切り替えまで2週間ほど待たされました。

今回は、費用節約のため全て「お客様工事」としたのですが、切り替え日当日は確認のためNTT指定業者が訪ねてきました。


ISDN導入の注意点

私の住んでいるマンションはガスの自動遠隔監視システムが設置されており、ガス漏れ等の異常の24時間監視や、料金メータの読みとり等が電話回線で行われています。このようなシステム(テレコン)はISDNに対応していないため、全て使用できなくなります。また、ISDN移行に伴いテレコンが異常動作しないように事前にガス会社等に連絡しておかなければなりません。

こういった既存のシステムが利用できなくなるという話は、申し込み時には教えてもらえず、申し込み後、工事がきまってから話がありました。

早く、ISDN対応のコントローラを開発して欲しいものです。でも開発された時は、だれか教えてくれるのだろうか?

(10/21追記)その後、ガス会社(大阪ガス)より連絡があり、2〜3カ月で対応するとのことでした。これで一安心です。


マンションへの導入事例

私の住んでいるマンションには、電話のモジュラーコンセントが2カ所あり、一方をパソコンのモデム用、もう一方をリビングのコードレス電話付きFAXに接続していました。しかし、ISDN導入に伴いFAX等のアナログ機器はMN128-SOHO-DSU(以下MN128と略)のアナログポートに接続することになります。今まで通りFAXをリビングに置いておくためには、MN128のアナログポートから延々とリビングまで電話線を這わすことになりますが、美観上好ましくありません。

そこで、コンセントを開けて調べたところ、マンションの壁内配線は下図「導入前」のようになっていました。つまりNTTからきた電話線は、コンセント1で分岐してリビングのコンセント2へ向かっていました(図中緑の線)。

ということは、コンセント1に細工すれば、MN128のアナログポートから出たアナログの電話線をFAXまで接続するのに、既設の壁内配線がそのまま利用出来るはずです。そこで、日本橋に行って、埋め込み用モジュラーコンセント2コと、それが収まるように口が大きく開いた飾りプレートを買ってきました。(全部で¥500ほど)

最初からついていたのは、写真で真ん中のモジュラーコンセントで、ここにNTTからの局線とリビングのコンセント2に向かう配線が並列に接続されていました。そこで、リビングに向かう配線だけ外して、下段に新しくつけたモジュラーコンセントに接続し直しました。上段のコンセントは予備です。あとは、普通の電話線でまず、NTTからの局線、つまり真ん中のモジュラーコンセントとMN128のISDN U ポートを接続し、MN128の2つあるアナログポートのうち1つをモデムにつなぎ、もう一方をコンセント1の下段に接続しました。これでコンセント2に接続されたリビングのFAXも従来通り使えます。

なお、こういった工事(というほど大げさではありませんが)は、電気工事の資格のある人しかやってはいけないことになってます。いちおう書いておきます(笑)。

余談ですが、モジュラーケーブルはSONY製の薄型タイプがおすすめです、私は隣の部屋までエアコンダクトを利用して引き回したのですが、カーペットの下に敷いても段差が出来ず、ちょっとした隙間に押し込めたりするなどして目立ちません。20メートル以上のロングタイプも用意されています。


工事当日

工事当日は、NTT指定業者の人が2人こられて、まず前述のテレコンの配線を取り外して直結してくれました。それからNTT局内の切り替えを電話で依頼してもらい、あとは切り替わるまでひたすら待ちます。

ところが、いつまでたっても切り替わりません。MN128のアナログポートに接続した電話機はトーン信号は聞こえるものの、ダイアルするとどこも話し中、他からこちらへかけても話し中という状態です。「局内の切り替え担当者で要領わるい人がたまにいる」という話を聞きながらひたすら待ちます。再度問い合わせてもらうと、もう切り替わっているはずとのこと。

次に疑われたのが室内の配線です(汗)。しかし工事の人が確認しても問題ありません。で、工事の人が持っていた、NTT製のDSU内蔵TAを接続するとなんと通じるではないですか。ふと、MN128の極性反転スイッチのことを思いだし、聞いてみると、「試してみてください」とのことで、MN128の極性反転スイッチをノーマルからリバース側に切り替えました。でも効果無し。MN128の故障だろうということで、NTT製のTAで接続試験を行い、回線自体は問題なしとして工事の人は帰りました。

さっそく、メーカーに電話しようとして当然ながら電話が使えないことに気がつき唖然としました。「早く代替機を用意しないと電話が使えない!」のです。急いでMN128を梱包しつつも「もう一度だけ試してみよう」と思い再度開梱。接続して試してみるけど、やっぱりだめ、「極製反転スイッチはさっき試したし」と思った瞬間にふと重大な間違いに気がつきました。「あの時スイッチを切り替える際に本体の電源を切らなかった」のです。先ほどは頭に血が上っていたので間違いに気がつきませんでした。一旦電源をOFFしてリバース側に切り替えてから祈るよう気持ちで再度電源ON。やった〜!うまくいきました。

