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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

地図図形著作物▶ビジネスソフトの表示画面

▶令和3917日東京地方裁判所[平成30()28215]▶令和4323日知的財産高等裁判所[令和3()10083]
本件において【複製又は翻案該当性の判断について検討の対象となる】原告表示画面及び被告表示画面は,利用者が,書店業務に関するデータの入力,登録,修正の作業や,検索結果の表示の閲覧をするための画面であり,その性質上,同画面における入力項目の配置・選択や検索結果の表示は,利用者の操作性や一覧性を可能な限り高め,作業の効率性を向上するという観点から設計されることとなると考えられる。
原告製品及び被告製品の画面表示は,その表示形式及び表示内容に照らすと,「図形の著作物」(著作権法10条1項6号)に類するものであると解される(。)

▶平成120330日大阪地方裁判所[平成10()13577]
積算くん[(注)建築積算アプリケーションソフトのこと]の意匠内外装積算ソフトは、著作者の意匠内外装の積算に関する知見に基づき、製作されたものであり、その表示画面は、同ソフトを使用する者が意匠内外装積算を行いやすいように配慮して、著作者が製作したものであると考えられるから、右表示画面は、著作者の知的精神活動の所産ということができる。
被告らは、積算くんが実用品ないし工業製品であるから「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」ではないと主張するが、そこに表現されている内容が、技術的、実用的なものであるとしても、その表現自体が知的、文化的精神活動の所産と評価できるものであれば、右要件は充足されるから、被告らの主張は採用することができない。
なお、原告は、積算くんの表示画面は美術の著作物であると主張するようであるが、表示画面に美的要素があることは否定できないとしても、その表示画面の表示形式、表示内容からすると、積算くんの表示画面を、あえて分類するとすれば、学術的な性質を有する図面、図表の類というべきである。
(略)
被告らは、積算くんの表示画面は、書式にすぎず、「思想又は感情の表現」ではないと主張するが、書式であったとしても、どのような項目をどのように表現して書式に盛り込むかという点において著作者の知的活動が介在し、場合によっては、その表現に著作者の個性が表れることもあると考えられるから、単に積算くんの表示画面が書式であることをもって、右要件を否定することはできない。

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