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Ring




「まあまあまあまあまあ……っ!よく来たわねマイ、ずっと待っていたのよ」
 玄関を出たのは、到着予定時刻の15分前。
 待ちきれなくて前庭を越えて、門前まで出ていたルエラは満面に笑みを浮かべて、タクシーに駆け寄った。
 昨日から待ちこがれた少女が、車からおりるなり、彼女の華奢な身体を抱きしめて頬にキスする。麻衣は笑って、ルエラの腕を優しく解くとスーツケースをタクシーの運転手から受けとって地面に置いた。ありがとう、という麻衣の言葉に運転手は会釈して、車に戻っていく。
 タクシーが去っていくエンジン音を聞きながら、ルエラは麻衣を促して、歩き始めた。

「疲れたでしょう?誰も迎えに行けなくてごめんなさいね」
「いいえ。とんでもない。……お久しぶりです、ルエラ」
 最初の予定では、八月半ばにはイギリスに来ているはずだったのだ。それがひと月近く延期になってしまったのは、麻衣の事情であって、そのために直前に予定を狂わせて、ほうぼうに迷惑をかけている。
「ほんとうに。会いたかったわ」
 やさしい、紫の瞳が潤んでいる。
「私もです、ルエラ」
 抱き寄せられた温かな胸に、麻衣はそっと顔を埋めた。


 麻衣を家の中に導き入れて小さな居間に落ち着くと、ルエラは準備してあったビスケットの皿と、カップをふたつテーブルに並べはじめた。
 ルエラお気に入りのティーセットは、薔薇模様の古い磁器で、あたたかみのある白さを保っている。
「ちょっと待ってね。すぐにお茶が入るから。座っていて」
 急いで動いても、麻衣のように、決して「ばたばたした」印象にはならない。上品な茶色のスカートの裾が、わずかにひらひらと翻るだけで、ルエラは優雅にてきぱきと準備を進めていく。
 麻衣は、言われたとおりおとなしく腰を下ろした。「お茶のもてなしは女主人の仕事なのよ」とこれまでさんざんルエラに言われているから、頼まれない限り手伝うことはしないようにしている。
 ───それも礼儀なのだと割り切るのはかなり難しかったけれど。
 さほど待つことなくルエラがポットを持って現れて、ふたつのカップにお茶を注ぎ入れた。
 馥郁とした香気がふわりと身体を包み込んで、麻衣は力が抜けたような気がして笑う。
「いいかおり」
「とっておきよ」
 ふふふ、と笑って、ルエラは麻衣の琥珀色の瞳をすっと覗き込んだ。
 最初に出会ったときと比べたら、多分比較にならないほど大人びた彼女の顔は、けれどきらきらした澄んだ輝きをまったく失っていない。

「ほんとうにごめんなさいね、マイ。誰も迎えに行けなくて……。私が車を運転できたらよかったのだけれど………」
 大学では新学期が始まっていて、マーティンは忙しかったし、ナルも同様で、誰ひとり空港まで行けなかったのだ。
 車を運転できなくても電車で出迎えることはできるから、ルエラ自身は空港まで出向こうかとも思ったけれど、それでは迎える準備が間に合わない。二人暮らしだからとメイドのひとりも雇っていなかったことを、ルエラは今朝はかなり後悔した。───もし信頼できて任せられるメイドのひとりでもおいていたら、自分が空港まで迎えに行けたのに。
 申し訳なさそうな紫の瞳に、麻衣は首を振って、笑った。
「気にしないでください、ルエラ。ここまではもう何度も来ているから覚えているし、全然問題なかったんです。………だいたい、本当だったら八月にナルと一緒に来るはずだったのに、予定通り来れなかったのは私のせいなんですから」
「でも、大学のたいせつな用事だったのでしょう?」
「はい。………急に、集中講義が決まっちゃって。どうしても聞きたかったし、ナルもその方がいいって言うから」
 都内の国立大学に講師として来ているアメリカの大学教授のセミナーが、夏期の集中講義に突然入ったのだ。日程は八月後半で、そのときには既にイギリス行きが決まっていたから迷ったが、貴重な機会だったし、渡英をのばしても聞いた方がいいと思い、そしてナルもそれを勧めた。
 ───もちろん、ナルの帰国日程は動くはずもなく、彼は予定通り八月半ばに帰国し、そして麻衣はセミナー後のレポートを仕上げて、ほぼ一ヶ月遅れて今日着いたのだ。

