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  白い女王






 貴女は女王。

 気高く誇らしく、そこに立つ。
 凛と頭を上げ、その瞳には威厳を湛えて。
 そこに居るだけで。
 賞賛と歓喜をあつめる。

 あなたは女王。
 どこに在ってもその気品は損なわれることはない。
 太陽のように、中心にあって。
 無視することなど不可能な光を放つ。


 君は女王。
 美しく尊い少女。
 天使のように、女神のように。
 崇められ、讃えられ。
 それゆえに。

 それゆえに、
 その光輝は強く。
 ────それゆえに、ただ、孤独に。



 きみは女王。
 きみは、少女。
 美しく気高い、尊い、天使のような。
 けれど、人の子である少女。

 光輝による孤独に。
 その威厳による畏れに。
 裾に触れることさえできないような美しさによって、崇敬という隔てに。

 傷つく、少女。


 けれど。

 君は女王。
 傷つくことさえ、傷ついていることさえ忘れて。
 眠る白いほおに溢れた涙にも、一度さえ気づかぬまま。

 高貴な微笑を口元にたたえて、ただ、そこにあり続ける。

 そうして君は。
 自分でも気づかないまま、誰一人気づかないうちに。
 少女の君を殺しながら。
 あなたは女王となっていく。

 貴女は、誰一人触れることのできない。
 不可触の光輝となる。

 一人の少女を、その光の影で殺して。




 あの日の瞳の輝きも。
 花が咲きこぼれるような笑顔も。
 きらきらした声の響きも。
 はにかむような微笑みも。

 淡いピンクのスカートに花びらを散らして、輝く太陽より明るく笑った少女は。

 二度と。


 もう、どこにもみつけられない。





お題が周りではやっているので(あとちょこっと必要に迫られて……。)ちょっとやってみようと。
トップを切っていきなりオリジナルっていうのはイレギュラーでしょうか(爆)
まあ、所詮"tale"に載っけるだけの度胸がないだけなんですけどもね(おいおい)
   2004.10.3HP初掲載



 
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