まぁこんなバカやるのは私だけかもしれませんが、他山の石としてください。


ネットワークの設定

設置導入までに一波乱ありましたが、その後は非常に簡単です。3台の各コンピューターとMN128をEthernetケーブルで結んで、WWWブラウザで、設定画面を呼び出します。MN128側の設定は使用しているプロバイダの電話番号とログインIDとパスワードを入力するだけです。プロバイダのドメインネームサーバーアドレスは設定しなくても自動で取得してくれます。コンピューター側もTCP/IPに関する設定箇所は1カ所だけで、「IPアドレスを自動で取得」に設定するだけです。マックもWindows95も拍子抜けするぐらい簡単です。

普通の人は、これで全く問題なく使えますが、私の場合インターネットを使わないときでも3台のコンピュータ間でEthernetでファイルの転送をやることがあるので、IPアドレスは自動で適当に割り振られると毎回アドレスが変わって不便です。自分で任意のプライベートアドレスを割り振る場合の設定をマニュアルで調べようとしましたが載っていません。結局CD-ROMのオンラインマニュアルに載っていましたが、取扱説明書・WWW設定画面のヘルプ・CD-ROMのリファレンスマニュアルの3つに分散して情報が載っているので目的の情報を探すのに苦労します。


最新ファームウェアにアップデート

BUGのホームページから最新のファームウェアがダウンロード出来ます。私の購入した製品のバージョンは1.01でしたが、最新版は1.02です。いろいろな不具合が修正されています。こんなに不具合を抱えていたのかと驚く反面、こうしたアップデートサービスがちゃんと行われているという安心感もあります。アップデート作業自体は非常に簡単です。


簡単な接続

外部のアドレスへのアクセスがあるとそれをトリガとして自動的にダイアルして接続してくれます。ダイアル、接続、ログインまで10秒かかりません。またその間一切音はしません。カチッとも言いません。それはそれで静かすぎて気味悪いです。モデムの時はうるさいと言っていたのに勝手なものです(笑)。なにせ静かなもんで、目を離した隙に勝手にダイアルしてやしないかと、ついLEDランプに目が行ってしまいます。それでもって、ETHERランプが定期的にピカピカ光って紛らわしく、つい反応してしまいます。


さすがの高速ISDN

これは、プロバイダや接続する時間帯にもよるのでしょうが、私の場合は導入効果はばっちりです。5〜6KB/Sが結構コンスタントに出ています。


うるさいアナログ着信

さっき、静かだと誉めた(?)ところですが、外部から電話がかかってきた時は、本体内部で、呼び出し音に連動して「ガチッ、ガチッ、ガチッ!」とリレー動作音のような音が鳴ります。電話機は別の部屋なので、呼び出し音が聞こえるより前に「ガチッ」と鳴り出すので、いつもびっくりします。


不便な手動切断

一定時間アクセスしないと自動的に回線が切断されるのですが、貧乏性の私はすぐ切りたいのです。その場合はWWWプラウザでMN128設定ページの切断の項目を呼び出して、そのページの「切断」ボタンをクリックします。インターネットって言ったって、WWWブラウザをいつも立ち上げてるわけではなく、メーラーを使っただけのときやFTPソフトを使っているときだってあるのです。いちいちネットスケープを起動してブックマークした切断ページを呼び出すのは不便です。切断専用の軽いユーティリティーソフトが欲しいところです。

(10/29追記)MN128-SOHOの回線切断用ユーティリティ(MAC用)が既に存在しました。小林 貴博さん作のフリーウェアで"PPP Menu/MN128-SOHO"というソフトです。機能拡張として組み込まれ、画面右上のメニューからワンタッチで切断できます。先にあげた不満点が見事に解消されました(^_^)

この"PPP Menu/MN128-SOHO"は、作者のホームページhttp://www.gld.mmtr.or.jp/~tkoba/からダウンロードできます。


パスワード丸見え

MN128設定ページの中の、「表示」→「設定情報」を開くと自分で設定したプロバイダのログインIDとパスワードがそのまんま表示されます。うちの場合は、誰ものぞく人がいないので問題ありませんが、オフィス等で使っている人は第三者に見られる可能性があるのではないでしょうか?