「………でも、間に合ってよかった」
 小さく呟いて笑った少女に、ルエラは軽く首を傾げる。
「マイ?何に間に合ったの?」
「19日です。レポートの締め切りは20日だったから、それは余裕だったんですけど、何が何でも19日にはこっちに来たかったんです」

 朝から夕方までのセミナーが終わると、オフィスの残務処理と、臨時事務員を頼んだタカに必要事項の伝達をしながら、猛然とレポートに取りかかった。───なにしろ院生向けのセミナーだったから提出レポートは英語で書かなければならなかったから、安原に添削を頼み、OKが出たのは10日の夜。メールでレポートを送り、11日の朝を待ちかねてBAのオフィスに電話をしてチケットをとると、一日で荷造りを片付けて13日の飛行機に乗った。
 従って、いまは英国時間で13日の夕方なわけだ。
 「正規チケット」を用意してくれたまどかには、感謝しなければならない。今やほとんどの旅行者が使っている「格安航空券」では絶対にこんな無茶はできなかっただろう。
 予定が変わった時点で、ナルと一緒のファーストの席はキャンセルされて、新しくエコノミークラスの席を用意してもらった。が、ここ数日分のエコノミーの席はすでに団体客その他で埋まっていて、困り切った彼女に航空会社のデスクは、何の問題もないかのようにビジネスシートを提供してくれた。

「本当に、来れてよかったです」
「ありがとう、マイ。ごめんなさいね、ナルったら………せっかく来てくれたのに」
 麻衣はチケットがとれた時点で電話を入れていたが、引き継ぎもあって忙しいナルは特に自分の予定を調整しようとはしなかった。
 彼が自分のために「特別に」時間を割いてくれることは最初から期待していなかったから、それは麻衣にとっては落胆材料にはならなかったが、ルエラにとっては不満らしい。
「当たり前だと思います。ナルだって忙しいんですから」
 苦笑した麻衣は、納得いかない顔のルエラに、にこりと笑った。話題を、転換する。

「ところで、ルエラ。えーっと。聞きにくいんですけど、ルエラやマーティンはナルになにかプレゼント用意してますよね?……あたしのと重ならないといいんですけど……あ、でもあたしのは大したものじゃないから大丈夫でしょうけど」
「まあ。マイ。あなたがきてくれるだけで十分なバースデイプレゼントよ?………ナルが何も言わなくても分かるわ。一応母親ですものね?」
 ルエラはいたずらっぽく笑ってみせる。
「ちなみに、私からは服。マーティンは万年筆じゃないかしら?」
「よかった。重なってないです」
 ほっとしたようにちからを抜いた麻衣は、いきなりルエラがぱんと手を打って、驚いた。
「ルエラ?」
「そうそう。誕生日で思い出したわ。……マイ、あなたのバースデーをお祝いしていないわ。随分遅れてしまったけれど、おめでとう」
「ありがとうございます。わざわざお電話ありがとうございました」
「そう。それでね」
 ルエラはくすくすと笑う。
「渡したいものがあるの。絶対にね、送るのじゃなくて手渡したかったのよ」
 やわらかく笑いながら、けれどきっぱりした口調に、麻衣は少し面食らって目を瞬いた。いつも穏やかなルエラの、こういう口調はあまり記憶にない。
「…………なんですか?」
「その前に。一つプレゼントがあるの。そっちを先に渡してしまうわね」
 ルエラの顔に笑みが絶えない。
「ナルがこちらに帰ってきてしまったでしょう?だから、私たち、出来るだけあなたに気軽に来てもらいたいの。そう思って、お部屋を用意したのよ」
「………今までだって、お部屋使わせていただいてましたけど……」
 気軽に来るには遠すぎる、というコメントは賢明にも避けて、麻衣は無難な返答を選んだ。ルエラはいっそ快活なほど笑って首を振る。
「あれは客用寝室よ。用意したのは、マイの、部屋なの」
「………え。あの、それって…………ジーンの………じゃ…」
 言葉を濁した麻衣に、ルエラは少し寂しげな微笑を見せた。
「ジーンの部屋には触っていないわ。………ありがとう、麻衣。あなたはほんとうにやさしいわ。知らないあの子のことまでそんなに気にかけてくれるなんて」

