リモート ルータ YAMAHA RT80i


更新情報


始めに

知人がISDNを引くことになりルータを勧めましたが、私と同じMN128-SOHOでは面白くない(?)ので、ルータで定評のあるヤマハの新製品RT80iを推薦しました。結局まんまと乗せられて(笑)RT80iを購入してくれました。さらに回線工事までに2週間ほど間があったので、それまでの間、借りて試用させてもらいました。そう、ちょっと様子を見るつもりだっただけなのですが...。

もうすっかり気に入ってしまいました。「返したくないよ〜」状態です。さすがにMN128を代わりに返すわけにもいかず(当然だ)、品切れを心配して慌てて買いに走りました。「触るんじゃなかった」と嘆きながら。結局まんまとひっかかってるのは自分かもしれません。


値段は

私が購入した段階で、日本橋で入荷している店は2店のみで、安い方の店で\49,800で購入しました。


MN128-SOHO-DSUとの違い(ハードウェア)

ハードウェアに関して特に違う部分の比較です。

RT80i MN128-SOHO-DSU
TA機能 ×
DSU切り放し ×
停電時の乾電池バックアップ ×
HUB ×(1ポート) ○(3ポート)

こうやって比較すると、RT80iが不利のように見えちゃいます。


MN128-SOHO-DSUとの違い(アナログ機能)

アナログ機能に関しては先行のMN128-SOHOをよく研究したのでしょうか、両者とも発信電話番号識別,各種ISDN付加サービス対応,内線通話,NTTとの契約不要の疑似コールウェイティング機能,代理応答など、機能に大きな差はありません。ただ、RT80iの発信機能で面白いと思ったのは以下の2つです。


MN128-SOHO-DSUとの違い(圧縮機能)

MN128のメーリングリストからの受け売りで、私はあまり詳しくないのであくまで不確定情報ということで書きます。

MN128-SOHOには圧縮機能(モデムのMNP使用時の圧縮機能みたいなもんですかね)が搭載されていないようです。MN128-SOHOでは7.5KB/Sだったテキストファイルの転送速度が、圧縮機能をサポートしたルータ同士の接続では11KB/Sを記録しているとの報告もありました。この差は結構大きいのではないでしょうか。ただし既に圧縮されているバイナリファイル等の転送では効果は出ないでしょう。それから、つなぐ相手(プロバイダ)のルータが同様の圧縮機能をサポートしていないと無意味です。

RT80iはどうなっているかと調べると、コマンドリファレンスマニュアルに「IPパケット圧縮タイプの設定」という項目があります。そこには指定パラメータとして以下の様に記述されています。

WWW設定メニューでもこのパラメータを変更できます。こういう設定項目があるということは、RT-80iでは圧縮をサポートしていると考えてよいのでしょうね。さっそく私の契約しているプロバイダでそれぞれの圧縮パラメーターでの転送速度を試したところ、どれも対応していないようで、残念ながら効果がありませんでした。


機器本体について

全高は低いのですが、幅が30cm近いサイズなので、MN128-SOHOより設置面積が必要です。電源を内蔵したため、同社のRT102i等と比較してサイズが大きくなってしまったのだと思います。発熱は電源回路のある左側が人肌程度にほんのり暖かいといった程度です。MN128-SOHOでは発熱する電源回路の上にメイン基盤がくるような配置のためメイン基盤が熱の影響を受けてしまうらしい(これも受け売りで実際に確認したわけではありません)ですが、RT80iは平面的に配置されているのでそういう心配はないのではないでしょうか。

なお、本体デザインはすっきりしていて落ちついた本体カラーと共に好感がもてます。


導入・設定

MN128-SOHO同様にWWWブラウザから各種パラメータを設定可能です。ヤマハのホームページでこの設定画面がデモとして公開されていて、実際に操作して使い勝手や機能を確認することが出来ます。初心者向けの簡易設定メニューもあり、迷うことなくすぐに使い始めることが出来ます。詳細設定画面は設定できるパラメータの種類の多さに戸惑いますが、それだけ頼もしいとも言えます。またヘルプは各設定項目の横のボタンで呼び出すことにより、設定項目に応じたヘルプを一発で参照出来て大変便利です。

