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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

著作権法の目的▶独禁法と著作権

▶平成130801日公正取引委員会審判審決[平成10年(判)第1]
独禁法21条【(注)『この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。』】の規定は,著作権法等による権利の行使とみられるような行為であっても,競争秩序に与える影響を勘案した上で,知的財産保護制度の趣旨を逸脱し,又は同制度の目的に反すると認められる場合には,当該行為が同条にいう「権利の行使と認められる行為」とは評価されず,独占禁止法が適用されることを確認する趣旨で設けられたものであると解される。

平成30221日東京地方裁判所[平成28()37339]
著作権及び著作者人格権の行使は,当該権利行使が著作権制度の趣旨を逸脱し,又はその目的に反するような不当な権利行使でない限り,独占禁止法の規定の適用を受けるものではない(独占禁止法21条参照)。

平成30823日知的財産高等裁判所[平成30()10023]
一般論としては,被控訴人が報道機関として取材によって得た映像や資料を独占する立場にある(そもそも報道機関でなければ取材自体が許されない現場ないし場面が存することは,経験則上明らかであって,その場合,当該報道機関は取材によって得た映像や資料を独占する立場にあるといえる。このことは,取材を行える報道機関に一定の資格要件が課される場合は,なお一層明らかであるといえる。)ことからすると,事情によっては,第三者による当該映像等の使用を許諾すべき義務が生じることがあるといえ,そのような場合にまで,著作権や著作者人格権を盾にしてその許諾を拒むことは,独占禁止法上,違法と評価される余地も存するというべきである(。)

▶平成130801日公正取引委員会審判審決[平成10年(判)第1]
昭和28年の独占禁止法改正により導入された独禁法第23条第4項による著作物の再販適用除外制度は,当時の書籍,雑誌,新聞及びレコード盤(著作物4品目)の定価販売の慣行を追認する趣旨で導入されたものとされている。そして,公正取引委員会では,その後,音楽用テープ及び音楽用CDについては,レコード盤とその機能・効用が同一であることからレコード盤に準じるものとして取り扱い,著作物4品目を含む,これら6品目に限定して著作物再販制度の対象とすることとし,その旨公表されている(平成4415日公正取引委員会公表)。
ゲームソフトについては,昭和28年の独占禁止法改正当時には存在しておらず,また,上記著作物4品目のいずれかとその機能・効用を同一にするものではないし,著作物再販制度が独占禁止法上原則として違法として禁止される再販売価格維持行為に対する例外的措置であることからすると,これを再販適用除外の対象とすべき著作物に該当するものということはできない。
(略)
著作権法上の著作物は,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義される(著作権法第2条第1項第1号)のに対し,独占禁止法の規制の対象となる「著作物」とは市場において実際に流通する個々の商品であるところ,書籍,雑誌及び新聞は著作権法上の著作物の「複製物」に当たり,また,レコード盤並びにこれに準ずる音楽用テープ及び音楽用CDは著作権法上の「商業用レコード」(著作権法第2条第1項第7号)であって,著作物の「複製物」に当たるのであり,著作物再販適用除外の対象となる「著作物」と著作権法上の「著作物」とが概念を異にすることは明らかである。また,前記の著作物の再販適用除外制度の立法経緯や立法趣旨に照らしても,独占禁止法第23条第4項の「著作物」を著作権法上の著作物と同様に解すべきであるとする根拠は見当たらない。

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