 ルエラは、麻衣とジーンの繋がりを、一切知らない。
 ナルが話さないし、だから麻衣も話さなかった。ルエラには必要ないからと、「SPR」に関わる能力や経験はルエラには殆ど全くと言っていいほど話していない。

 麻衣は僅かに苦いものを飲んだような気がしたが、黙って聞き流した。
「でも、お客様用のお部屋は必要でしょう?」
「ええ、もちろんそうなの。だから、東側のね、もともとマーティンのお母様が使っていらっしゃった部屋が開いているままだから、そこを掃除したのよ。窓がお庭に面している部屋で、きれいなのよ。……あら。でも………いやだったかしら。…あら、そういえばマイも、サイコメトリ、できるのだったわね。亡くなった方のお部屋は良くなかったかしら……」
 急に慌てだしたルエラの手をとって、麻衣はゆっくり首を振った。
 淡い瞳に、強く真摯な光が灯る。
「とんでもないです。私の能力はそんなに高くないし、それに───ナルもそれは知っているんでしょう?」
「ええ、もちろん。あなたの好みを聞かなければならなかったから」
「だったら大丈夫です。ナルが反対しなかったってことは、安全だからってことですから」
 麻衣は、にこりと笑った。

 それは、彼が自分を危険な目に遭わせるはずがないと信じているからでは───残念ながら、ない。ここ以外の場所だったら、実験台にされる覚悟(というより諦め)は不本意ながらとっくにできている。
 ただ、ここで、マーティンの母にかかわることで自分が危険にさらされれば、多分もっとも傷つくのは彼の養父母だから───絶対に問題は起こさないはずだった。だから、ナルが問題を指摘しないなら、それは本当に問題がないのだ。
 
 麻衣の内心、あるいは二人の実態を知る術のないルエラは、やわらかく、くすくす笑って頷いた。
「そうね。………荷物も置かなきゃいけないわ。二階なの。行きましょう」
「はい、ルエラ」



 階段をのぼり、ナルと、そしてジーンの部屋の前を通り過ぎて突き当たりのドア。
 今まで気にもとめたことがなかったその扉を、ルエラが開いた。

 薄暗い廊下に、ふわりと、ひかりと風が、あふれる。

 東側の角部屋、その庭に面した窓は開け放たれて、真っ白なレースのカーテンが揺れていた。
 角に置かれた古い───多分マーティンの母親が使っていたのだろう小さなテーブルにはガラスの花瓶が置かれて、白いバラが山盛りに活けられている。
 ドアの左手には、やはり古風な装飾の柱の高いベッドに、やはり純白のふわふわした羽布団が置かれて、反対側にはやはり古い箪笥と机に椅子、そして小さな鏡が作りつけられた、引き出しのついた丸い化粧机があった。机の下には、背もたれのない天鵞絨貼りの椅子が入れ子式に入っている。ベッドの脇には、これもまた年代物らしいサイドボードと、揺り椅子が置いてあった。
「家具はね、全部マーティンのお母様が使われていたものなの。………ナルがそれでいいと言ったからそうしたのだけれど………どう?ちゃんと新しく買った方が良かったかしら」
 目を丸くして部屋を見ていた麻衣は、慌ててルエラを振り返って首を振った。
「とんでもない。素敵です!うわー………ほんとにあたしなんかが使わせてもらっていいんですか?マーティンは……」
「もちろん、とても喜んでいたわ。埃をかぶっているより、あなたに使ってもらえるほうが何百倍もいいって」
 ルエラはいたずらっぽく笑い、人差し指を立てて付け加える。
「そういう意味ではね、あなたが遅れてくれたから、間に合ったの。家具はみんないいものだったから、目立った傷みはなかったのだけど、なにしろずっと使っていなかったでしょう?ちょっと磨いて補修して、あの鏡も錆びていたから嵌めかえたの。予定通りだったら、ちょっとだけ間に合わなかったわ。………秋のバラもまだだったでしょうしね?」
「これ、お庭のばらですか?」
「そうなの。今ちょうど秋の花が咲き始めて、とてもきれいよ。今日は休むとしても、明日でもゆっくり見てね」
「ありがとうございます。ルエラ。本当に嬉しいです」
 心底から、麻衣はルエラの瞳を見つめてそう言った。

