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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

編集著作物▶個別事例⑤(製品カタログ/工事関連リスト)

[製品カタログ]
▶平成28216日東京地方裁判所[平成26()22603]
原告カタログは,USカタログの各題号を大分類とした上,日本の住宅事情,生活習慣,原告担当者の経験に基づく米国コーラー社らしさに関する認識その他の事情を考慮してUSカタログにおける中分類の一部を選択した上でこれと異なる順に配列し,各中分類に含まれる製品及び小分類の一部を選択して配列したものであり,ページごとの構成は,製品を2列及び5行に配列する構成その他の基本的な構成を決めた上で,適宜写真を挿入するなどしてこれを変化させた構成を設けたものと認められる。
したがって,原告カタログに掲載する製品の分類,選択及び配列に作成者の個性が表現されているということができるから,これら選択及び配列は,思想又は感情を創作的に表現したものと認めるのが相当である。

[工事関連リスト]
▶平成71017日東京高等裁判所[平成5()2747]
既存の素材であっても、一定の方針あるいは目的のもとに、これを分類、選択、配列する行為に創作性があれば、これを編集著作物として著作権の保護が与えられるところ、右JAMICシステムのうち、控訴人らが著作権を有すると主張する工事別分類項目表及び工事分類項目別メーカーリストは、いずれも建築・資材設備に関するカタログの分類、保管、検索を容易にするという目的のもとに作成されたものであり、工事別分類項目表においては、工事項目を通常の建築用語を用いて、大項目、中項目、小項目とカタログの分類、保管、検索が容易であるように順次分類配置したものであって、工事項目の分類、選択、配列に創意と工夫が存するものと認められ、また、工事分類項目別メーカーリストにおいては、工事別分類項目表に従い、これと関連付けてカタログの検索が容易であるようにメーカー名を分類、配置したものであって、その分類、選択、配列にも創意と工夫が存するものと認められるから、著作権法12条に規定する編集著作物に当たるものである。
[]本件で問題となった「JAMICシステム」とは、「建築設計業務、施工業務の実施に必要な建材・設備資材のカタログ情報を整備して業者に提供することを目的とするシステムであって、建材・設備資材等のメーカーのカタログを収集し、別途に建築工事について分類項目表を作成し、他に50音別メーカーリスト、工事分類項目別メーカーリスト等を作成し、右カタログを右分類項目表に従って分類し、専用のボックスに整理保管し、随時資料の差替えを行っていくという建築資材専用のファイリングシステム」のことで、その中の「工事別分類項目表」がJAMICシステムの中核をなす。

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