取扱説明書は「RT80i取扱説明書」と「コマンドリファレンス」と「クイックスタートガイド」の3冊に加え、WWWブラウザで設定する人向けのパンフレットが入っています。ただし、初心者に親切な構成とは言えません。設置、配線から、MAC/Windowsのネットワークの設定法、WWWによるルータの設定方法を順に解説するような構成にすれば初心者でも迷うことなく導入できると思うのですが。このあたりはMN128-SOHOの説明書の方が初心者向けとしてはかなり良くできています。


はっ速い!

何が速いって、最初のプロバイダへの回線接続が速いのです。ログインが終わって最初のホームページの表示が開始されるまで2秒もかかってないのではないでしょうか。MN128-SOHOの時は6〜10秒程度でしたし、原因不明の再接続動作でもっと待たされることもあったので、「ISDNと言ってもこんなもんか」と思ってたのですが、これには驚きました。というか、これを見た瞬間に買い換えを決意しました(^_^)


やっぱり不便な回線切断

MN128-SOHOでも指摘しましたが、回線手動切断がWWWメニューかtelnetのコマンドラインで行うしかないので、手間がかかり、貧乏性の私としては不満です。MN128-SOHOでは便利な回線切断ユーティリティーがあったのでそれを利用させていただいていたのですが、RT80iも同種のユーティリティが登場してくれないかなと思っています。


よくできた自動切断タイマ

前項で挙げたように、手動で直ぐに切断出来ないのは不満ですが、MN128-SOHOと比較して自動切断タイマの設定がきめ細かいので、電話代は手動でまめに切断するのと、自動にまかせるのとであまり差が出ないかもしれません。切断方針は「トラフィック監視方式(デフォルト)」と「課金単位時間方式」の2通りあります。

私は、「課金単位時間方式」に変更して使用していますが、根が疑い深い(笑)ので「本当に回線が切れるかな」と本体の通信中を示すLEDが消えるまで落ちつきません。やっぱり自分で簡単に切るのが精神衛生上いいのですが。


ファームウェアのアップデート

YAMAHAのホームーページで最新のファームウェアが提供されます。アップロードされているのは、そのまんまのバイナリファイルだけで、一発転送ユーティリティーといったものは付属していません。そのためアップデートの手順はちょっと煩雑です。

以上全て、キーボードからコマンドを打ち込んでの操作になります。取扱説明書には、SUN OSワークステーションからアップデートを行う場合の例しか記載されていません。ダウンロードしたファームウェアが破損していないかどうかチェックするユーティリティーも当然マック等では動きません。破損していないと信じて転送するしかありません。このあたり、パソコンの機種別にアップデータが用意されていて、クリック1発で転送できるMN128-SOHOの手軽なアップデートとは雲泥の差ですね。

('97/11/20追加)購入時のリビジョン(バージョン)は2.02.15でしたが、2.02.17が公開されました。リビジョンアップ方法としてMAC,Windows95のそれぞれの場合の転送手順も記載されるようになりました。必要な、TFTP転送ユーティリティの入手先URLも記述されています。実際にMACからリビジョンアップを行いましたが無事成功しました。私の行った手順をこちらにまとめておきましたので、参考にして下さい。

