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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

写真著作物▶注目事例①(写真と文字・図形等を組み合わせた画像が問題となった事例)

▶令和21028日知的財産高等裁判所[令和1()10071]
本件各画像の著作物性について
ア 写真は,被写体の選択,組合せ,配置,陰影若しくは色彩の配合,構図若しくはトリミング,部分の強調若しくは省略,背景,カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉又はシャッタースピード若しくは絞りの選択等の諸要素を結合してなる表現であり,写真を写真の著作物として保護するためには,これら諸要素に撮影者の思想又は感情が創作的に表現され,その撮影者の個性が表されていることが必要であると解される。
また,写真と文字,図形等を組み合わせた画像を著作物として保護するためには,これと同様に,当該画像に作成者の個性が表されていることが必要であると解される。
イ 本件画像1
() 本件画像1は,研修会の会場において複数の参加者が展示物をのぞきこんでいる様子を撮影した写真の画像であり,会場における多数の参加者の動きある姿を後方から全体的に俯瞰するように撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像1は,会場全体が見渡せるように隅から撮影するという構図はありふれており,写っている来場者も雑多で特段の決定的瞬間を写し撮ったものではなく,セミナー風景を撮影する写真としては誰が撮影しても同じような写真となるありふれた表現物であり,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像1は,複数の参加者の特定の動きを捉えて撮影したものであり,単に雑多な参加者の姿を会場隅から撮影したというものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
ウ 本件画像2
() 本件画像2は,神戸国際会館の外観を撮影した写真の画像であり,丸みのある外観を有する大きなビルをその全体が俯瞰できるやや離れた位置からやや見上げるようにして上記ビルの形状や大きさが強調されるように撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当すると認められる。
() これに対し被控訴人らは,建物の外観全体が見渡せる交差点の斜め向かいから撮影するという構図はありふれたものであり,また,特筆すべき決定的瞬間を写したものでもなく,被写体となる建物を撮影する写真としてはありふれた表現物であり,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像2は,建物の外観の特徴を強調するように撮影しているのであり,単に建物の外観をやや離れた位置から撮影したというものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
エ 本件画像3
() 本件画像3は,神戸国際会館のビル外壁上層に設置されているロゴ及び建物名を表す切り文字の銘板を撮影した写真の画像であり,下側から見上げられた当該ロゴ及び文字が左上から右下に向けて斜めになるような角度配置にして撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当すると認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像3は,単に建物を示す標識部分を通常の方法で撮影したものであり,写真中央部に同標識部分が収まっておりそれ以外の被写体もないという構図はありふれており,特筆すべき決定的瞬間を映したものでもないから,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像3は,一定の構図を念頭にして撮影しているものであり,単に標識を平面的に撮影したものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
オ 本件画像4
() 本件画像4は,神戸国際会館内部の案内板が設置されている付近の廊下を撮影した写真の画像であるが,天井の斜光を積極的に画面に取り入れながら曲線形の廊下の形状が奥行きをもって強調されるよう撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像4は,単に歩行可能な通路を歩行者の目線から撮影したものであり,その構図はありふれたもので,特筆すべき決定的瞬間を写したものでもなく,撮影者の個性が表れているものではない旨主張する。
しかしながら,本件画像4は,特徴ある廊下の形状が強調されるように撮影した写真の画像であり,単に廊下の様子を撮影したものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
カ 本件画像5
