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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

地図図形著作物▶建築設計図

▶平成30409日福島地方裁判所[平成2()105]
建築設計図は、一般に、学術的性質を有する図面にあたり、そして建築家がその知識と技術を駆使して作成したものでそこに創作性が認められる限り、著作権法1016号の著作物性を肯定し得ると解され(る。)

▶平成27525日知的財産高等裁判所[平成26()10130]
建築物の設計図は,設計士としての専門的知識に基づき,依頼者からの様々な要望,及び,立地その他の環境的条件と法的規制等の条件を総合的に勘案して決定される設計事項をベースとして作成されるものであり,その創作性は,作図上の表現方法やその具体的な表現内容に作成者の個性が発揮されている場合に認められると解すべきである。もっとも,その作図上の表現方法や建築物の具体的な表現内容が,実用的,機能的で,ありふれたものであったり,選択の余地がほとんどないような場合には,創作的な表現とはいえないというべきである。

▶平成141219日東京地方裁判所[平成14()2978]
建築設計図面については,表現方法又は表現された学術的な思想に創作性が認められるものであれば著作物に該当するものというべきであるが,作図上の工夫や図面により表現されたがありふれたものであって,創作性が認められない場合には,当該図面をもって著作物ということはできない。

▶平成150226日東京地方裁判所[平成13()20223]
設計図は,そのすべてが当然に著作権法上の保護の対象となるものではない。設計図が著作物に該当するというためには,その表現方法や内容に,作成者の個性が発揮されていることが必要であって,その作図上の表現方法や内容が,ありふれたものであったり,そもそも選択の余地がないような場合には,作成者の個性が全く発揮されていないものとして,著作物には当たらないというべきである。

▶平成26117日東京地方裁判所[平成25()2728]
「学術的な性質を有する図面」としての設計図の創作性は,作図の対象である物品や建築物を設計するための設計思想の創作性をいうものではなく,作図上の表現としての工夫に作成者の個性が表現されている場合に認められると解すべきであって,設計思想そのものは,アイデアなど表現それ自体ではないものとして著作権法の保護の対象とはならないというべきである。

▶平成26117日東京地方裁判所[平成25()2728]
作図の対象となる建築物に「建築の著作物」若しくは「美術の著作物」等として著作物性が認められる場合に,その図面にその対象物の創作性が再生されていれば,作図上の工夫のない図面でも著作物性が認められる余地がある(。)

▶平成120308日名古屋地方裁判所[平成4()2130]
建築設計図は、学識、経験、個性によって決定された設計者の思想が図面として表現されたものであり、学術的な表現であるということができるから、その表現に創作性が認められるものについては、著作物性が認められる。
建築設計図を著作物として保護するのは、建築の著作物(法1015号)のように、建築物によって表現された美的形象を模倣建築による盗用から保護する趣旨ではないから、美術性又は芸術性を備えることは必要ない。
また、法は保護の要件として、創作性があることを要求しているだけであって、創作性が高いものであることは要求していないから、設計する建物はありふれたものでもよく、特に新奇なものである必要もない。そして、図面に設計者の思想が創作的に表現されていれば、著作物性としては十分であり、建物の建築図面として、その図面により建築するについて十分であるかどうかという図面の完全性が要求されるものでもない。

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