('98/2/9追加)リビジョン2.02.23が公開されました。いくつかの仕様変更と不具合改善がなされています。またRT80iのページのユーティリティftpのリンクに「ftpで取得したバイナリの正しさをチェックするユーティリティ (MS-DOS,Macintosh,Source)」が公開されています。これでMacでもダウンロードしたバイナリファイルが破損していないかどうかの検証ができるようになり、安心して転送できると思ったのですが、実際にダウンロードしたRT80iのバイナリファイルをチェックしてみると「size mismatch」とエラー表示されてしまいます。どうやらRT100シリーズのバイナリファイル検証専用のようでRT80iのバイナリファイルの検証はできないようです。プログラムのソース(ckrt100i.c)を見ると、ファイルサイズをチェックしている部分が458752バイト(RT100シリーズのバイナリファイルのサイズ)と決め打ちして検証しているので、これでは正常に検証できなくて当然ですね。これではユーザーが混乱するだけです。現段階ではMacユーザーはダウンロードしたファイルサイズをcommand+iで見て983040バイトがどうかを確認するだけしか手段はないようです。(私は念のためWindowsマシンでMD5チェックサムを検証してから転送しています)

('98/3/16追加)リビジョン2.02.28が公開されました。2.02.28での変更点はバグフィックスの1点のみですが、2.02.27でのNTTナンバーディスプレイサービス対応やその他多数の仕様追加(変更)も含まれているので、2.02.23からアップデートする価値はあると思います。

('98/4/17追加)メールにてRT80iのリビジョンによるトラブルに関する情報を頂きました(久保田さんありがとうございます!)2.02.28の人は早急にアップデートしたほうがよさそうです。以下に、頂いたメールを転載させていただきます。

三か月くらい使用しているのですが、今まで全く安定していたものだったのに、ここに来て一気に不安定になりました。
原因はリビジョンアップでした。
2.02.28にしたところ、最初は問題なかったのですがそのうちに全然関係のない接続を繰り返すようになりました。 RT80iを再起動するといったんはよくなるのですが、いつもその 繰り返しでした。
 設定自体を初期化して一から設定し直そうとして初期化したらも う設定できなくなってしまいました。設定をして、FROMに保存しようとするとフリーズしてしまうのです。どうにもならなくなってサポートに電話すると親切に対応していただけました。サポートの方の話によると2.02.28はバグのために設定をしようとするとフリーズしてしまうのだそうです。現在出ている2.02.29をお使い下さい、との事でした。また不安定な自動接続に関しては2.02.23が一番安定しており現在出ている2.02.29よりも安定しているとのことでした。ネット上ではもう出ていないので、サポートからお送りいたします、との事でした。とりあえず2.02.29を使用してどうしても気になってたらば、また連絡をして送っていただけるという話になりました。

メールを頂いてから、私も2.02.29をダウンロードしに久しぶりにYAMAHAのサイトにいったのですが、RTシリーズ専用ユーティリティのMac版(RTUtilityV050b.bin )もアップデートされていたのでついでにダウンロードしました。従来のリビジョンアップ転送ソフトの他に、「RT-Monitor For Macintosh」(ダイヤルアップ監視ユーティリティ)というソフトが同梱されていました。回線の接続、切断、モニターができる軽いアプリケーションです。これで、手軽に手動回線切断ができるようになりました。

('98/3/16追加)リビジョン2.02.31が公開されました。バグ修正7項目、仕様変更4項目、新機能追加4項目となってます。詳しくはこちら。2.02.28の例もあるので、念のため古いリビジョンのバイナリファイルも消さずに、いつでも戻せるようにしておいたほうがいいでしょう。


良好なアナログ通話の品質

MN128-SOHOではアナログポートに接続したコードレスFAXの通話時に背後にかすかにノイズが聞こえたのですが、RT80iではクリアな音質です。また、アナログ着信時にMN128-SOHOではリレーの動作音のような音が呼び出し音に連動してカチカチと音を立てて耳障りだったのですが、RT80iは無音です。


通信ログの内容

過去の通信の詳細を記録したログがwwwブラウザで参照できます。同様の機能を持ったMN128-SOHOと比較すると、RT80iは表記が全て英語となりますが、個別の内容についてはRT80iの方が詳しいように思えます。ただ、アナログ通話の発着信に関しては、MN128-SOHOの場合は個別の発着信の詳細が逐次記録されるのに対して、RT80iでは過去の発着信の総回数と、料金の合計だけが参照できるにとどまります。

