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 メール紹介


東速研修会での質問に回答をいただきました。


☆ミキサーの件

  いつもお世話になっております。鹿児島の松山です。
  遅くなりましたが、上期研修会で質問がありましたミキサーについて、補足情報をお送りいたします。

  12本立てのミキサーの概略図です。(単位はミリ)(下手ですみません)
  一度に2本までのオンなら、減衰しないつくりになっています。(出力はモノラルです)
  ボックスタイプのアルカリ電池1個を内臓し、ミキサー右面のスイッチでオン・オフを切り替えます。 オンの場合、スイッチ上部の赤ランプが点灯します。
  なお、スイッチの隣にあるものは、内部で電池の銅線をとめるためのビスです。
  ミキサーは、複数個を連結して使うこともできます。
  手前の面と奥の面に、マイクからの線を差し込みます。ミニジャック用の差し込み口です。
  出力口から録音機へは、抵抗なしのケーブル(ミニジャック・モノラル)でつなぎます。複数のミキサーを連結する際も同様です。
  出力の差し込み口について、それまではミキサー左面につくっていたのですが、このミキサーではマイクの差し込み口と同じ面に並べました。 手前の面と奥の面、合計2つあります。通常は、奥の面の出力口を使用しています。 特に複数のミキサーを連結する際、このほうがすっきりとつながりますし、並べたミキサー同士の間隔も少なくてすみます。
  ただ、上面は6本のスイッチなのに対し、差し込み面には7つの差し込み口があるので、誤って出力の差し込み口にマイクケーブルをつながないよう、注意と慣れが必要です。 上面の番号と差し込み面の番号を確認しながら作業しています。
  なお、出力の差し込み口は、マイクの差し込み口と間違わないように赤シールで囲っています。
  出力口は合計2つですが、一度に2つ使用すると、若干減衰します。使用は1つにして、片方は予備と考えたほうがよいと思います。

  一番下の図は裏ぶたです。中央に2つあるのは、電池ボックスをとめているビスです。
  四隅の丸印は足になりますが、頭が白色のねじを使用しています。実は、事務所などの天井蛍光灯に使われているものを利用しているとのことで、在庫が余りないとお聞きしたことがあります。 早目に注文するか、手持ちのミキサーを送ってつくってもらうとよいかもしれません。

  上面のスイッチに使用する部品もいろいろ種類がありますよね。図では、出ている部分が約10ミリの軽いものが使われています。 アルミ?の円筒形で、余り音もしません。スイッチによっては、音がうるさいものや、操作するとき指が痛くなるもの、細過ぎて指にかかりにくいものなどがありますので、適したものをお選びください。

  なお、ボックスタイプのアルカリ電池の場合、かなり長期間使用できます。使用しないときは外したほうがいいとはいうものの、頻繁に抜き差しすると電池との接続部品が傷みやすくなりますので、電池残量を確認しながら、ほどほどの節電がよさそうです。

  参考:
  16本立ての場合、縦100ミリ、横150ミリ、高さ50ミリのボックス使用

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  株式会社 明昭堂(めいしょうどう)
  パーツセンターテークワンを併設した電器店です。
  表向きは機器製作はしていませんが、当方が依頼して製作していただいた方は清田(きよた)さんです。もう数年前になりますが……。
  明昭堂に連絡して、「ミキサー製作者(修理者)を紹介してほしい。(松山から聞いて)清田さんにお願いしたいが、取り次いでもらえないか」 などというふうにおっしゃれば、割とスムーズにいくのではないかと思います。

    〒892−8566
    鹿児島県 鹿児島市 西千石町11−19

    TEL: 099−225−2020
    FAX: 099−225−2024
    メール: info@meishodo.com
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  以上です。少しはご参考になればよいのですが。
  皆様が、よい機材でお仕事に臨めますよう、お祈りいたします。


ご希望の方には原図を添付送信させていただきます。HP担当)  




2012.8.22   兼子次生

9月2日には朝から第36回速記科学研究会、速記・言語科学研究会の合同研究会が名古屋市公会堂で開かれます。(幹事加古修一さん)
遠藤基資さんの日本語入力システム完成の報告、キャバという電子速記法をパソコンキーボードで入力できる「まりんば」開発を鈴木努さんが報告、京都府立大学の山口美知代先生が「シンガポール国会の議会記録」というテーマで報告されます。
遠藤さんのJPキー開発完了宣言は、はやとくん開発に続く文字書き機械化研究の総仕上げといったところです。
まりんばはステノタイプという高価な専用機を使わないで、パソコンからキャバという電子機械速記を手軽に使ってもらおうというねらいです。
親指シフトがしっかり根づいていますが、将来の文字書き機械化の姿が伺えると思います。
私は、若林カン蔵の最古の符号、経国美談後編の収録速記符号、怪談牡丹灯籠に掲載された速記符号と、田鎖系らしき清沢与十の「傍聴筆記新法独学」の速記符号、それから丸山平次郎の「ことば乃写真法」を比較したお話をしたいと思っています。


速記130年の記念行事が予定されています

2012.5.17
皆様、ことしは日本に速記が生まれてから130年になります。
大阪では、大阪芸術大学のご協力を得て、客員教授の旭堂南陵師の全面的なご支援をいただき、朝日放送の東隣にある堂島リバーフォーラム、芸大ほたるまちキャンパスにおいて、講談落語速記の分野の実演や講演、ディスカッションを予定しています。
第一部では約10分の南陵師匠の短い講談を、現代速記名人、大堀さんに手書き速記で書いていただき、それを皆様にごらんに入れたいと思います。大堀さんは直ちに反訳に入り、シンポジウムが終わるころには電子書籍として講談の速記本を世界へ発信するという趣向です。130年前、若林かん蔵が酒井と三遊亭円朝の怪談牡丹灯籠を速記して、翌週の土曜日、東京稗史出版社から発売された故事に対比させて、130年の進化をイメージしたいと思います。
また同じ講談をソクタイプのリアルタイムはやとくんで挑戦し、ライブ字幕をごらんにいれたいと考えています。チャレンジャーは安達さん。
この二つの速記、一つは大堀さんの伝統の速記、そしてもう一つは安達さんの21世紀
の速記をごらんいただき、絶え間なく進むイノベーションを示したいと思います。

南陵師は、講談落語速記本の収集家として有名ですが、その分析を博士論文にまとめて
、昨年1月に大阪芸術大学から博士号を授与されています。その研究の一端をお話いただき、また貴重なコレクションを見せていただきます。南陵師は大阪芸大の客員教授です。

円朝は速記によって有名になった。速記は円朝によって有名になったという話がありますが、実は速記本の前に、伊藤橋塘という方が講談を書いて出版していました。伊藤は速記本が大流行しても、こつこつと講談本を書き続けました。
その分野の研究者の宮脇真理子さん(明治大学)に速記本と書き本の絡み合いの中で、どのように講談が流行していたのか、おうかがいしたいと思います。


協会理事の三牧勉さんは、長年講談速記本の収集と大阪の速記者の伝統を調べています。
そんな彼の解説を皆さんへ紹介したいと思います。

会場発言で予定しているのが、スタジオジブリのPR誌、熱風で講談速記本のおもしろさを現在進行中で執筆中の山下泰平さんにもぜひご参加いただき、フロア発言で、講談本のおもしろさをぞんぶんにお話いただきたいと思います。

このような趣旨で、10月13日(土)午後2時から堂島リバーフォーラム2階の芸大
ほたるまちキャンパスで集いたいと思います。参加は無料です。速記の方、舞台演芸の
好きな方、国語、日本語学の研究者の皆さん、お誘いの上、ご参加くださいますよう、
ご案内申し上げます。
申し込みには、お名前、住所、電話・ファックス、メールアドレス、お勤め先、年齢などをお書きの上、兼子次生のアドレスへお知らせください。満員になり次第、締め切ります。


