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――その昔。 遠い遠い昔の事。 神は、世界を飲み込まんとする魔を駆逐するために七つの武器を作り出したと言う。 七つの武器それぞれに、自分が最も信頼している七人の天使の力を込めて。 そしてそれを、”中立の立場””成長する存在”である人間達の手に委ねた。 天使の宿った武器は人間の”成長する力”の影響を受け、瞬く間に魔の勢力を駆逐していったと言う。 その勢いに、神の望んだ”汚れない大地”が訪れるのも、時間の問題かと思われた。 ――イスカリオテさえ、現れなければ。 ――どうして? そう、言われたような気もする。けれど、彼女にはこうする事しか出来なかったのだ。 「……御免ね……」 震えた声で搾り出した台詞は、彼女がその事実を肯定しているかのように聞こえる短い台詞で。 「あたしには……こうするより仕方が無かったの……」 「……ふざけるな!!お前は今わざと……っ!!」 彼女の……いや、彼等の傍らには一人の青年が倒れ伏していた。じわじわと広がって行く赤い海の中に倒れているその青年からは、すでに命の鼓動が感じられる事はない。 その右手には、L字型をした不思議な形の武器が握られていた。 「ソリュート。話は後です。今は、貴方のやるべき事に集中しなくては」 「そうじゃのぅー。一人欠けてしまったのじゃから、なおさらじゃ」 落ち着いた、だが何処か冷たい響きを持つ声と、諭すような老人の声にソリュートと呼ばれた銀髪の青年はしぶしぶながらも従った。 赤い海の中に立ち尽くす少女から目を逸らしながら、彼は強い決意を込めた言葉を一言、低く呟く。 「……誰が何と言おうと、俺はお前を許さない。絶対にだ」 彼女の犯した罪によって。 その日、大地は荒れ果てた荒野へと姿を変えた。 それは、遠い遠い昔の物語。 そして、長い長い年月が流れて。 荒野に緑の芽が生き付き、草葉の生い茂る大地が戻って来た頃。 人々の記憶の中に、七つの武器の存在がある事は無い。 伝承の中での出来事。 お話の中の武器。 誰が名付けたのか。それはいつしか、 だが、そのような者達がこの武器をその手にする事が出来たという例は今だかつて一度も無い。この武器は、 力を望まぬ者。 力を欲する者。 どちらにせよ、選ぶのは ……そんな……。 嘘、だろ……? 「嘘じゃないってば。アンタがあたしを手にする事は、アンタが生まれた時から決まってた事なんだから。アンタの身体に、コレと同じ印があるでしょう?」 少女は自分のふっさりとした前髪を持ち上げ、額を見せた。 そこにあったのは、破邪の それを見て、青年ははっと息を飲む。無意識の内に、自分の左胸を押さえていた。その手の下には、確かにこれと同じようなアザがある。 位置が逆ならば、表している意味も逆。つまりは、魔を司る紋章。 偶然とは言え、職業柄あまり大っぴらにしたくないこのアザの事を知っているのは、育ててくれた大司祭ただ一人である。 そのはずなのに。 「そう。それが、証拠」 思わず身震いするような冷たい風が吹いて、 「という事で、よろしくね。 ――その出会いが。 終わりで、始まり――。 |