(1998/2/9追加)リビジョン2.02.23からアナログ通話の発着信の詳細(発着信時間や相手先電話番号等)も通信ログに記録されるようになりました。これでMN128-SOHOと同等になったのは嬉しいですが、RT80i内部のログの記憶容量はあまりないのに1回の発(着)信で結構な行数を使ってしまうのがちょっともったいないような気がします。1回の通話で記録されるログはこんな感じです。

//こちらから天気予報にダイアルしてから電話を切るまでのログ
1998/02/08 22:55:34: TEL[01/1] OutGoing Call for 177  
1998/02/08 22:55:36: TEL[01/1] Active
1998/02/08 22:55:54: TEL[01/1] Disconnect complete
1998/02/08 22:55:54: TEL[01/1] Disconnected cause [No error.]
1998/02/08 22:55:54: TEL[01/1] Disconnected by [User]
1998/02/08 22:55:54: TEL[01/1] Charge is 10 yen

//外部から電話がかかってきた場合のログ
1998/02/09 14:10:48: TEL[01/1] InComing Call from ***
1998/02/09 14:10:48: TEL[02/1] InComing Call from ***
1998/02/09 14:10:58: TEL[01/1] Active
1998/02/09 14:10:58: TEL[02/1] Disconnect complete
1998/02/09 14:10:58: TEL[02/1] Disconnected cause [Non-selected user clearing(26)]
1998/02/09 14:10:58: TEL[02/1] Disconnected by [Local public network]
1998/02/09 14:11:39: TEL[01/1] Disconnect complete
1998/02/09 14:11:39: TEL[01/1] Disconnected cause [No error.]
1998/02/09 14:11:39: TEL[01/1] Disconnected by [User]


接続安定性

現段階で、約1ヶ月使用しましたが、ハングアップしたり不安定になったことは一度もありません。非常に安定しています。またMN128-SOHOでは、プロバイダへの接続時に、せっかく繋がった回線を切って再発信するような挙動を時々見せたことがありましたが、本機ではそのようなことは一度もありませんでした。


総評

業務用ルータで実績のあるYAMAHAの製品だけに、SOHO、個人ユーザーをターゲットにした製品とは言え、高価な上級機種の直系であると感じさせる雰囲気があります。取扱説明書のうちコマンドリファレンスやスタートガイドは上級機のRT200i,RT140i,RT102iと共通だし。初心者でもWWWブラウザでも簡単に設定できるようにしてはあるが、果たしてその実体は(笑)「羊の皮を被った狼」という感じですか。もちろん、私のような素人はいくら設定項目が豊富でも、ほとんどデフォルトで永遠にいじらないというのが関の山なのですが。まぁそれはこっちに置いといて(どこに?)

今のところ安定性に関しても問題なく、総合的に見ても大変満足しています。おすすめです。

('98/3/16追加)最近CATV回線を利用した、ケーブルモデムによるインターネット接続サービスの試験運用が開始され、運良くモニターに参加することになりました。モニター終了後、一般運営に移行すると思われるので、もうRT80iでインターネットにアクセスすることはないかもしれません。RT80iは単なるアナログ電話交換機として余生を過ごすことになりそうです(もったいない)。というわけで、RT80iのインターネット接続に関する安定性等の評価を今後継続して行えなくなりました。たった3ヶ月あまりの使用ですが、とりあえずここで一区切りということで、まとめておきたいとおもいます。

注1:MN128-SOHOでは、リセットスイッチ替わりに電源スイッチを重宝?しました。
注2:RT80iにはリセットスイッチが背面にあるので実際はコンセントを抜く必要はありません。

とにかく、この手の機器は信頼性が一番だと思うので、RT80iの安定性については高く評価したいと思います。ただ、マニュアル等があまり初心者に配慮していないのが残念です。万人に勧められるという点ではMN128-SOHOに一日の長がありますね。でも、最後にはやはりRT80iを私はお勧めします(^_^)。


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