お近くの皆様へもどうぞお伝えいただきたく存じます。

 速記130年記念シンポジウム
     大阪実行委員会(委員長 兼子次生)bxd06051@nifty.com (兼子氏のアドレス)

                 
 「インテルステノの活動紹介」

インテルステノの活動をもう一つ明確に説明できていないことが長年の気がかりになっていました。
最近、リーフレットがあることを知り、事務局からデータを送っていただいて、翻訳し、ジャパングループの記述を加えました。
現在はつくったばかりです。だから、ワードのままにしています。
皆さん、間違いや補足などがありましたら、お知らせください。
一定期間を過ぎると、pdfにします。
どうぞよろしくお願いいたします。
               2011.5.2       兼子次生
       
(・翻訳されたリーフレット内容をご覧になりたい方は「ひろば」トップのメールアドレスか、兼子さんにご連絡お願いします。ワード文書を添付送信させていただきます。 HP担当

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皆様へ
インテルステノパリ会議の開催通知が来ました。
速記の競技、発表、交流、いろんな催しがあります。
ぜひご参加ください。
どうぞよろしくお願いします。
                 2011.4.14   兼子次生

Brief GA Paris 2011.pdf へのリンク
(ご覧になれない方は直接メールでどうぞ)↓



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海外の仲間からお見舞い続々 

                       兼子 次生 2011/03/17(Thu)

 日本の速記関係の皆さんやご家族、友人へ、 イタリア、中国、韓国の速記仲間から、 このたびの大震災のお見舞いのメールが来ています。
 世界中の友だちから、私たちは今、温かい友情を送られていることに 幸せを感じます。希望と勇気を与えてくださる世界の友人に励まされて頑張らなければいけません。
被災地の被害を受けた皆さん、私たちは誇りをもって再起を目指しましょう。
 何かできること、少しでもシェアしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

  再び感想   池田 達郎    2011.3.19

兼子様

3月9日付「無題」で私の感想への感想を書いていただき、ありがとうございました。

現在から将来への速記展望ということで再び考えてみました。

●その1:速記タイプの利点と欠点

 速記業務には速記タイプ(タイピングする電子機械速記のことをここではこう言わせていただきます。)を利用すべきだ、そのほうが「リアルタイム反訳」ができるし、速記の守備範囲もふえる。これを含めて速記という概念を再構築すべきだというような趣旨と承りました。

 速記タイプは字幕付けや情報保障にも使える、したがって、活躍範囲が拡大するという論調ですが、まだ日本では料金的に合いません。社会的な土壌が固まれば、ペイするようになるのでしょうが……。

 このことが解決されれば、速記タイプを習得しようとする人もふえるでしょう。その結果、「速記タイプも速記の一手段だ」ということになるでしょう。

 速記も、録音も、復演(現場で手元の録音機に吹き込む)も、手段は何でもいいので、最終的な記録原稿さえできればいいというのは、おっしゃるとおりです。

 速記タイプは、入力したものが即データ化されるという点は利点ですが、本当は校正という、もう1段階が必要ですね。そのため、4〜5人1組で行う。それなら4〜5倍の速記料でないと合いません。

 正確に言うと、「リアルタイム反訳」ではないですね。入力、出力、ともに必ずタイムラグが生じます。本当の意味でのリアルタイムは、録音や音声認識でしょう。

 速く打てるという意味で言うと、速記タイプ以外でもそれは可能です。普通のパソコンキーボードを使ってテレビの字幕付けをしている人(会社)もあります。

 広い意味での「リアルタイム反訳」なら、その日の会議が終わった時点の1〜2時間後に反訳原稿を納めることをやっている速記会社は、幾つもあります。これは速記タイプを使わずにやっているのですが、使っても使わなくてもできます。

 これもイノベーションだと言えば言えるでしょう。

 タイプを打つということは、両手がふさがることを意味します。これは会議現場では意外に大きな欠点です。そのため、複数の人手が要るからです。

 速記符号は、片手で書けるので、もう一方の手で録音操作や資料点検などができます。

 ステンチュラ(速記タイプ)の導入当初、私はこのことを指摘しましたが、兼子さんは「片手でも打てるソフトがそのうちできる」というお答えでした。

 しかし、いまだに実現していません。

 ステンチュラは1
65万円という金額と、習得期間2年という、お金と時間の二重の投資が必要です。

 「発言記録作成の業界に入りたいので、速記タイプの習得を始めたい」という人に対しては、その願望は尊いのですが、この二重投資についてちゃんと説明し、その習得率(学習成功率がかなり低い)とともに、あらかじめ了解してもらう必要があります。

 速記タイプは国産ではないので、メンテナンスが心配です。特急反訳で締切が迫っているとき、機械が故障すると、どうなるのでしょうか。

 以上のようなプラス・マイナスを考え、かつ、来るべき音声認識
100%完全でなくても)の時代を考えると、「これからの速記者(記録者)は速記タイプを使うべきだ」とは、簡単には言えないと思います。

 衆参でも、速記タイプは使っていません。

 とはいえ、以上の困難を乗り越え、速記タイプを実用化した同業者を、私は深く尊敬しています。

●その2:速記業・記録業について

 私たち速記を生業とする者は、常に顧客の役に立ちたいと思って仕事をしています。

 ですから、会議場でビデオを撮るとか、カメラで写すとかは、録音の弱点を補うためだそうですが、顧客や出席者が嫌がるので、普通はそういうことはしません。

 録音さえ、顧客の本音としては、してほしくないのです。(邪魔だとか、設置・撤収に余計な時間を取られるとか)

 私は長年の経験から、「録音は完全には録れない」と思っています。マイクが1メートル以上離れただけで、もう不鮮明な録音になります。

 ワイヤレスマイクを係員が差し出しても使ってくれないとか、1人1本の備え付けのマイクでも担当者のスイッチングが遅れるとか、そもそもアンプ自体が故障していたとか、トラブルはしょっちゅう起きます。

 出席者
500いる会場では、完全な録音はできないと思ったほうがいいです。

 世間には「録音は完全に入るもの」という誤解があります。「録音は不完全。難しい」と実感した顧客が「速記者」または「現場で記録できる人」に依頼してきます。

 民主主義の根幹である発言記録の作成には、「録音の不備を何とかして埋める」手段が、ぜひとも必要です。

 その手段として、速記符号や、復演や、速記タイプが考えられますが、速記タイプは前述のような欠点があるので、私は速記符号を使っています。

 別にこだわっているわけではなく、結果的にこれがいいから使っているだけです。

 録音が入っていない箇所を中心に速記していますので、「速記と録音の共同作業」です。速記が好きだから嫌いだからという次元の話ではありません。

●その3:若干の反論


■「人間にしかない技術だから速記が必要」とは私は言っていません。これからのIT時代には、ある人の言葉を借りると、「特技よりも普通技が必要」ということです。「人間性」というような、大きな意味です。

■「
今から速記符号を覚えても就職上の魅力はほとんどなくなった現在、速記という言葉にいつまでもとらわれていては、社会の現実から取り残されてしまう」と言われましたが、「速記」を「電子機械速記」に置き換えても同じことでしょう。

 「電子機械速記」も、いずれほかの技術にとってかわられるからです。

 例えば、「録音しているのに、なんでわざわざ速記をしているのだ」と今まで言われてきましたが、今度は「音声認識があるのに、なんでわざわざタイプを打っているのだ」と言われる時代が来るかもしれません。

