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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

著作権の制限30条の4の意義と解釈

▶令和4527日東京地方裁判所[令和1()26366]
被告らによる原告各地図の利用に対する著作権法30条の4の適用の可否について
被告らは、原告各地図の利用について、被告各地図に原告各地図の何らかの思想又は感情が残存していたとしても、これを享受することを目的とするものではないから、「当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」(著作権法30条の4柱書)に該当すると主張する。
しかし、前記前提事実のとおり、被告らは、各家庭に広告物を配布するポスティング業務を行うために、原告各地図を複写し、これらを切り貼りしてポスティング用地図である被告各地図の原図を作成し、ポスティングを行う配布員は、上記原図を更に複写したものを受け取り、これに記載された建物の位置、道路等の情報を基に、ポスティングを行ったものである。したがって、被告会社は、原告各地図に記載された建物の位置、道路等の情報を利用するために、原告各地図を複写の方法により複製したものであるから、被告会社による複製行為は、原告各地図に表現された思想又は感情を自ら享受し、又は配布員に享受させることを目的としたものであることは明らかである。
また、被告会社が、前記のとおり、原告地図12ないし17の複製物を譲渡したり、前記前提事実のとおり、原告地図8及び11の複製物を被告ウェブサイト内のウェブページ上に掲載したりしたことについても、同様である。 以上によれば、著作権法30条の4は適用されないから、被告らの上記主張は採用することができない。

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