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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

美術著作物▶個別事例⑤(ゲームソフトの表示画面/ヘッダー画像/ウェブページ)

[ゲームソフトの表示画面]
▶平成141114日東京地方裁判所[平成13()15594]
一般に,電子計算機に対する指令(コマンド)により画面(ディスプレイ)上に表現される影像についても,それが「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法211号)である場合には,著作物として著作権法による保護の対象となるものというべきである。すなわち,美術的要素や学術的要素を備える場合には,美術の著作物(著作権法1014号)や図形の著作物(同項6号)に該当することがあり得るものというべきところ,本件のようないわゆるコンピュータゲームないしテレビゲームにおいて画面上に表示される影像などには美術の著作物に該当するものが存在すると考えられる。

[ヘッダー画像]
令和2212日東京地方裁判所[令和1()22576]
本件ヘッダー画像は,右側に口から煙を出している女性のイラストが描かれ,その左側及び全体の背景に観覧車や花,空の画像を加え,透かしを入れてこれらの画像を重ね合わせたものである。原告は,女性のイラストの作者から利用許諾を受けて,これに観覧車等の画像を追加し,全体の構図等を決めて本件ヘッダー画像を作成したものであって,ありふれた表現にとどまるということはできず,原告の個性が十分に表れたものというべきである。

[ウェブページ]
▶令和21028日知的財産高等裁判所[令和1()10071]
原告制作ウェブサイトの表示等に係る著作物性について
ア 原告制作ウェブサイトのウェブページは,緑色を基調とし,ヘッダの左側に,「RISe TRADING SCHOOL」というロゴと図形から成る標章,同右側に緑地に白抜きで問合せ用のフリーダイヤルの番号,メール用のボタン及びオレンジの地に白抜きで「ログイン」というボタンが表示され,その下には,「トップページ」,「ライズ株式スクールとは」,「コース・料金表」,「受講生の声」及び「会社案内」との名称のタブがあり,フッタには,ヘッダと同じ被控訴人○○のロゴと図形からが成る標章があり,その末尾に,「Copyright Ⓒライズ株式スクールAll Rights Reserved」との表示がある。また,画面は,右側にサイドバーを置いた2列の構成である。サイドバーにはバナー等が配置され,メインの画面には各種記事,画像,図形等が配置されている。
イ 控訴人は,原告ウェブサイトのウェブページにおいて,①ウェブページのタイトル,②URL,③メタ・ディスクリプション及びメタ・キーワード,④「無料株式セミナー」のページの表示等は,控訴人の思想又は感情を創作的に表現したものであるから,著作物に該当する旨主張する。
しかしながら,①については,ウェブページのタイトルは,当該ページに付せられた表題であり,ページの内容をごく短い短文で簡潔に記述するものであるから,表現の選択の幅はほとんどなく,控訴人が指摘するタイトルは,ありふれた表現である。
②については,URLは,当該ページのアドレスを表示するものであり,ページの性質に応じた語で簡潔に記述するものであるから,表現の選択の幅はほとんどなく,控訴人が指摘するURLは,ありふれた表現である。また,URLにパーマリンク設定をしたとしても,設定それ自体は表現行為ではなく,表示された結果は年月日等が表示されるだけのありふれた表現にすぎない。
③については,メタ・ディスクリプション及びメタ・キーワードは,ページ内の文章を適宜抜粋した短文であり,どの部分を抜粋するかはアイデアであり,表示された結果もページでされた表現に新たな思想又は感情を加えるものではない。また,控訴人は,メタ・ディスクリプション及びメタ・キーワードのどのような表現が創作性を有するのかについて具体的な主張立証をしていない。
④については,「無料株式セミナー」のページのどのような表現が創作性を有するのかについて,控訴人は具体的な主張立証をしていない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。

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