 速記タイプも習得期間が2年かかります。「2年かけて、果たしてどのくらい収入があるのか」と聞かれて、自信を持って「就職上の魅力はある」と答えられますか。

 また、「2年後にもその技術は有用ですか」と聞かれると、日進月歩の現代では、見当がつかないというのが本当のところでしょう。

 今すべきことは、我々にとってペイできる社会をつくっておくことです。

 かつて、ワープロが登場したとき、「これからの速記者はワープロだ」と言って普及を呼びかけた人がいました。それはそれで正しかったのですが、安売り競争が進んだというマイナス面が生まれました。

 速記者が卑下して、自分から値段を下げるようなことをしているから、市場を構築できないのです。だから、私は「速記者は自信を持とう」と言っています。サラリーマンも、賃上げを求めるときは団結します。

 仮に速記タイプで供給がふえると、価格が下落するのは経済原則から言ってあり得ることです。ワープロの安売りの二の舞にならないように、速記者同士の団結が必要です。

■「左手のタッチタイプで超高速で打てる若者文化の中に手書き速記は経済合理性を主張できるでしょうか」。


 速記タイプも手書き速記も同じことです。2年間の苦しい修行を、大抵の若者は敬遠するでしょう。

 一方で、漢字検定は喜んで受けています。漢字を学んでも給料がふえるわけではないし(ごく一部の企業を除いて)、漢字を教えて報酬を得るわけでもないので、他人から見て経済合理性はありません。

 なぜ受けるか。漢字検定にはゲーム性があるからです。それを受験者は楽しんでいるのだろうと私は推測しています。

 速記符号もゲーム感覚で教えたり、覚えたりすればいいと私はかねてから主張しています。生業としての速記ではなく、自分用の速記として。

 難しい日本語(漢字も含めて)を、あるアメリカ人タレントはゲーム感覚で覚えたと言っていました。ただ「難しい」だけで済ませずに、もっと自由な広い発想が必要です。

 国字(漢字、仮名)は不規則にできているから、だれも覚えるのが大変でした。それに比べて速記符号は規則的にできているので、覚えやすいはずです。

 日常のメモ程度のために速記符号を覚えるかどうか、覚えた技術を使ってみてプラスと思うかどうか、すべてその人の価値判断です。漢字を覚えて、楽しいとか、人生が充実したと本人は思っている、というのと同じことです。他人からはおしはかれません。


■「速記者が速記の仕事をするとき、速記符号の筆記能力はあってもいいが、聞く力、書く力、それらが普通の人の数倍は経験上優れているという点をウリにしないといけないと思うのです。」

 「数倍」とは何倍ですか。それはどのようにして計測するのですか。科学的根拠がないと、世間を説得できません。

●お願い:兼子さんは、ある講演で「アメリカの速記者は反訳文の著作権を持っている」と言われました。それについて「日本の速記」にでも詳しく書いていただけないでしょうか。

 かつて、東速ではこれが問題になり、法律事務所へ説明を聞きに行ったことがありました。速記者全体にとって重要な問題ですから、説明していただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。
                                     

無題       兼子次生        2011/03/09(Wed)

以前ある方から感想が寄せられていたのですが、なかなか書くことができなくて気になっていました。

リアルタイム反訳の一手法として電子機械速記があるという話でした。「それは速記タイプのことか」という確認でしたが、速記タイプは昔使っていた「ソクタイプを意味する言葉」ですから、違いますね。電子機械速記は、速記符号が電子回路で解読、翻訳できるような機能を加えられています。音声認識は速記符号を用いませんから、厳密には電子機械速記ではありません。
電子機械速記では、一番早く企業化されたのがミニット350(現在の名称はスピードワープロ)です。ソクタイプは機械速記のレベルですね。その後、速記符号を機械反訳するためのはやとくんが開発され、それから自動機械反訳するリアルへも進化してきました。

ちなみに、中国、韓国での電子機械速記は、民間企業が事業として経営しているので、国会や裁判所だけの話ではありません。この点を誤解しないでくださいね。ハイテクは市場を創造する機能も備えているのです。

将来速記者は「記録総合管理士」として生き残る道があると書かれていますが、ISOに基づく記録管理士が既にあるので、このような進路は速記者が目指してもいかがなものでしょうか。つまり、以前から提案しているのですが、記録管理が法律で規定され、資格となっているのに、その記録を作成する工程が全然話題にも上らないのはおかしいのではありませんか。
会議録、発言記録は手段は何でもいいので、速記でもいいし、テープ起こしでもいいし、音声認識でもいいと思います。

速記者がもしこの方面に生き残りをかけるのであれば、ICT以外の技術もあわせ持つというのは、そのようにありたいですね。

(人間にしかない技術)という表現は、私が考えるに「言葉を操る技能」「文章を扱う技能」ではないでしょうか。しかし、そういう表現では、普通の人は当たり前のこと、だから速記が要るという話にはならないと思うでしょう。

速記者が速記の仕事をするとき、速記符号の筆記能力はあってもいいが、聞く力、書く力、それらが普通の人の数倍は経験上優れているという点をウリにしないといけないと思うのです。

今から速記符号を覚えて、会議録を作成しようとしても、就職上の魅力はほとんどなくなった現在、「速記」という言葉にいつまでもとらわれていては、社会の現実から取り残されてしまうように感じます。

感想を書かれた方が速記という希少な技能をもって生業とされているので、どうしても手書き速記技能にこだわりを持たれているように感じます。

「速記」を社会改革論から見るというのは興味深いですね。しかし、実用価値としての存在に本当に高い評価があるのなら、今日の速記の衰退には至らなかったようにも思えますが。日常の筆記に苦労している労働者という古典的な表現は今の若い世代の人たちにはどう映るでしょうか。大学入試問題を左手のタッチタイプで超高速で打てる若者文化の中に手書き速記は経済合理性を主張できるでしょうか。お教えいただきたいところです。

しかし、現在、将来の速記は、手書き符号を用いなくても、録音、パソコン、音声認識ソフト、電子機械速記など、現在の速記協会の活動の外にあるセクターが台頭してきていることを前提に概念の再構築を必要とすると思います。

職人の価値観については自分自身でよくわかります。
会社の上司、行政の管理者が、技能の経済合理性を考えます。
若者は「楽」を求めて、社会価値のある技能にしか目を向けません。
そんな一般論の中から、魅力ある「手書き速記」をどう、社会にアピールしていけるか、戦略的取り組みが必要だと思います。

私は速記が好きです。速記符号を書くとき、心の満足を覚えます。
速記はすばらしいから、みんなに広めたいと思います。
しかし、身びいきなのでしょうか、説明が十分でないのでしょうか、
あるいは、この楽しさがわかってもらえないのでしょうか、
そんなバリアへの取り組みに力のなさを感じます。



別世界の話  兼子次生   2011/02/24

アメリカ速記者協会(NCRA)の会員は2011年1月3日時点で、合計19,604名います。法廷速記市場全体にはアウトサイダーがいるので、合計36,000名いるそうです。

速記士の最高レベルのRDR(レジスタード・ディプロマット・リポーター)は467名、その次のRMR(レジスタード・メリット・リポーター)は2,066名、普通のプロ速記者RPR(レジスタード・プロフェッショナル・リポーター)は7,958名です。

リアルタイムができるCRR(サーティファイド・リアルタイム・リポーター)は2,370名、この資格を持っていないと肩身が狭いのですね。リアルタイム反訳を提供するのが仕事のCCP(サーティファイド・CART・プロバイダー)は258名です。

テレビ字幕分野では、CBC(サーティファイド・ブロードキャスト・キャプショナー)が300名、思ったほど多くない。

このような構成です。あと関連した専門職としては、CMRS(サーティファイド・マネジャー・オブ・リポーティング・サービス、174名)、CLVS(サーティファイド・リーガル・ビデオ・スペシャリスト、981名)、CRI(サーティファイド・リポーティング・インストラクター、350名)、CPE(サーティファイド・プログラム・エバリュエーター、127名)、MCRI(マスター・サーティファイド・リポーティング・インストラクター、2)という内訳です。