() 本件画像5は,神戸国際会館近くの街路樹の中の花壇にあった置物を望遠でクローズアップして撮影した写真の画像であり,あたかも深い森の中で雌雄のカップルが逢引きをしている様子を覗くような構図となっている点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像5は,中央に置物を配置しこれをほぼ正面から写す構図はありふれたものであり,カメラワークに特段の工夫も見て取れず,特筆すべき決定的瞬間を写したものでもなく,撮影者の個性が表れているものではない旨主張する。
しかしながら,本件画像5は,花壇の中にあった置物をそれとは全く異なる姿に構成した上で,撮影しており,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
キ 本件画像6
() 本件画像6は,会議室で研修を受けている出席者の姿を撮影した写真の画像であり,意図的に極端にピントをぼかしてホワイトオーバーをさせるなど通常と異なる撮影をしている点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像6は,教室全体が見渡せる会場の隅から全体を撮影する構図は,セミナー風景を撮影するものとしてはありふれており,ぼかしの加工も写真の加工方法としては一般的であり,しかも,ぼかしに強弱がつけられているものではなく全体が均一にぼかされているにすぎず,また,特筆すべき決定的瞬間を写したものでもなく,撮影者の個性が表れているものではない旨主張する。
しかしながら,本件画像6のピントのぼかし方はかなり極端なものであり,単にぼかし加工を加えたものとはいえず,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
ク 本件画像7
() 本件画像7は,ぼやけた複数の人様の姿を背景にして,「なぜ今,株を学ぶことが必要とされているのか。」との文字と,緑色の長方形の枠の中に,金色の勲章を模した図形,「13,000名が受講した」の文字,赤字の四角形を下地とした「無」「料」「株式セミナー」との白抜きの文字,橙色の長方形を下地とした「お申込みはこちら」との白抜きの文字及び黄色の早送りを示す記号並びに「福岡・広島・神戸・大阪・名古屋・横浜・東京で開催!」のとの白抜きの文字を重ね合わせた画像である。
しかるところ,上記案内文は広告宣伝文として特徴のないものであり,文字の字体及び図形のデザインやそれらの配置・配色のいずれもありふれたものである。
また,背景とされている写真は撮影対象を明瞭に認識することもできないものであるから,特段の思想又は感情を感得させるものではない。
そうすると,本件画像7に作成者の個性が表れていると認めることはできないから,本件画像7は著作物に該当すると認めることはできない。
() これに対し控訴人は,本件画像7の白飛びしている部分は,文字情報が明瞭となり的確に情報伝達できることから,その部分にセミナーの案内の見出しを制作した旨主張するが,そのような制作方法はありふれたものであり,そのような方法をとったことで本件画像7に創作性が生じるとする余地はない。
控訴人の上記主張は,採用することができない。
ケ 本件画像8
() 本件画像8は,会議室で研修を受けている出席者の姿を後方から撮影した写真の画像であり,遠近感を強調して会場の奥方向に視点が向くように撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像8は,会場全体が見渡せるように会場後部から撮影するという構図はありふれており,写っている来場者も一様に聴講し特段の決定的瞬間を写し撮ったものではなく,通常,このようなセミナー風景を撮影する写真としては誰が撮影しても同じようなものとなるありふれた表現物であるから,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像8は,遠近感が強調されるようにして会場を撮影しているのであり,単に会場後部から会場の様子を撮影したものとはいえず,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
コ 本件画像9
() 本件画像9は,会議室にて研修を受けている出席者の姿を後方から撮影した写真の画像の上に,黒色の「無料株式セミナー開催決定!!」の文字,緑色の「参加者募集中」の文字及び黄色の線の上に書された黒色の「目からウロコの株式投資のコツを伝授!」との文字を重ね合わせた画像である。
しかるところ,上記案内文は広告宣伝文として特徴のないものであり,文字の字体及び図形のデザインやそれら配置・配色のいずれもありふれたものである。
また,背景とされている画像は,本件画像8の下半分を薄くぼかしているにすぎず,これにより本件画像8に新たな創作部分が付加されたものとはいえない。
そうすると,本件画像9に作成者の個性が表れていると認めることはできないから,本件画像9は著作物に該当すると認めることはできない。
() これに対し控訴人は,本件画像9は,背景画像を半透明の白マットで覆うことで画像の情報を減らし,株式セミナーのキャッチコピーの視認性が高まるようにし,「目からウロコの株式投資のコツを伝授!」には,黄色マーカーを下線として加えてキャッチコピーと背景画像の相乗効果を出すようにした旨主張する。