 自分のために、用意された、部屋。
 お客ではない居場所を作ってくれたことが、ほんとうに嬉しかった。

 だから。
 心を、緩めてしまった。
 ルエラの笑顔に、引きこまれてしまった。

「マイ、これがひとつめのプレゼント。それからもうひとつ、さっき言ってた、どうしても手渡したかったものがあるの」
 ルエラはゆっくりと歩いていくと、化粧机の一番上の引き出しをあけて、そこから小さな箱をふたつ取り出した。
 ひとつは深紅の天鵞絨に、金の留め金のついたもの。もうひとつは革張りのものだ。
 ぱっと見ただけで随分古いものだと分かるそれに、麻衣はちいさく首を傾げる。
「ルエラ?」
 怪訝な顔の彼女に、深い笑みを浮かべて、ルエラは麻衣の華奢な手をとりあげて、手のひらに深紅の小箱を載せた。
「受けとってほしいのは、これよ」
 麻衣の手をつつみこむようにして、ルエラは微笑んだ。
「開けてみて?」

 おそるおそる、言われるままに金の蝶番を外して箱を開けると、やはり深紅の天鵞絨に、まるい真珠がやわらかなクリーム色の光を放っていた。金の台に、大粒の真珠が六粒、花をかたどって並べられている。
 見るからに、古いものだった。真珠も台座の金も、経てきた時を映しているし、デザインも今のものではない。

 けれど、それはとても美しかった。

「きれい…………」
 呟いた麻衣の手を包み込んで、ルエラは囁くように言葉を紡ぐ。
「これはね、マイ。私が、マーティンと婚約したときに、彼のお母様に貰ったものなの」
「え」
「もう何年前になるかしら……。婚約して、はじめてちゃんとご挨拶したときに、頂いたのよ。代々伝わっているものなのよ、っておっしゃって」
「ルエラ。駄目です。そんな大切なもの、頂けません」
 麻衣は顔色を変えた。
 普通の贈り物とは訳が違う。これは、ルエラや、マーティンの母親、そしてその前の代々の記憶。
 自分が貰っていいものだとは到底思えなかった。
「マイ。これは、あなたが受け継ぐべきものよ」
 慌てて押し返そうとした麻衣の手のひらに、ルエラは宝石箱の蓋をしめて、もう一度載せる。
 紫の瞳は今度は酷く真剣で、麻衣は言葉を飲み込んだ。
「これを頂いて、結婚して、今度は私が息子の花嫁に伝えるのだと思ったわ。そうでなければ、娘に。……でも、私はこどもを産めなかったの」
 やさしい表情に、一瞬だけ、複雑な翳りが過ぎる。
「でも、ジーンとナルという素晴らしい息子を二人も得たわ。……ひとりはもういないけれど。…………たとえ、血が繋がっていなくても、ナルは、私の、いいえ、わたしたちの大切な息子なの」
「……………」
「だから、マイ」
 ルエラは、麻衣の手をあたたかく包み込むようにして、ふわりと微笑んだ。
「これは、あなたが受け継ぐべきものなのよ」
「ルエラ……………」
「私も、先走っているのは分かっているわ。ナルは、まだ何も言っていないんでしょう?でも、私たちは、あなたにこれを受けとってほしいの」
「……………」
「いやかしら?」
 優しく訊ねられて、麻衣は反射的に首を振ってしまった。