男女比率は女性が89%で圧倒的に多い。平均年齢は48歳だから、高齢化しています。
フリーの速記者は64%、公務員は33%ということです。
速記学校は、63校あり、合計119のプログラムが教育、訓練されています。

                                                  以上

感 想
                            1月28日 池田
兼子氏の投稿を拝見しました。
リアルタイム反訳の一手法として電子機械速記を挙げられていますが、これは速記タイプのことでしょうか。
中国、韓国では速記タイプ方式でやっているといっても、それは国会や裁判所の官での話だと思います。
 
日本の民間の営業面では、速記タイプも、速記符号も、録音機も、音声認識も、現状ではすべて一長一短があるので、状況に応じて使い分けていくのがいいのではないでしょうか。
 
もっと将来のことを言えば、音声認識が(多少のミスはあっても)実用の域に達して、また別の局面が現れます。
そのときに「記録総合管理士」として生き残る速記者は、ITやICT以外の技術(人間にしかない技術)もあわせ持っている人でしょう。
 
速記を私的な面で見ると、幾らパソコンが普及しても、相変わらず国民は漢字仮名で苦労しています。
その苦労を緩和するために、漢字仮名に代わるものとして速記符号がありますよ、1級まで行かなくても使えますよ、紙と鉛筆ですから経費はかかりませんよ、という言い方で符号を普及していく。
 
日速協は速記符号で検定を行い、それが存立基盤になっている以上、そのような言い方しかないと思います。
これはまさに田鎖綱紀の言でもあります。
 
営業面と私的な面を混同すると、速記の将来像も見えてこないように思います。

速記符号以外の手段もあるということで、速記タイプの例を紹介されたのだと思いますが、実務面と私的な面では見方・考え方が違ってくるので、分けて考えたいと思います。

 

私的利用の面では、速記符号は、速記文化という「文化論」より、漢字の苦労から国民を救うための道具だとする「社会改革論」としてとらえるべきだと思います。

 

日常の筆記に苦労している8,000万人の労働者の目線で考えると、あながち、「速記符号は文化財的遺物だ」とは言えません。

 

以上、とりとめないですが、兼子さんの豊富な情報と、示唆にあふれたご意見は、大いに参考になりました。





速記の挑戦課題  投稿者: 兼子次生 投稿日:2011/01/25(Tue)
1月24日発行NCRAのテックトレッカーによると、
アメリカの公認リアルタイム速記者(CRR)は、現在2,370名、職業速記者の16%に達している。職業速記者合計は約15,000名ということになる。

CRRになるためには、RPRという職業速記資格者の資格を持っていることが条件で、
(1)リアルタイム機器の設定能力
(2)5分間朗読で96%以上の正確度を達成する能力と、1分間180語の速記ができる能力
(3)自分のマシンで入力した速記原本をアスキーフォーマットに変換する能力。
実技の評価は提出された答案によって行う。

『速記』の未来条件は(1)リアルタイム反訳・原稿完成、が第一と言える時代に入っています。
『速記』がイノベーションを遂げるためには、ICTと融合することを第2の条件としてあげられます。
『速記者』という職業の命運をそれらは握ります。順不同ですが、身近な目標としては(3)生産性を革新的に向上することが第3の条件と言えます。

『速記』のイノベーションには、(1)手書き速記の自動認識反訳システムの開発・実用化、(2)電子機械速記の普及、(3)自動音声認識(ASR)の実用化、の3つの手法があり、それぞれに挑戦する必要があります。

RTは実演の時代をとっくに過ぎて定着しているのがアメリカのすばらしさです。至るところで、日常的に生字幕が、リアルタイムノートテークが行われています。
テレビで紹介される海外ニュースに英語のテロップが流れていると、それはCRRによるリアルタイム字幕です。
実際に打っているところは、同時通訳と同様、裏方さんですから、見えにくいのですが、もし法廷の動画が放送されたら、そのときにCRRが映っているかもしれません。

もっとも、日本から伝播していった中国、韓国でももう10〜20年前にリアルタイム反訳の時代が始まっていますので、日本だけがガラパゴス速記になっているわけです。

一方、『速記文化』の面からいえば、速記を筆記できる人をふやすことが永遠の目標です。
そのためのインセンチブとしては(1)人間が本来持つ競争心を動機とするスポーツ速記の振興。これは大学、高校の速記競技会などに象徴されます。その伝統を継承、発展させていくことです。
また高校、大学へ速記課外活動指導のための引退速記者のボランティア派遣なども検討する必要があります。

もう一つのインセンチブづくりとしては、外国語を学ぶために速記を利用するという発想です。15カ国語ほどの速記を書いて、ギネスに掲載されたドイツのボリス・ノイバウアー博士は外国語を学ぶときにその国の速記を学ぶのだそうです。したがって、日本語の速記本を英語に翻訳することでしょうか。

孤島の速記文化ですが、世界流にならなくてもしっかりした個性を継承していけるといいのですね。
いいお知恵をいただけませんか。

(兼子さんのメールアドレス bxd06051@nifty.com



   2011.1.10

新しい年が静かに動き始めています。

いろいろ不都合があるというお話もありますが、大企業を中心に景気の回復は着実な感じです。大手から中小、零細へと波及することがことし一年の課題だと思います。
回復感が薄い景気動向が続くだろうと思いますが、最悪期を脱出して、少し明るさが見えてくるような一年だと思います。
さて、本日、インテルステノのeニューズが来ました。ことしはインテルステノパリ会議の年です。観光中心にぜひご参加をご検討ください。

なお、一昨年のインテルステノ北京会議の報告書も来ておりますが、容量が大きいので、ご希望の方にはデータ便等で配布しますので、お知らせいただきたく存じます。

今月15、6の両日は加古川市で武部文庫の整理会を開きます。今回で作業は終了したいと考えております。既に6名の方のボランティアが予定されております。

ことし一年、亀の歩かもしれませんが、ゆっくりながら前向きに努力したいと考えております。どうぞ、ウサギの健脚をお貸しください。

どうぞよろしくお願い申し上げます。
                   インテルステノ日本代表  兼子次生



梅雨が近づいているのでしょうか、連休が雨模様になりました。

豚インフルエンザとか、騒がしいですが、皆さんお元気にお過ごしのこととお喜び申し上げます。

インテルステノニューズが届きましたので、お送りします。

競技参加者数や科学委員会の報告プログラムなどが紹介されています。

楽しいプランをあたためてまいりましょう。

どうぞよろしくお願いします。

2009.5.10              兼子次生



インテルステノ報告プログラム  投稿者: 兼子次生 投稿日:2009/04/08(Wed)

2009年8月19日、IFIP(International Federation for Information Processing) Interstenoの報告プログラムが公表された。

レナーテ・ガイヤー氏(独)「新しい情報技術が必要とする子どもへのキーボーディング能力の指導」

兼子次生(日)「アジアにおける手書き速記」

河原達也(日)「日本の国会向け自動音声認識を用いた反訳システム」

グレゴール・ガイヤー(独)「広報−−なぜインテルステノの機関は宣伝しなければならないか」

ピウス・オナナ(タンザニア)「電算支援逐語記録を通じて、アフリカにおける下流の職業とビジネス社会と国内機関における能力形成の強化」

ファブリジオ・ガエタノ・ベルルッソ(イタリア)「シシリア国会:伝統と革新。速記と音声反訳。それらの過程の略史」

カレン・イエイツ、カレン・ルード、ライネッティ・エッガーズ「学習された教程:オンラインリアルタイム教育の実体験」

Speech to Text technology の領域でさまざまな報告が行われる。

リアルタイム字幕技術としても、近年注目される技術が関心を呼ぶ。

(速記の歴史を楽しく紹介することができたらいいですね。

きれいな絵、写真を捜します。)


