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カネダ著作権事務所

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『著作権等の“相続”には注意が必要です!』
(令和元年71日から施行されています。)

著作権が売買されたり、相続されたりして、権利の「移転」が生じた場合、著作権法においては、善意の第三者を保護するため、不動産登記の制度に倣って、「登録対抗制度」を設けています(77条)。従前、法77条は、次のように規定されていました:
(従前の著作権法77条)
『次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一 著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)若しくは信託による変更又は処分の制限
二 (略)』
★下線部分に注目!
これが、平成30年の改正著作権法(「令和元年71」から実施)によって、次のように変更されました:
(改正著作権法77条)
『次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一 著作権の移転若しくは信託による変更又は処分の制限
二 (略)』
下線部分が削除!

これが何を意味するかと言うと、令和元年71日からは、「遺産分割や相続分の指定などの相続による法定相続分を超える部分についての著作権等の移転や会社分割などの一般承継による著作権等の移転については、登録しなければ第三者に対抗することができない」という取り扱いになります。

具体例で説明しましょう。例えば、あなたの父親(母親はすでに亡くなっているとします。)が著名な作家で、生前多くの著作を残していたとします。あなたには弟がいて、遺産分割協議の結果、あなたが「持ち分10分の7」、弟が「持ち分10分の3」で父親の財産(著作権)を相続するという話がまとまりました。この場合に、あなたが相続した「持ち分10分の7」は法定相続分の「10分の5」(民法9001号参照)を超えていますので、その超えた持ち分を、第三者(例えば、生前、あなたの父親からその著作のすべての著作権を買い取ったと主張する者)に対抗(あなたが相続した持ち分を主張)するためには、文化庁に登録の申請(相続による著作権登録の申請)をして、登録を備えておかなければなりません(注)。
(注)相続による法定相続分の承継については,被相続人の死亡によって当然に権利が移転していますので、文化庁に登録しなくても第三者に対抗することができます。法定相続の場合には,登録をしなかったことにより権利が主張できなくなるということはありません。

著作権や著作隣接権、出版権の相続が発生した場合には、上述した点に留意して、適切な手続を選択してください。
今回の改正について疑問や不安のある方、また、一般的に著作権等の相続に関してお困りの方は、ぜひ、当事務所にお問い合わせ・ご相談ください。

willwaylegal@ar.wakwak.com

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