(11/12追加)最新ファームウェアのベータ版(Version1.11b)では対策されており、暗号化されています。よって、今後正式公開されるファームウェアからは問題ないでしょう。


不可解な切断・再接続動作、わかりにくいエラーメッセージ

接続・ログイン時にたまに一瞬で自分から回線を切って、すぐ再発信することがたまにあります。BUSYではありません。当然一瞬でも接続すれば電話料金が10円課金されるわけですから困ったものです。さすがNTT関連会社製品だと感心している場合ではありません(笑)。そういった動作は全てログとして記録され、WWWブラウザで後から参照できるのですが、その時の切断理由がまた意味不明です。エラーコードを見て、CD-ROMのリファレンスマニュアルを見るともう少し詳しい説明が載っていますが、そこに載っていないエラーコードが発生するときもあり、そうなると訳がわかりません。今までに2回しか発生していないのでもう少し様子を見てみます。

(11/12追加)その後も上記症状は収まることなく発生しており、10回に1回ぐらいの確率で無駄な課金が発生しています。現段階で最大の不満事項です。


乾電池の液漏れ注意

停電時にも電話が使用できるように、アルカリ単3乾電池を8本使用内蔵する仕様なのですが、この乾電池が気がつくと液漏れしていたという事例がMN128のメーリングリストで複数報告されています。最近回収騒ぎの発生したソニー製乾電池に限らず、様々なメーカーの乾電池で発生しているようなので注意が必要です。

原因がMN128側にあるのか、電池にあるのか現段階では不明ですが、MN128本体の発熱の影響を指摘する声もあります。また発熱による対策としてMN128を電源スイッチが上にくるようにして立てて使用されている方も多いようで、原因不明の暴走等にある程度効果があるようです。

なお、私はこの情報を入手してから、乾電池は普段は装着せず、停電時にいつでも入れられるように、乾電池をそばに置いておくという作戦に変更しました。

(11/19追加)メーカーが、液漏れ発生の可能性を認め、必要な場合は対策品との交換を行うと表明しました。メーカーの告知ページはこちらです。


結論

まだ数日しか使っていませんし、今の所導入効果が大きいので、細かい不満点には目をつむります。この機能でこの価格なら買って損はないでしょう。ただ、私にはTA機能はいりませんでした。シリアルポートには何も接続していません。マック・DOS/V兼用の付属シリアルケーブルも箱に眠っています。もったいない話です。果たして、この機種を買ってシリアルケーブルでつなぐユーザーはいるのでしょうか?

すでにHUBを持っている人やパソコンが1台の人は、もうすぐ発売されるYAMAHAの低価格DSU内蔵ルーターも検討の価値はあると思います。こっちはデザインが上級機と似ていてかっこいいですね。MN128の「NTT−TE東京」ってロゴは格好悪いぞ。ピンクの型番も趣味わるいな。匡体色もコンピュータ機器離れしてるし。

あと、富士通やNECも同様の製品を出しています。以前何かのホームページであるライターが「MN128は搭載CPUが遅く、全ての機能が使えるわけではないので富士通のやつ使ってます」って言ってる人がいました。私にはCPUの遅さってのが実感できないのですが。

とりあえず、こんな所です。また、ある程度使い込んだらいろいろと出てくるでしょうから、少しづつ書き加えていきます。

(12/18追記)ヤマハのルーターRT80iに乗り換えたため、不要となった本機は売却してしまいました。結局1カ月という短期の使用で終わってしまい、十分な評価は行えませんでした。

乗り換えの主な動機は、「接続の安定性」「ダイヤル→接続→ログインのスピード」において、現段階では私の環境においてRT80iのほうが勝っているからです。

特に、ログイン時の瞬時切断→再接続による無駄な課金が許せませんでした。ただし、他のユーザーでこのような症状の報告は見たことがありませんので、特別な例かもしれません。さらに、この症状の原因がMN128-SOHOに起因するものなのかどうかも断定はできませんが、少なくともRT80iでは発生していないのは確かです。

ダイアル発信からログイン完了までの接続のスピードは圧倒的にRT80iの方が速い(2秒程度)ので、一度RT80iを使うと、もう元には戻す気になりませんでした。

ちなみに、売却価格はNiftyの売買掲示板にて\45,000円でしたので、約5千円の出費でRT80iに乗り換えることができました。

なんだかんだと言いましたが、やはり低価格のDSU内蔵TA+ルーター+HUBというこの商品は、画期的なものだった(なんで過去形や〜)と思います。初心者にも解りやすい丁寧な用語解説も載ったマニュアルや、まめなファームウェアのアップデートの提供、さらに、電池の液漏れ問題へのメーカーとしての誠意を持った対策の姿勢も好感がもてました。前にも書きましたが、買って損はないとおもいます。ただ、ライバル各社が同様の製品を出して追従してきている今、MN128-SOHOだけが唯一の選択肢ではなくなってしまったということは言えると思います。


KUMA's IMPRESSIONホームページに戻る