  
◇  春    別         兼子 次生

中国の友人、顔廷超さんが亡くなった。
インテルステノの情報をメールで送っていたら、一昨日、1本のメールが入った。顔先生の子どもと自己紹介し、昨年12月6日、病気のため亡くなったと書かれていた。

ことし、北京に行けたら、ハルビンへ足を延ばして再会したいなと思っていたのが、間に合わなかった。

満州建国大学設立ごろ入学、
それ以来日本の大ファンでした。
大学時代に、大学長の秘書の速記者、西川伍策さんから田鎖式を学び、それから速記の虜になった。当時、亡くなられた田鎖源一さんは満州国政府へ就職し、終戦まで秘書のような仕事をされたいた。もしかして、面識があったかもしれない。

顔さんは、日本語の速記を学ぶだけでなく、それを基に中国語の速記を研究された。戦争が終わっていっぺんに共産化されると、顔先生のような日本びいきの方はつらかったろうと思う。
ソ連から入ってきたサカロフ式を基に、中国で一番最初の草書派を創案された。中国草書派の父である。以後、草書派の改良を続けてこられた。
ワープロ時代が始まると、シャープのワープロを自由自在に駆使し、タイプ速記を考案された。
日本へ来られたころは、大変お元気で、すばらしいエネルギーの持ち主だった。
後年うかがうと、顔回の子孫だそうだ。顔氏の子孫の会があり、そこでも尊敬されておられた。

住所は知り合ったころから、黒竜江省のハルビン理工科大学にお住まいだった。子どもさんもそのキャンパスの中で生活しておられるようだ。

荒木章さんが何度かハルビンを訪問し、交流されていた。
私は自由がきかなくて、とうとう存命中に訪問することができなかった。

中国の草書派の父、中国語の高速入力研究者、中国速記方式史の研究者、それ以上に日本との友好交流を心から願って、大きな架け橋になってこられた顔廷超先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。

顔廷超先生、あなたの業績は永遠です。





☆インテルステノ最新日程

流れるように話される言葉。
消え去る一瞬にとらえ、文字に変換する技術と技能がことし夏、
北京において集います。
羽の生えたペンが蝶のように舞い、フランス語、ドイツ語、英語、中国語、ロシア語、
あらゆる言語を文書化するエキスパートがさまざまな色の花のまわりを舞い、踊ります。

普通のキーボードで入力する選手、ステノタイプを用いて入力する選手、そして音声認
識を駆使して文書を完成する選手、スピーチ・トゥ・テキスト・テクノロジーの最新技
術が議会、テレビ字幕、ビジネスで活躍しています。
さあ、華麗な文字司の世界の祭典に皆さんをお招きします。
最新の日程をお送りします。
どうぞよろしくお願いします。
International Federation for Information Processing INTERSTENO, Japan Group Pr
esident  兼子次生

第47回インテルステノ北京会議プログラム ) 2009.2.17  bxd06051@nifty.com

<2009年8月12日(水)〜21日(金)> site : http://www.intersteno.org/

8月12日(水)競技会審判準備作業

  13日(木)多言語競技

  14日(金)役員会(8:30)審判委員会・タスクフォース会議(14:00〜)

  15日(土)第1回評議員会(9:30〜)

        大会開会式(北京大学、15:00〜)、記者会見

        祝宴展示会開会16:30〜)

        競技説明会(17:30〜)

  16日(日)文書作成競技、文書校正競技、プロレベルワープロチャンピオン競技

        議会分科会(IPRS、10:00〜)

        国際商業文・議事録作成競技(16:00〜)

        多言語速記世界チャンピオン競技(17:00〜)

        競技採点

        観光(オプション)

17日(月)発言捕捉世界チャンピオン競技(8:30)

リアルタイム世界チャンピオン競技(12:00)

        多言語速記競技世界チャンピオン競技(14:00〜)

        競技採点

        観光(オプション)

  18日(火)青年の日(26歳未満の参加者全員を対象とする。事前に申し込んだ青年は参加費無料。それ以外の参加者は68ユーロで参加できる)

8:0021:00までの間、食事つきで終日文化観光

        審判夕食会(18:00〜、審判・アシスタント・タスクフォースメンバー)

観光(オプション)

  19日(水)第1回分科会(9:0012:00) 

        第2回分科会(14:0017:00

        評議員会夕食会(18:30〜)

観光(オプション)

  20日(木)第2回評議員会(8:30〜)

        総会11:00〜)

        表彰式16:00〜)

        フェアウェルディナー(18:00〜)

        観光(オプション)

  21日(金)観光(8:30〜、終日北京観光=参加申し込み時に受け付け)

                                   以上

       
ごらんいただけると幸いですが  投稿者:兼子次生

あけましておめでとうございます。

私事で恐縮ですが、
大修館書店の雑誌「言語」2月号、1月14日発売に、
ICT時代の速記〜広がる手段の多様性と概念の拡大〜が掲載されます。
話し言葉書き言葉化に関心のある方へお知らせいたします。

ことしは、8月中旬、北京でインテルステノの大会があります。
速記、ワープロ直打ち、音声認識、さまざまな手段を用いて、テキスト・プロダクションの競技があります。
世界で速記が今、どのように概念を拡大し、イノベーションが進んでいるのか、北京の夏の観光を楽しみながら、世界の速記者と交流するつどいです。
正月早々、2つのお知らせをいたします。

どうぞ、この1年、世界不況のトンネルから早く脱出するよう、大いにがんばりましょう

◇惜 別  投稿者: 兼子次生 投稿日:2008/11/26(Wed) 21:04

 私の速記符号を考案された植田裕(うえた・ゆたか)さんが、80歳の天寿を全うされた。香川県立高松商業高等学校の速記部の卒業生で、母校に残り、速記を指導された若いころ、中根式の速記符号を盛んに研究、か行曲線符号を公表された。

高松商業からの転校生が大阪市立西商業高等学校へあらわれ、3年生のときに速記部をつくった。そこで1年間中根式速記植田派の符号を植え付けた。その中から芽を出したのが一人は西村泰一さんであったが、彼は高校卒業後石川吉正さんの門をたたき早稲田式でA級試験に合格して速記士となった。

しかし、私は植田派の符号を変えずに、稲垣正興さんの符号を初め、片っ端から他式の理論を採り入れて、大学3年の4月独力で1級に合格した。そのころから、植田さんとお会いする機会を持ったが、か行曲線符号は西商業に渡来したとき少し形を変えていた。

か行曲線符号の操り手に、脇さんという方が1人いる。似ても似つかない符号を書いていると私は想像する。社会へ出てからも植田さんとのつきあいは続いて、細く細く続いてきている。植田さんは符号を絶えず工夫されてきた。それを速記科学研究会の後進に常に伝えようとつとめられた。

その符号はとっくに中根式とは言えない形に変化している。
それを中根康雄さんは大きく受け入れてきた。中根式最後の符号研究者であるからだ。

目を閉じると、符号の解説に打ち込まれる植田さんのお顔が映る。

若いころの植田さんの写真がパソコンの中にあった。植田さん、ゆっくりお休みなさい。
長い間、ありがとうございました。



  
               
   
 お待たせしました!

