Kaneda Copyright Agency ホームに戻る
カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

写真著作物▶商品紹介写真/広告写真

▶平成180329日知的財産高等裁判所[平成17()10094]
本件各写真は,本件ホームページで商品を広告販売するために撮影されたものであり,その内容は,次のとおりである。
本件写真1は,固形据え置きタイプの商品を,大小サイズ1個ずつ横に並べ,ラベルが若干内向きとなるように配置して,正面斜め上から撮影したものである。光線は右斜め上から照射され,左下方向に短い影が形成されている。背景は,薄いブルーとなっている。
本件写真2は,霧吹きタイプの商品を,水平に寝かせた状態で横に2個並べ,画面の上下方向に対して若干斜めになるように配置して,真上から撮影したものである。光線は右側から照射され,左側に影が形成されている。背景は,オフホワイトとなっている。
以上から,本件各写真には,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているということができる。
(略)
確かに,本件各写真は,ホームページで商品を紹介するための手段として撮影されたものであり,同じタイプの商品を撮影した他の写真と比べて,殊更に商品の高級感を醸し出す等の特異な印象を与えるものではなく,むしろ商品を紹介する写真として平凡な印象を与えるものであるとの見方もあり得る。しかし,本件各写真については,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているのであるから,創作性の存在を肯定することができ,著作物性はあるものというべきである。他方,その創作性の程度は極めて低いものであって,著作物性を肯定し得る限界事例に近いものといわざるを得ない。

▶令和3121日大阪高等裁判所[令和2()597]
原告制作物5-2[(注)原告カタログの写真及び文章で、控訴人が播磨喜水の依頼を受けて制作し,その頃納品した商品カタログ(三つ折りお歳暮用カタログ)に掲載された素材のこと]の著作物性については,いずれも,3種類の商品(播磨喜水の白,黒,赤)を右下角斜め上方から撮影した写真であり,その撮影方法は,商品を紹介する写真としてありふれた表現である。また,これに付された文章及び「●商品カタログ」に記載された文章の創作性については具体的主張立証がされていないところ,これらは播磨喜水の商品の特性や個別の調理法を紹介したりする内容であるが,それらを説明する表現としては,ありふれたものというべきである。「播磨喜水_白」及び「●商品カタログ」の記載において,素麺の原材料である小麦の香りをアロマと例える表現があるが,その例えがあるというだけで,これらの文章に創作性を認めることはできず,原告制作物5-2の著作物性を認めることはできない。

平成27129日東京地方裁判所[平成24()21067]
原告各写真は,原告製品の広告写真であり,いずれも,被写体の影がなく,背景が白であるなどの特徴がある。また,被写体の配置や構図,カメラアングルは,製品に応じて異なるが,原告写真○○については,同種製品を色が虹を想起せしめるグラデーションとなるように整然と並べるなどの工夫が凝らされているし,原告写真△△については,マット等をほぼ真上から撮影したもので,生地の質感が看取できるよう撮影方法に工夫が凝らされている。これらの工夫により,原告各写真は,原色を多用した色彩豊かな製品を白い背景とのコントラストの中で鮮やかに浮かび上がらせる効果を生み,原告製品の広告写真としての統一感を出し,商品の特性を消費者に視覚的に伝えるものとなっている。(中略)そうであるから,原告各写真については創作性を認めることができ,いずれも著作物であると認められる。

令和元年918日東京地方裁判所[平成30()14843]
本件各写真は,本件各商品を販売するために撮影されたものであると認められるところ,いずれも,商品の特性に応じて,被写体の配置,構図・カメラアングルの設定,被写体と光線との関係,陰影の付け方,背景等の写真の表現上の諸要素につき相応の工夫がされており,撮影者の思想又は感情が創作的に表現されているということができる。

令和元年717日東京地方裁判所[平成31()99]
本件広告は,競艇予想サイトである原告サイトのトップページに掲載されたウェブ広告であり,「競艇予想のプロ集団 TOP TREND」という標題の下に,会議室のような場所でテーブルを囲んで着席している8名の人物を被写体とする本件写真が大きく表示されているほか,「徹底!当日主義!!徹底!現場主義!!」,「『勝てる!』『獲れる!』」といったキャッチコピーや説明文が表示されている。
そして,本件広告の構成要素のうち,少なくとも,本件写真については,被写体の選択,構図等において,撮影者の思想又は感情が創作的に表現されているということができるから,写真の著作物として認められるべきものであり,そうである以上,本件広告を全体として見た場合に一定の個性が発揮されていることは否定し難く,本件広告について,著作物性が認められるというべきである。

▶令和467日東京地方裁判所[令和3()10569]
原告写真は、レストランのテーブル上に、ラベルが付されたワインボトルと赤ワインの入ったワイングラスが並んでいる状況を撮影した写真である。原告写真は、レンズ・カメラの選択、アングル、シャッターチャンス、シャッタースピード・絞りの選択、構図等によって原告の思想・感情を創作的に表現したものであるといえ、写真の著作物に当たる。

一覧に戻る

https://willwaylegal.wixsite.com/copyright-jp