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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

写真著作物▶夜景の写真

平成31417日東京地方裁判所[平成31()2413]
本件各画像は,いずれも(省略)から眺望した夜景を撮影したものであるが,本件画像1は,長時間露光によって街明かりを写し込み,絞り込むことで手前の街明かりから遠くの街明かりまでピントが合うようにするなどして撮影されたものであること,本件画像2は,シャッターを8秒間開け,被写体のカップルが止まった状態できれいに写るようにタイミングを見計らってシャッターを切るなどして撮影されたものであることが認められる。このように,本件各画像は,絞りやシャッターチャンスの捕捉,構図やアングルなどを工夫して撮影されたものであるから,写真の著作物であると認められる。

令和元年626日東京地方裁判所[平成31()1955]
本件画像は,夕方に横浜ベイブリッジを中心とする風景を撮影した写真であるところ,手前の陸地が映らないようにされ,横浜ベイブリッジの背後の風景や月が取り込まれるなど,構図,アングル等を工夫して撮影されたものと認められるから,写真の著作物であると認められる。

▶令和2925日東京地方裁判所[令和2()9105]
本件写真は,原告が,空気の透明度が高い冬季において,天候が良好な日の夜間に,約180度の眺望を有する本件展望台から見ることができる夜景のうち,大阪府内所在のりんくうゲートタワー及びその周辺の建造物の組合せを被写体として選択し,中でも目を引く建造物であるりんくうゲートタワーを構図のほぼ中心に据え,その左右に複数の建造物がそれぞれ配置されるようにして,カメラについては,「70-200mm」のレンズを選択し,レンズ焦点距離を「200.00mm」,シャッター速度を「16.0秒」,絞り値を「f/9」とするなどの設定をした上で,ストロボ発光なしで撮影したものと認められる。
そうすると,本件写真は,原告において,撮影時期及び時間帯,撮影時の天候,撮影場所等の条件を選択し,被写体の組合せ,選択及び配置,構図並びに撮影方法を工夫し,シャッターチャンスを捉えて撮影したものであり,原告の個性が表現されているものと認められる。
したがって,原告が撮影した本件写真及びこれに本件文字を付加して作成した本件写真画像は,いずれも,原告の思想又は感情を創作的に表現したものということができるから,「著作物」(著作権法2条1項1号)に該当する。
被告は,本件写真の被写体であるりんくうゲートタワー及びその周辺の建造物は,屋外に恒常的に設置されているものであるから,これを被写体として撮影しようとすれば,焦点距離や撮影位置,構図等の表現の選択の幅は必然的に限定され,本件写真の構図自体ありふれたものであるから,撮影者の個性が現れたものとはいえず,本件写真には創作性がない旨主張する。
しかしながら,本件写真画像から明らかなように,本件展望台からの眺望は広く,撮影することができる建造物は多数あり,それらから発せられる光も様々であるから,どのような位置から,どのような構図で撮影するか,どの建物に焦点を合わせるかといった選択の幅が限定的であるということはできない。
そして,前記のとおり,原告は,上記の幅の中から1つの撮影位置,構図及び焦点距離を選択した上,さらに,撮影時期及び時間帯,撮影時の天候等の条件についても選択して,撮影方法を工夫し,シャッターチャンスを捉えて撮影したものであるから,本件写真には,原告の個性が現れているものと認められる。

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