 来年のインテルステノ北京会議の案内ができましたので、お送りします。
 ぜひご検討ください。
 どうぞよろしくお願いします。       2008.11.15(兼子次生)

kaneko.pdf  ←第57回インテルステノ北京会議の詳細がリンクされています。
 開けない場合メール添付で送らせていただきます。
 メールアドレスをこちらへ
(HP担当)お知らせください。
 以下は、内容の要約です。

   行こう、北京、目指せ北京!

 2009年8月15日〜21日まで、北京で第57回インテルステノ北京会議が開かれます。

 Speech to Text Technologyのdiversityを俯瞰しよう。
 衆議院における議事録作成支援システムとしての音声認識技術について、京都大学学術情報メディアセンター教授の河原達也博士、韓国の電子機械速記を開発、テレビのリアルタイム字幕付与を実用化した漢陽大学教授の金漢宇博士の講演が行われることが計画されています。

 申し込みは10月1日から。

 最高裁判所におけるビデオ録画のインデックスを作成するための音声認識技術の開発などについて、どなたか報告する方はいませんか。

 もちろん、テレビ字幕を目指した電子機械速記はやとくん、裁判員制度を支援するリアルタイムソクタイプ反訳システムなど、それから、みんなの速記における速記普及計画の経過と今後の展望、手書き速記のイノベーション理論など、大いに歓迎します。


◇Sent: Sunday, April 06, 2008 8:36 AM
顔先生の92歳の誕生日のお祝いを申し上げましたら、このようなメールが来ました。
兼子次生

(中国の速記者顔先生、おめでとうございます。
メール文は割愛させていただきました。 HP担当)

記念写真  投稿者: 兼子次生氏  投稿日:2008/03/18(Tue) 08:27 No.3993

 金沢二水高校から金沢大学、そして京都大学大学院を卒業。
高校時代は速記に没頭された下谷政弘先生が今月末で京都教育大学を定年退官されます。
最終講義を聞き、お別れ会に出ました。
大勢の教え子と教員仲間が祝福。
奥さん、ご長男夫妻、ご長女も入った記念写真でした。


(速記研究会風景)
加古さんが音声認識の報告をしました。
久しぶりの中村さんが飛び入りで挑戦。
なかなかいいできでした。
中村さんの研究ぶりがよくわかりました。


潟Xテップ 竹島 茂さんより  2007.9.15
 
 9月14日付けの朝日新聞夕刊に、有馬稲子さんの「風雅月記」という記事がでていました。9月3日の記述に、辻原登さんの「円朝芝居噺 夫婦幽霊」を読んだという記載があり、こんな人もこんな本を読むのか、と興味を持ちました。
 私ももちろん書評で承知して発売間もないころに買って読んでいます。発見された円朝の速記符号原稿を解読しようという途方もない作り話ですが、結構おもしろい読み物だったことを覚えています。
 有馬さんが語っています。「速記というものの妙。速記は忠実な記録ではなく、記号のようなもので「私」を表す一人称の記号は一つだけ。「わたし」とするか「あたい」とするか、翻訳者の裁量なのだという。へえー、目からウロコ」云々。こんな記事にも注目してほしいと思いますね。
 最近、新しい単行本を出版しました。速記とは関係のない本です。興味があったら、うちのホームページを覗いてみてください。(竹島)
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元会員 徳永渉子さんより  2007.9.10

  静岡の相良さんより「しずおか速記の会」第39号が送られてきました。
  11名で発足したものが、8月中に、日ごろワープロ反訳で仕事している人たちにも 呼びかけたら6名の申し込みがあり、現在19名ですって。
  どこでも会員減の話しか聞かないのに、会のあり方にも変化が予想され、 静岡は新しい発信基地になるかもしれないと思いました。
  旧弊打破、記録業務に携わる者たちのバリアフリーのいきかたが、 魅力のあるところかと思う。( 徳永)
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兼子次生さんより    2007.9.4
先人の遺徳を偲び

9.2
右手に持った鉛筆で普通の文字を、左手に持った鉛筆で鏡面文字を同時に筆記された中根正親翁。
あらゆる知識の類型化と法則性の発見に秀でた天才だった。
字音語における「インツクキの法則」は速記界に大きな衝撃を与えた。

若くして教育畑に転じ、確立した「要体教育」は、学力問題に悩む現代にも通じる。各教科のエッセンスを取り出し、リズムとメロディで記憶させる学習法である。数学、物理、化学、国語、英語、すべての科目に要体教授法が開発された。英文和訳の「ブランク・イングリッシュ」は英語を日本語に翻訳する際の主語、述語、目的語などの構文を方程式にしたようなもの。自動的に日本語の文章に変換できる妙法である。

そんな中根正親翁が学んだ京都大学の土木教室。写真はそのころから続いてきたと思われる土木学科の校舎。
先頭を切ってさっそうと歩くのは、おいにあたる康雄氏。
速記科学研究会でのエクスカーションだった。
(兼子)


「聴覚障害者のための字幕付与技術」
                     H19.6.1  (兼子 次生氏より)

 下記の「聴覚障害者のための字幕付与技術シンポジウム」が9月15日午後、京都市左京区の京都大学学術情報メディアセンター南館2階で開かれます。聴覚障害問題を理解するよい機会です。
 リアルタイムに要約することの意味、その手法は、あなた方がいまだ経験していない世界です。
 お時間とご興味がありましたら、ぜひご参加ください。交流会も計画しています。
 また、速記者の方には、スピーチ・リコグニション(SR)を学ぶ好機でもあります。

http://www.ar.media.kyoto-u.ac.jp/members/kawahara/seminar/jimaku.html

 どうぞよろしくお願いします。
    
 
     
 『しずおか速記の会』の会報について
                  H19.6.1  (元東速会員 徳永渉子さんより)

 相良氏の『しずおか速記の会」の会報、皆様のところにもいっていますか。
 ワープロ開発物語が各号に載り始めました。
 ワープロソフトの開発を、企業が手がける前に速記者用に
 開発し始めたいきさつが書いてあります。1970年代から始まっています。
 地方の一速記者の中に、蘭学事始の血が脈々と生き、
 その日常のこつこつとした努力、すごいなと思います。
                                   
 (ご希望の方は直接下記までお申し込みください。 HP担当)
現住所 「しずおか速記の会」 幹事・相良頼昭
静岡市葵区鷹匠1丁目9番2号
相良速記事務所内
電話 054−255−2217
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
インテルステノ を知っていますか.  
ここも読んでください。
http://8610.teacup.com/steno/bbs

インテルステノは、正式にはInternational Federation for Information Processing という名前で呼ばれているユネスコ傘下の国際組織です。

内容は、速記、タイプライティングの国際競技や研究発表、情報交換、討論などを行っています。

最近ではリアルタイムの競技も行われていますし、驚くことに音声認識の参加競技もあることです。

話されている言葉を文字という情報に変換するための技術、技能を速記と呼んで、そのすべての技術を同じ概念の中に包み込んでいるところが多様化する世界をあらわしているようです。

その大会がことしは、チェコのプラハで7月に開かれます。
競技文は英語で原案が書かれ、それを参加する国ごとに翻訳して使います。原案が私のところに届きましたので、もし参加する方がいらっしゃれば日本語に翻訳して審査委員長へ問題文を提出する必要があります。

腕に自信のあるスピードライターは挙手してください。

Dear Minasa,
We received an annoucement from Intersteno China Group for 2009 Beijing Congress.
皆さん、
中国のインテルステノグループから2009年北京大会の案内が来ました。
This summer Interesteno Congress will be held in Prague 2007 in Czech.
There will be held Fast transcription, Multi language stenography contest, Stenography contest,Word processing contest,Speech recognition contest , Proofreading and so on.Also we have report on advanced technology in reporting and The symposium on high technology.
ことしの夏は、チェコのプラハで、インテルステノ2007が開かれます。競技は、リアルタイム速記、多言語速記、ワードプロセシング、音声認識競技、校正競技などが開かれます。
We hope you to join the coming Prague congress this summer.
プラハ大会へのご参加をお誘い申し上げます。
  
