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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

著作権の制限▶法50条の意義と解釈

▶令和527日知的財産高等裁判所[令和4()10090]
被控訴人新潮社は、本件記事の掲載は時事の事件(本件映画の公開中止)の報道に該当するところ、本件脚本は、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られる著作物であり、被控訴人新潮社は報道の目的上正当な範囲内において本件脚本を引用しているのであるから、本件記事の掲載による本件脚本の引用(公表)は著作権法41条に基づいて許されると主張する。
しかしながら、著作権法41条は、著作権の制限に関する規定(同法第2章第3節第5款)であり、現に、同法50条は、「この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。」と定めるところであるから、本件脚本が報道の目的で利用される場合であっても、本件脚本に係る控訴人らの公表権が制限されると解することはできない。したがって、仮に、本件記事の掲載が時事の事件の報道に該当し、本件脚本が当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られる著作物であり、かつ、本件週刊誌において、本件脚本が報道の目的上正当な範囲内で利用されたものであったとしても、本件脚本を控訴人らに無断で本件週刊誌に掲載する行為は、本件脚本に係る控訴人らの公表権を侵害するものである。
以上のとおりであるから、被控訴人新潮社の上記主張を採用することはできない。

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