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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

舞踊無言劇著作物▶その他(「キラキラぼし」の振付け/ファッションショーのモデルのポーズ動作/日本舞踊の振付け)

[「キラキラぼし」の振付け]
▶平成210828日東京地方裁判所[平成20()4692]
「キラキラひかる」や「ピカピカひかる」の歌詞に合わせて両手首を回すことは,星が瞬く様子を表すものとして,誰もが思いつくようなありふれた表現であり,また,「キラキラひかるおおきなほし」と「ピカピカひかるちいさなほし」の対比として,前者では両手を高く上げて腕を大きく振り,後者では,胸の高さに挙げた両手を小さく振ることも,大小の対比として自然に思いつく,ありふれた表現であると認められる。さらに,「うたっているよ」の歌詞に合わせて手を順番に口の横に当て,首を左右に揺らすことも,歌っていることを示す動作として,ありふれた表現であると認められる。
そして,「たのしいうたを」の歌詞に合わせて,両手を胸の前で交差させて首を左右に揺らすことについては,原告書籍より前に発行されたポプラ社書籍に掲載された「キラキラぼし」において,「おそらのほしよ」との歌詞に合わせて右手と左手を順に交差させて胸に当て,体を左右に揺らす動作が記載されていることからすれば,両手を胸の前で交差させ,体を左右に揺らす動作は格別な表現ではなく,上記振付けは,ポプラ社書籍記載の動作と左右に揺らす部位が首であること及び対応する歌詞に違いがあるものの,特段創作性があるものとは認められない。
したがって,原告主張の振付けは,創作性を有する著作物であるものと認めることはできない。
以上によれば,原告主張の「キラキラぼし」の振付けは,著作物には当たらない。

[ファッションショーのモデルのポーズ動作]
舞台上の一定の位置で決めるポーズの振り付け,舞台上の一定の位置で衣服を脱ぐ動作の振り付けについて
() 本件映像部分において,「Iline1着目」では,モデルが手を前後に大きく振りながら歩き,立ち止まって両手を腰に当てた上で,腰を向かって左,右(向かって左,右を指す。以下同じ。)の順にゆっくりと大きくひねる様子(ただし,場面1(1)では手を前後に振る様子は映っておらず,腰をひねる様子も,その一部が映っているにとどま る。)が,「Anna2着目」では,モデルがゆっくりと前方に歩く様子が,「Anna1着目」では,場面1(3)においてモデルが両手を腰に当てて歩き,立ち止まって,手を腰に当てたまま,肩を揺らす様子が,場面2(2)においてモデルが腕を下ろして揺らしながら歩き,やや斜め前方を向いて立ち止まって,左右に向きを変えながら肩と下ろした腕を揺らす様子が,「Izabella2着目」では,モデルが左手に持った紙袋から右手で中身を出し,左手に移し替えた上,右の手の平を広げて耳に当て,さらに,体の横で両手の平を上に向けて観客をあおるようなそぶりをした上,左手に持っていた物を右手で投げる様子が,「Tamra2着目」では,モデルが両手を腰の高い位置に当てて歩き,立ち止まって体をひねった後,後ろを向き,歩きながら毛皮のコートを脱ぐ様子が映っていることが認められる。
() 各モデルの上記ポーズ又は動作は,ファッションショーにおけるモデルのポーズ又は動作として特段目新しいものではないというべきであり,上記ポーズ又は動作において,作成者の個性が表現として表れているものとは認められない。したがって,これらのポーズ又は動作の振り付けに著作物性は認められない。

[日本舞踊の振付け]
▶平成141226日福岡高等裁判所[平成11()358]
本件第1舞踊は,A流のために作られた創作音曲に独自の振付がされたもので,同流派を象徴する舞踊である。本件第2ないし第4舞踊は,従前伝統芸能・民俗芸能として手本となる踊りがあったりするが,それとは離れて独自性のある振付がされたもので,いずれも,日本民謡舞踊大賞コンクールで受賞する等,客観的にも芸術性が高い。
したがって,本件各舞踊は,いずれも,振付者の思想,感情を創作的に表現したものであるということができ,十分に著作物たりうる創作性を認めることができる。

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