Tsuguo Kaneko
The president of Intersteno Japan group
インテルステノ日本支部長 兼子次生
 
顔老師お元気ですよ  兼子次生


ハルビンの顔廷超先生からたよりが来ました。

新年おめでとうございます。
この1年間において、私は回想録を書く。電子速記の教科書も書きました。それから私の祖先の顔回の一生と思想を研究し、顔回に関する孔子の語録を解釈しました。これで私は顔氏文化傑出貢献奨を受けました。その写真を差し上げまして記念としてご笑納を願います。
92歳を迎え、新しい一年中にblog文化研究会を組成することを努力しています。
先生から送りました日本の速記戴きました。どうもありがとう存じます。
荒木章先生は連絡はなし。かれは身がいかがですかな。
唐先生は健康でハルビンに来て、私宅を訪問されました。彼は93歳になるかな。
ご幸福を祈り
顔廷超
2006.12.20 ハルビンにおいて
ウイキペディアによると、顔廷超先生のご先祖、顔回は大変な人でした。引用させていただきます。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: ナビゲーション, 検索
顔回(がんかい、紀元前514年 - 紀元前483年)は、孔子の弟子。字は子淵(しえん)。字より顔淵(がんえん)ともいう。魯の人。孔門十哲の一人で、随一の秀才。 孔子にその将来を嘱望されるも夭折する。顏回は名誉栄達を求めず、ひたすら孔子の教えを理解し実践することを求めた。その暮らしぶりは極めて質素であったという。このことから老荘思想発生の一源流とみなす説もある。

論語には顔回への賛辞がいくつか見られる。たとえば孔子が「顔回ほど学を好む者を聞いたことがない」(雍也第六、先進代十一)や同門の秀才子貢が、「私は一を聞いて二を知る者、顔回は一を聞きて十を知る者」(公冶長第五)、と述べたことが記載されている。顔回は孔子から後継者として見なされていた。それだけに早世した時の孔子の落胆は激しく、顏回の死を聴かされた時に、孔子は「ああ、天われをほろぼせり」と慨嘆したことは有名である。

現在、子孫が世界中に散らばっていて、時に一族が集まることがあります。その会で、業績を認められて、顔廷超先生は表彰されたんですね。
そのような立派な先生と友人になれて、光栄です。






全員の記念写真。8校55名だったと思います。



見事な紅梅、その後ろに黄色と白の花が咲いていて、圧巻。
京都教育大学の庭において。

兼子 次生


ドイツの友人  投稿者:Tさん 2005.11.28

年末になると、ドイツの友人からたよりが来ます。
昨日は、初めての方から郵便が届きました。
ドイツといえば、草書派の頂点にある文化です。
その功労者、ガベルスベルガーの功績を記念して発行された切手がありました。
自分たちの文化に誇りを持ち、しっかりと継承していく速記王国ドイツを尊敬します。
速記100年の際、記念切手の発行を提案しましたが、実現しませんでした。110年、120年ではもう言う元気がなくなっていました。
しかし、今こそ、若林カン蔵さんの肖像を入れた記念切手を発行する努力が必要かもしれません。最近、個人の意匠で切手をつくれるようになってきましたね。(1)田鎖綱紀、(2)若林、(3)林茂淳、(4)佃、(5)ガントレット、(6)武田千代三郎、(7)熊崎健一郎、(8)中根正親、(9)川口渉、(10)川上晃、(11)国字寿光、(12)佐竹康平、(13)毛利高範、(14)などなど、人気投票をして、共同頒布会で、限定版オリジナル速記関係者切手を発行するのはどうでしょうか。



☆MKさんからのメール     2005.10.17

中根康雄著『絶妙な速メモ(速記)の技術』増刷決定

 明日香出版社より出版されたこの本は、日刊工業新聞、週刊ダイヤモンドなどにも
取り上げられましたが、読めば、楽しい速記の原点に気づかされること間違いなし。
たとえば、○のなかに一つ点を書いて(  )、「丸の内」と読む。
これは正規の速記文字より速いのでは?
一般人向けに書かれたとのことですが、速記者やテープおこし専門の方でももちろん楽しめるし、
利用価値大いにあり。
………………………………

☆徳永渉子さんからのメール       2005.10.6

9月30日付の『日刊工業新聞』に『絶妙な速メモの技術』(中根康雄著)の紹介文が掲載されています。
「絶妙」と「速メモ」の技術とはどんなものか、ちょっと読んでみたくなるような、よい紹介文だと思います。
マンガ世代にもシニア世代にも受け入れられ、頭の体操になりそう。
即妙に次々と出てくる類音の洒落言葉の飛ばし方の速いこと、頭の回転の速さには、いつも敬服します。
若々しい、ちょっと得意そうなお顔も浮かんできて、私も手ともに置いて読んでいて、ニヤニヤしてしまいました。

書店のビジネス書の店頭に並べられていて、増刷を重ね、よく売れているらしい。
明日香社出版(¥1300)です。


 
対応しませんか( 2005.4.5)

4月1日から施行された「e文書法」で電子保存が容認される文書に、株主総会の議事録等があります。
株主総会の仕事をしている速記者の方、e文書に対応していますか。
また、電子文書の弱点である@改竄、A修正、Bすりかえ等に耐える形式を提供できますか。
それらが行われた場合、検証できる仕組みにできますか。
技術的には、XML言語を使用するとか、pdfの書き込みができないモードに変換するとか、今や速記録はITのまっただ中に置かれています。
電子文書を管理する記録管理士の方と連携がとられるように、記録作成士である速記士は社会が求める技能を身につけ、時代規格の最高品質の速記録を提供しなければなりません。
東京速記士会の会員の皆さん、全速連の皆さん、後れてはいけません。(兼子 次生)
     会員の皆様                      2005.2.8
                                   理事長  畠山 徳男

 暖冬の予想に反して、厳しい寒さが続いておりますが、皆様にはご健勝にてご活躍のことと存じます。
 2月5日に開催されました総会において、ポスト50周年を見据えて、事業計画の一つとして「
これからの記録業務を考える委員会」の設置をご決定いただきました。
 本委員会においては、原点に立ち返って記録業務のあり方を見直し、当会の設立以来の目的でもあり、事業計画にも掲げております「
会員の経済的、社会的地位の向上を図る」という点についても大いに議論していただき、記録の作成業務に従事する者の望ましい姿を構築していただければと考えております。
 本当に春は名のみの大変な寒さが続いております。風邪などを召しませぬようご自愛のほどを。


参考意見

 畠山さんの宿題の「正当な評価」という点について、考えると難しいですね。
 公務員速記者と民間速記者では異なりますが、民間のフリー速記者に関しては、産業評価というのでしょうか、
 【速記者の自己満足度】という点では、速記をやってよかったなと納品して感じる気持、やりがいを感じるとき、仕事が評価されていると感じるとき。
 【信用】という点から見れば、速記録に対する信頼性が高いこと、速記料金が通ること、取引が継続されていること。
ということでしょうか。

 公務員速記者は主として【内部評価】ですが、大所高所から見た評価とミクロの職務評価的な内部評価に分けられると思います。前者が、地方議会の速記離れ、裁判所速記官制度の改革であり、参議院の速記改革につながった視点です。総合的な評価というのでしょうか、費用対効果の視点と資源の最適配分というのでしょうか、この視点が決定権者の側にあります。

