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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

編集著作物▶個別事例⑨(歴史資料)

▶平成210227日東京地方裁判所[平成18()26458]
被告「特高警察関係資料集成」は,特定の官署部局が作成した文書などその範囲が一義的に定まる資料を単に時系列に従って並べて復刻したというものではなく,様々な官署部局が作成した文書を,なるべくこれまで知られていなかったり公刊されていなかった文書,なるべく個々の運動,事件に関する直接的な記述があるものという一定の視点から選択し,これを運動分野又は文書の種類別に配列したものであるから,全体として,素材たる原資料の「選択」及び「配列」に編者の個性の発露がみられる。したがって,被告「特高警察関係資料集成」は,編集著作物というべきである。
(略)
被告「高等外事月報」は,月刊誌の各号を時系列に従って復刻しただけであるから,その素材の選択又は配列のいずれにも創作性を認め難く,編集著作物とはいえない。
(略)
被告「朝鮮思想運動概況」は,半年ごとの報告書を時系列に従って復刻しただけであるから,その素材の選択又は配列のいずれにも創作性を認め難く,編集著作物とはいえない。

▶平成240131日東京地方裁判所[平成20()20337]
■原告書籍収録文書は,単に米軍押収文書を時系列に従って並べたり,既に分類されていたものの中から特定の項目のものを選択したりしたというものではなく,原告が,未整理の状態で保存されていた160万ページにも及ぶ米軍押収文書の中から,南北朝鮮のどちらが先に朝鮮戦争を仕掛け,戦争を主導したかを明らかにする文書という一定の視点から約1500ページ分を選択し,これを原告の設定したテーマごとに分類して配列したものといえる。
したがって,原告書籍収録文書は,全体として,素材たる原資料の「選択」及び「配列」に編者の個性が顕れているものと認められるものであり,編集著作物に当たるというべきである。

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