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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

写真著作物▶スマホによる自撮り写真

平成31228日東京地方裁判所[平成30()19731]
写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現であり,そこに撮影者等の個性が何らかの形で表れていれば創作性が認められ,著作物に当たるというべきである。
これを本件についてみると,本件写真は,フローリング上にスリッパを履いて真っすぐに伸ばした状態の両脚とテーブルの一部を主たる被写体とし,大腿部の上方から足先に向けたアングルで,右斜め前方からの光を取り入れることで陰影を作り出すとともに脚の一部を白っぽく見せ,また,当該光線の白色と,テーブル,スリッパ及びショートパンツの白色とが組み合わさることで,脚全体が白っぽくきれいに映るように撮影されたカラー写真であり,被写体の選択・組合せ,被写体と光線との関係,陰影の付け方,色彩の配合等の総合的な表現において,撮影者の個性が表れているものといえる。
したがって,本件写真は,創作的表現として,写真の著作物であると認められる。

▶令和3326日東京地方裁判所[令和2()33289]
本件写真[(注)原告は,友人がアパレルブランドを立ち上げたことを祝う趣旨で,自宅において,スマートフォンのカメラを用いて,同ブランドの洋服を着用した自身の写真(「本件写真」)を撮影して,本件写真をインスタグラムというインターネット上の投稿サイトに投稿した。]は,原告がスマートフォンのカメラにより自身を撮影したものであるが,原告は,友人がアパレルブランドを立ち上げたことを祝う趣旨で,同ブランドの洋服を着用して撮影しインスタグラムに投稿したものであり,本件写真は,原告自身及び上記洋服が際立って見えるよう工夫され,構図,カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉等において原告の思想等を創作的に表現したものであると認められるから,著作物に該当し,原告がその著作権を有すると認められる。

▶令和31028日東京地方裁判所[令和3()12090]
本件写真1から3は,いずれも,原告が,自身の体重の減量に取り組む中で,真横から自身の裸の上半身を撮影してツイッターのウェブサイトに投稿したものであり,原告の腹部の状態とその変化が際立って見えるなどの工夫がされ,構図,カメラアングルの設定等において,原告の思想等を創作的に表現したものであると認められるから,いずれも著作物に該当し,原告がその著作権を有すると認められる。

▶令和31125日東京地方裁判所[令和3()12091]
証拠によれば,原告投稿記事2を構成する文章は,原告が,ダイエットによる原告の具体的な体重の変化,それに関する友人との会話,友人に対する感謝の気持ち等について,独自の文章構成や表現を用いて作成したものであると認められる。また,同証拠によれば,原告投稿記事2を構成する本件各写真は,原告が,デジタルカメラのセルフタイマー機能を用いて,上半身の衣服を脱いだ自分自身の腰から上の部分を自身の右側から撮影したものであり,撮影対象や構図等について独自の工夫がされたものであると認められる。そのため,原告投稿記事2を構成する文章及び本件各写真は,原告の思想又は感情を創作的に表現した著作物に当たるというべきである。
[控訴審同旨]
▶令和5425日知的財産高等裁判所[令和3()10103]
控訴人は、前記のとおり、本件投稿7で引用されている原告投稿記事2の著作物性を争うが、原告投稿記事2は、【Y】が、ダイエットによる同人の体重の変化、それに関する友人との会話等についての文章と、デジタルカメラのセルフタイマー機能を用いて上半身の衣服を脱いだ自分の腰から上の部分を自身の右側から撮影したものから構成されるものであって、撮影対象や構図等について独自の工夫がされていることからすると、原告投稿記事2を構成する文章及び本件各写真は、【Y】の思想及び感情を創作的に表現した著作物に当たると認めるのが相当であることは、引用に係る原判決に記載のとおりである。

▶令和31117日東京地方裁判所[令和3()21012]
前提事実,証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告写真1については,原告が,原告から見て左斜め方向を向いている様子を自撮りした写真であること,原告写真2については,原告が,他の女性と一緒にピースサイン等のポーズを取っている様子を自撮りした写真であること,原告写真3については,原告が,美顔器を左頬に当ててカメラ目線でいる様子を,原告の体が斜めになるような構図で自撮りした写真であること,以上の各写真は,いずれも構図,撮影ポジション・アングルの選択等において一応の創意工夫がされていること,他方,本件投稿写真の左上にある写真は原告写真1を,本件投稿写真の右上にある写真は原告写真2を,本件投稿写真の右下にある写真は原告写真3を,それぞれ複製した写真であること,原告は,本件発信者に原告写真の使用を許諾したことはないこと,以上の事実が認められる。
上記認定事実によれば,原告写真は,構図,撮影ポジション・アングルの選択等を一応工夫したことにより,撮影者の個性が現れているといえるから,原告写真は,撮影者の思想又は感情を創作的に表現したものとして,著作物に該当するものと認めるのが相当である。
そうすると,本件投稿は,著作権者である原告の許諾を得ずに,原告写真を有形的に再製した上で,公衆送信するものであるから,少なくとも原告写真に係る原告の複製権及び公衆送信権を侵害するものと認められる。
したがって,本件投稿によって原告の著作権が侵害されたことは明らかであるといえる。

▶令和31216日東京地方裁判所[令和3()23107]
本件写真は,原告が,身体の手入れについて話題にする趣旨でインスタグラムに投稿したものであり,原告の身体の状態が際立って見えるよう,自ら撮影,作成したものである。これによれば,本件写真は,構図,カメラアングルの設定,色合いや明るさの調節等において原告の思想等を創作的に表現したものであって著作物に該当し,原告がその著作権を有すると認められる。

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