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あけっぱなしのロールスクリーンから射し込む日の光で、目が覚める。 「ま、ぶし……うー」 半分意識は眠ったまま、身体をまるめて光を遮ろうとした少女は、容赦なく布団を取り上げられた。 「起きろ。嫌なら手を離せ」 凪いだ低い声。 それがゆっくりと意識に浸透して───麻衣はぱちりと目を開いた。 「う」 いつのまにかナルのパジャマを握りこんでいたらしい。手にしっかりとつかまえた上に頭を載せていて、これでは彼は身動きがとれなかっただろう。 「あ」 ぬくもりが近い。 心音が、ちかい。 耳に響く怜悧な声と、こころに韻くやさしい気配と。 とたんに意識が覚醒して、感覚が研ぎすまされる。 「麻衣」 名前を呼ぶ声に、相変わらず表情はない。 パジャマのかげにうずもれて、彼に彼女の表情は見えないだろう。 麻衣はふわりと笑って、ぎゅっとナルの胸に頬を寄せて………確かめるように鼓動を聴いて。 それから、ぱっと手を離した。 ひと動作で起き上がって、目覚めたばかりのはずだというのに一点の曇りもない美貌を見下ろす。 「おはよ、ナル」 「遅い」 払おうと思えば簡単にはなせたはずの華奢な手。 その手からやっと解放されて、起き上がる。 それに、ぴたりと合わせるように目覚ましのアラームが鳴り出した。 「遅くないじゃん。時間ぴったり」 ほうら、と目覚まし時計を指差して、それから麻衣はナルを乗り越えるように身体を伸ばしてアラームをオフにする。 「それより。おはようってば。ナル」 笑顔は鉄壁で、ナルはため息をつく。 「寝起きにしては元気だな」 「うん。絶好調♪」 にこりと笑った彼女の表情は崩れない。 「……おはよう」 言葉と一緒に少女の額に軽いキスを落として、美貌の青年はベッドからおりる。 「麻衣、時間」 「はあい了解」 すとん、とベッドから滑り降りて、麻衣はクローゼットに直行する。置いてある着替えの中から一組を選び出して、素足のままぱたぱたと寝室のドアに向かう。 「シャワー借りるねっ」 返事を待たずにドアが閉まって、彼は軽く息をついた。 麻衣はこれから身支度をして、朝食の準備をする。 ナルはこれから鍛錬のメニューをこなして、それからリビングに行く。 ちょうどぴったり重なる時間。 けれど、意識しなくても互いのペースを乱すことはない。 それでも、繰り返される日常に、かさなっていく気配を求めて。 |
えっと。おまけです(爆)こんな朝もあり、ということで。ナル黒パジャマ麻衣ちゃんオフホワイトパジャマとかだとかわいーかなーvとかとか。←馬鹿。 2003.6.29 HP初掲載
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