次の日の朝早く
たぬきはぽっとさんを小さい小さい原っぱの切り株に
こっそり返しに行きました。
森の動物達は
いつの間にかぽっとさんが戻ってきているので大騒ぎです。
大喜びでみんな集まってきました。
さっそくお茶会が始まりました。
みんなは、ぽっとさんに今までどこに行っていたのか
聞きたがりましたが、
ぽっとさんはニコニコ笑うばかりで教えてはくれませんでした。
楽しくおしゃべりをしていると
そこにあのたぬきがやってきました。
みんなはたぬきの座る席をあけると
たぬきにもぽっとさんが戻ってきた喜びを口々に話しました。
たぬきのカップにもいい香りのお茶が注がれました。
たぬきはそれをそっと一口飲みました。
そして自分の家で飲んでいたぽっとさんのお茶も
今ここで飲んでいるお茶も
全くなにも変わらずおいしいのだと思いました。
立ち昇る湯気の中にみんなの嬉しそうな顔が見えます。
みんなの笑い声に囲まれて
たぬきの胸の中はお茶の香りと
ほっとするいい気持ちでいっぱいになりました。
でも、何を言ったらいいのかもわからなくて
口元やひげがピクピクしてしまいます。
すると、横に座っているキツネが言いました。
「そうだ、たぬきさん。この間から言っていた「小説」は書けたのかい?
書けない、書けないっていつも言っていたじゃないか。」
返事に困ったたぬきは、ぽっとさんを見ました。
「うふふ。楽しみよね〜。
どんなお話なのかしら。たぬきさん、もし出来上がったら教えてね〜。」
たぬきは思いました。
ここでみんなと一緒に飲んでいるお茶が、一番おいしい。
みんなごめんなさい・・・。
ぽっとさんありがとう・・・。