 残念ながら弁護士、公証人、行政書士、司法書士などのように、速記者は【絶対的な評価】を受ける地位を獲得していません。速記士法があればいいのですが、無理ですね。

 速記者は【相対的評価】で正当な評価を得なければなりません。そのためには、顧客満足度を満たすこと、つまり費用、品質、納期を満足していただけることです。

 【正当な評価】では、速記者という職業の価値を認めていただけ、それにふさわしい権威を認められ、適正な謝礼を支払っていただけるようになることが、正当な評価を実感させる点ではないでしょうか。通俗的な言い方をすれば、プライドとお金が正当な評価の基準で、それが人間関係で確認できるような顧客との信頼感があるとき、速記者の生きがいがあるのではありませんか。

 そういう正当な評価を協会がどう実現していくのがいいでしょうか。【速記者の使命】【速記者の職業倫理】【協会の使命】など、個人で努力すべき点と協会が方向性を示し、促進するという司令塔機能がうまく回転することでしょうか。

皆さんのお考えをお聞きしたいと思います。(兼子 次生)

             「中国速記方式史」の紹介

1)中国の顔廷超さんから、「中国速記方式史」という本が送られてきました。
中国の速記方式の発達を書いた唯一の研究書です。
発行は四川広漢速記秘書学院、2004年発行。B5判、第1巻56ページ、
第2巻61ページ、第3巻66ページ、付録的に2ストローク方式の
機械入力方式(42ページ)という構成です。
簡易製本ですが、1冊30元で、顔さんのところへ申し込めばわけてもらえます。

連絡先は、中国黒竜江省Harbin 市、Harbin 理工大学財務処転、顔廷超先生です。
 
中国の速記は1896年、蔡錫勇が「傳音快字」という名称で発表したのが始まり。
その後、息子の蔡璋が1905年に「中国速記学」として発行しました。
清朝の国会開設時の速記録作成に採用されました。
一番最初に正円幾何派が入り、次に半草書派のグレッグ式を翻案した亜偉式が
1938年に発表されました。
共産中国が成立したのち、ソ連から草書派が入り、顔さんが1952年に発表しました。
それらを改良した方式が多数出現し、綜合派という融合した理論も生まれています。
顔さんの方式史には速記符号がふんだんに掲載されており、
符号研究家には垂涎の的といえるものです。

(なお、この分野の大家は荒木章さんです。兼子次生)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

無題    佐々木光子(2005.2.9)

中国の速記について、私の知っている範囲のことを記します。
中国には26の速記協会があり、個人の速記学校が10以上あると10年前に聞きました。
したがって、現在はもっと増えていると思います。
パソコンが発達しているので、その関係で手書きの速記符号の学校が増えているか、減っているかは存じません。
1896年伝音快字(速記)が発明されたことは兼子さんが書いておられるとおりです。
イギリスのピットマン式や、アメリカのリンズレー式の影響を受けた葵錫勇の子息(王へんに章の字を書いた人)は1903年に発表し、
1938年にグレッグ式を発展させた符号を発表しています。
−−規格化亜偉速記、を発表しています。

Mailのご紹介 
★シュンペーターのこと  2005.2.28

 昔、ある大学の教授からの依頼で、世界的に有名なシュンペーターの名著「資本主義・社会主義・民主主義」の草稿前の下書きの研究に関して協力させていただきました。
実はその草稿が速記で書かれていて、未解読だったのです。当時、東ドイツの老速記者を捜し当て、ついに解読成功というストーリーでした。
シュンペーターは1883年、日本で田鎖綱紀が講習会を開き、若林らが実用化に命がけで努力しているころ、オーストリアで生まれました。ドイツ語のガベルスベルガー式を学習、その当時のインテリゲンチアの教養だったのですが、その後の学術活動の大きな力となったわけです。
銀行頭取、大蔵大臣、ボン大学教授、ハーバード大学教授として活躍する裏に速記があったことは知られていません。そんなシュンペーターのことを皆さんに話題としてお知らせし、ご意見を聞きたいなと思いました。
 イギリスのケインズ学派が優勢な中で、アメリカのハーバード大学の学者たちは近代経済学をうち立て、中でもシュンペーター初めて「イノベーション」という言葉を使って、革新が不況を解決する説を立てました。彼の言葉には深い意味のあるものがたくさんあります。
次のような言葉を速記という産業と関連させると、どのような考えが出てきますか。

(1)不況は、非効率なものや老朽化したものを市場が追い出す有益なものである。
(議会、裁判の速記録は今やそういう扱いになろうとしているのか?講演、マスコミ市場は違うぞ!)

(2)景気は不可逆的である。(符号速記苦境は再起できるのか?)

(3)利潤の源泉は、企業家とその革新(イノベーション)活動にある。(結局、もうからないとだれもやらない、後継者難はその証明だろうか?)

(4)新しい商品、技術は模倣され、普及する。(テレコは速記者の武器となった。
しかし、それは非速記者にすぐ広がってしまった。それなら、どうすればまねられないか?)

(5)経済では、利潤の真の源泉は生産技術、新素材、管理組織、市場開拓等にわたる経済均衡を破る革新にある。
創造的破壊である。(民間速記者はあらゆる面で速記の近代化に取り組まなければならないのか。職人技はそれに乗れるのか?大阪のワードワープは一大チャレンジ!)

 速記界の現状を見るとき、ケインズが言う「経済的進歩は、宗教と伝統的考え方が常に戒めている人間の強い利己心を働かせたときに初めて実現する」という言葉も重くのしかかってきます。(個人零細職人を守る秘策はないのか?)

 速記界は、いかに変わるべきか。大きな命題です。 (兼子次生)
                      

中国からの手紙(2005.1.2)

 日中速記界の双方の功労者をあげると、中国はハルビン市の顔廷超先生、日本は荒木章さんの名前をあげることができます。
 その顔先生から新年のたよりが来ましたので、ご紹介します。
 第一の話題は、東速のHPに紹介していただいている「中国速記方式史」の件。これまで、中国の速記研究者として、初めての斜体派の創案、中国速記方式史の執筆、日中速記友好の推進など、多くの業績を上げてこられました。その成果が認められて、顔氏文化研究会から「当代顔氏宗親十大孝友楷模」奨を受けられたとのことです。(写真参照)(ことし4月15日に、顔廷超先生は90歳)
          顔氏って、紹介した方がいいですね。孔子という有名な聖人がいました。論語を習ったことがあるでしょう。あの、孔子の弟子に顔回という方がいました。
 「顔回は41歳で去りました。孔子に次ぐ聖人として「復聖」の名で呼ばれ、現在でも大きな廟に祀られています。
 顔回の葬式の時、孔子は哭(コク、つまり声を出して泣く、の意)そして慟(ドウ、これは身を震わす、の意)という文字で表現されるように悲しんだ、とあります。中国では、いかに親しい人物が死んだとしても、泣くことはあれ、身を震わして悲しむ事はあり得ない、とされていたとのこと。つまり、それだけ孔子の無念さが伝わってくるようです。」
このような説明がインターネットで見つかりました。
 その顔氏の末裔の一人です。世界顔氏宗親連誼会、南京顔氏文化研究中心、第8回世界顔氏大会優秀人物評選委員会が、顔回の子孫で現在、世界中で活躍する方から10名を孝行な子孫として表彰する制度を実行しています。顔廷超先生は速記の研究において、一族のうちで世界の10指に入る業績を認められたのです。
 ことし4月15日に、顔廷超先生は90歳。現在、英語の斜体式速記法を修正しておられ、中国語と英語が書ける方式として、デビューを期しておられます。そんじょそこらの速記研究家と違って、筋金が入っています。ちなみに、これまで顔老は、朝鮮語の斜体式速記もつくっておられ、日本語にも斜体式をつくっていますよ。
速記のスーパー研究者です。(兼子次生)