 ルエラの気持ちが、重ねられた手から痛いほど伝わってくるのに、拒めるわけがない。
 温かな気持ちで溢れたこの部屋で、そんな拒絶はできるはずもない。

 麻衣は琥珀色の瞳を瞑る。
 心が、痛い────けれど。
 でも、どうしても、優しいルエラの微笑みが曇るのを見るのは、考えられなかった。
 そして、何より。
 心の反面で、真実、どうしようもなく嬉しいのは、事実。

「…………ほんとうに?」
「ええ。あなたに、私は伝えたいの。……ごめんなさいね、我が儘で」

 本当は、二人から婚約の報告を聞いてから渡すべきなのに、先走っているとマーティンにも笑われたけれど、ナルが帰ってきて、麻衣が日本に残ると聞いたとき、これを渡したいと思った。
 それが、麻衣を縛る鎖になると分かっていて───分かっているからこそ、自分の想いを伝えたかった。
 ナルの花嫁というよりは、まるで自分の娘のように思っているのだと。

「いいえ。……………ありがとうございます、ルエラ。でも、あの………」
「ええ、ナルにはもちろん内緒ね?………あと、これは鎖なのよ。これは多分あなたの指には大きいし、それにエンゲージリングじゃないから、指にははめないでしょうし。でも、これに通したらペンダントになると思うの」
 持ったままだった革の箱を、麻衣の空いた手に握らせる。

「受けとってくれて嬉しいわ、マイ。ありがとう」
「ルエラ。あの、本当に、ありがとうございます。────この部屋も、………これも」
 付け加えた瞬間に、ルエラの顔がぱっと輝く。
「よかったわ……!それじゃ、私は少し下で夕食の支度をはじめているわね。今日は二人とも早く帰るはずだから。………マーティンに、ナルを連れて帰ってきてくれるように頼んであるから、あの子も大丈夫よ」
「あ、それじゃお手伝いします」
「いいのよマイ。疲れてるでしょうし、それに、荷物を片付けなきゃいけないでしょう?気にしないで、くつろいでいて。二人が帰ってきたら、必ず呼ぶから」
 ね、と笑ったルエラに、麻衣は微苦笑を浮かべて頷いた。
「はい」
「それじゃあ、後でね」
「はい、ルエラ」
 笑顔を残して、部屋の扉が閉まる。

 麻衣の表情から笑みが消える。そして、箱を持ったままベッドに座った。
 ふわりと身体を受け止めた真っ白いベッドに、そのまま仰向けに倒れ込む。

「ナルの、馬鹿」
 小さな呟きが、わずかに震える唇からこぼれる。

 ルエラから渡されたのは、事実上の、花嫁へのリング。
 代々引き継がれてきた、約束の螺旋の輪。

 胸が痛いのは、嫌だからでも、まとはずれだからでもなく、ただ、どうしようもなく怖いからだと解っている。
 運命の輪がどんなものを用意しているのか、予測することは誰にも不可能だから。

 やわらかく、やさしく輝いていた真珠の光が、脳裡にあざやかに蘇る。
 それは、心の裡に、灼きつくように、しるしを残した。






 2004年博士誕生日企画からの転載です。大筋ほとんどは変わってませんが、こまごましたところが微妙に違っています。ちょっとした伏線とか(笑)
 それにしても、お母さんに先こされちゃまずいですよねえ、博士。いくら甲斐性なしと言っても(爆)挽回なるのか。←無理でしょう。(きぱ)ちなみに、この指輪は、"tale"掲載「約束」で電話でルエラが「直接渡したい」と言っていたものです〜。(笑)
 ところで、時系列的にこのあたりからうちの勝手設定は他所様(つまりは一般的)な流れからかなり変わってきてます。ので、「?」な部分もあるかと思いますがそのうちつながると思うので気長にお待ちいただけると嬉しいです……。

2004年9月19日 誕生日企画でHP初掲載
2004年10月11日 加筆、再掲載


 
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