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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

著作者の権利・著作権総論▶無方式主義と「専有」の意義

▶平成231031日知的財産高等裁判所[平成23()10020]
著作権が成立するためにはいかなる方式の履行も必要ではなく(著作権法172項),著作権者であることを表示していなければ権利行使ができないものではない(。)

▶令和41222日知的財産高等裁判所[令和4()10058]
米国における原告写真の著作権登録は、被控訴人[(注)原告のこと]による原告写真の著作権の取得とは関係がない事情であ(る)(著作権法17条2項)。

▶平成151128日東京地方裁判所[平成14()23214]
著作権は,著作者が著作物を創作した時点で直ちに著作者に生じる権利であるから,いまだ著作物が創作されておらず,著作物の内容が具体化される前に,あらかじめ合意によって,著作権の原始的帰属を決定することはできないものというべきである。

▶平成160331日東京高等裁判所[平成16()39]
著作権の原始的な帰属主体は,著作者である(著作権法17条)から,客観的に著作者としての要件を満たさない者について,著作権が原始的に帰属することはあり得ず,仮に,当事者間において,著作者でない者につき著作権が原始的に帰属する旨の合意が成立したとしても,そのような合意の効力を認めることはできないと解さざるを得ない。

▶平成190130日大阪地方裁判所[平成17()12138]
C表示の意義についてみるに,万国著作権条約(パリ改正条約)は,2条において「いずれかの締約国の国民の発行された著作物及びいずれかの締約国において最初に発行された著作物は,他のいずれの締約国においても,当該他の締約国が自国において最初に発行された自国民の著作物に与えている保護と同一の保護及びこの条約が特に与える保護を受ける。」とした上で,31項において,「締約国は,自国の法令に基づき著作権の保護の条件として納入,登録,表示,公証人による証明,手数料の支払又は自国における製造若しくは発行等の方式に従うことを要求する場合には,この条約に基づいて保護を受ける著作物であって自国外で最初に発行されかつその著作者が自国民でないものにつき,著作者その他の著作権者の許諾を得て発行された当該著作物のすべての複製物がその最初の発行の時から著作権者の名及び最初の発行の年とともにCの記号を表示している限り,その要求が満たされたものと認める。Cの記号,著作権者の名及び最初の発行の年は,著作権の保護が要求されていることが明らかになるような適当な方法でかつ適当な場所に掲げなければならない。」と定めている。すなわち,Cの記号は,自国の法令に基づき一定の方式の履践を著作権の保護の条件としている万国著作権条約の締約国が,その締約国で著作権の保護を受けるための方式として要求しているものを満たしたと認めるための要件として,「著作者その他の著作権者の許諾を得て発行された当該著作物のすべての複製物がその最初の発行の時から著作権者の名及び最初の発行の年とともに」これを表示することを要求したものである。
このように,Cの記号は,ある著作物がいずれかの締約国で著作権の保護を受けるための条件として一定の方式を満たすことを要求している場合に,当該締約国において著作権の保護を受けるための方式を満たしたと認められるために表示されるものであって,それ自体として当該著作物について著作権を創設するものではないことは明らかである。また,日本のように,著作権の保護について上記のような方式主義を採用していない国においては,その表示が義務づけられているものではないことはもちろん,Cの記号の表示(C表示)の有無によって著作権の保護の有無が法的に左右されるものではない。したがって,日本においては,C表示が付されていないからといって著作権の保護を受けないというものではないし,逆に,C表示が付されているからといって,当然にそれが著作権の保護を受ける著作物と認められるものではなく,C表示の有無とこれを表示した著作物が日本国内において保護されるか否かは,法律上はまったく無関係である。
しかしながら,C表示は,その現実的な機能として,著作者及び最初の発行年の記載と相まって,いまだ当該著作物について,当該著作者を著作権者とする著作権が存続している旨を積極的に表明するとの側面をも有するものであり,その著作物を無断で使用する場合には著作権侵害になることを需要者又は取引者に対し警告するという機能を有することを否定することはできない。

平成27910日大阪地方裁判所[平成26()5080]
著作物に著作権者の表示がなされていなくとも,当該著作物は著作権法上保護の対象となるのであり,現に,著作権表示のない著作物は多数存在している。そして,原告イラストは,美術の著作物として著作権の対象となることは明らかなものである。そうすると,仮に原告のホームページにおいて,原告イラストについて©マークによる著作権表示がなかったとしても,著作権放棄である旨の表示がない限り,原告イラストは著作権放棄ではないと考えるのが自然であ(る)。

[「専有」の意義]
▶平成130918日東京高等裁判所[平成12()4816]
「専有」とは,物権的な排他的支配権を意味するものと解することができ,その内容としては,自らこれを利用し他人には利用させないことも,自ら利用しつつ他人にも利用させることも,自らはこれを利用しないで,他人に利用させることも,自らもこれを利用せず他人にも利用させないことも,すべて当然に含んでいるものというべきである。

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