しかしながら,文字部分の視認性を高めるために背景をぼかしたり,下線を付したりすることは特段の創意を要することではないから,それによって本件画像9に新たな創作的部分が付加されたとはいえない。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。
サ 本件画像10
() 本件画像10は,ゴルフ場内の風景を撮影した写真の画像であり,樹木や芝生の緑色が強調される一方で青空が白色に近くなるよう撮影して点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像10は,風景全体を展望地から写す構図はありふれたものであり,カメラワークに特段の工夫も見て取れず,また,特筆すべき決定的瞬間を写したものでもないから,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像10は,芝生等の緑を強調し青空を白色に近くなるよう撮影しているのであり,単に風景をそのまま撮影したものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
シ 本件画像11
() 本件画像11は,本件画像10の上に白色の「コミュニケーション活動」との文字を重ね合わせたものであるが,上記文字の字体や装飾・色彩には特徴はなく,この文字部分に創作性があるとは認められない。また,背景とされている本件画像10は本件画像の上側と下側をトリミングしたものであり,これにより本件画像10に新たな創作的部分が付加されたとはいえない。
そうすると,本件画像11に作成者の個性が表れていると認めることはできないから,本件画像11は著作物に該当すると認めることはできない。
() これに対し控訴人は,本件画像11は,樹木部分だけを抜き出すようトリミング加工した旨主張するが,そのような制作方法はありふれたものであり,そのような方法をとったことで本件画像11に創作性が生じるとする余地はない。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。
ス 本件画像12
() 本件画像12は,控訴人が購入したイラストの上に,紺色の「スクール理念」,「株式投資の技術を習得し自分で投資先を選び,売買のタイミングまで判断できる自立した個人投資家の育成を行い,金融教育の普及とともに,各個人の人生の豊かさの実現を提案し続けます。」との文字を重ね合わせた画像である。
しかるところ,購入したイラストは控訴人の著作物ではない。また,上記文言は,株式投資の知識を教授する学校の設立理念としてごくありふれたものであり,上記文字の字体や色彩にも特徴がないから,この文字部分には創作性は認められず,これにより本件画像12に新たな創作部分が付加されたとはいえない。
そうすると,本件画像12に作成者の個性が表れていると認めることはできないから,本件画像12は著作物に該当すると認めることはできない。
() これに対し控訴人は,本件画像12は,背景になじむように,スクール理念の文字の色に濃紺を用い,文字の輪郭にソフトエッジを採用し,透過度を60パーセントとすることで,徐々にエッジが衰退する表現にして文字の柔らかさを表現している旨主張するが,それらは,ありふれた手法にすぎず,そのような加工を加えたからといって,本件画像12に新たな創作的部分が付加されたとはいえない。
控訴人の上記主張は,採用することができない。
セ 本件画像13
() 本件画像13は,控訴人が購入した日本地図をドットで表したイラストの西日本部分について,その色彩を変え,そこに,緑色で「無料株式セミナー」との文字及び黒色の「福岡・広島・神戸・名古屋・横浜・東京で開催中!」との文字を加え,上記日本地図の東京,横浜,名古屋,神戸,広島,福岡に相当する部分のドットの色を地のドットとは異なる色にしたものである。
しかるところ,購入したイラストは控訴人の著作物ではない。また,上記文言は,広告宣伝文としありふれたものであり,上記文字の字体や色彩もありふれたものであるから,この文字部分に創作性はなく,さらに,開催地のドットの色を変えたことは本来的にこのイラストが想定しているデザイン変更を実現したにすぎないものであり,ありふれたものである。
そうすると,本件画像13は原画に新たな創作性が付加されたとはいえず,本件画像13に作成者の個性が表れていると認めることはできないから,本件画像13は著作物に該当すると認めることはできない。
() これに対し,控訴人は,本件画像13は,「福岡」,「広島」,「神戸」,「名古屋」,「横浜」,「東京」に位置するドットをそれぞれ異なる色で表現し,「ライズ株式スクール」に緑を用いて「無料株式セミナー」の文字色を装飾し,背景は文字とドット調の日本地図を目立たせるために,明るめのパールオレンジ色を採用し,各地域名には偏った印象を持たれないように中立性をイメージできる黒文字単色で表現した旨主張するが,ごく普通の色彩を適宜に選んだというにすぎず,文字部分及び原画に新たな創作性が付加されたとはいえない。
控訴人の上記主張は,採用することができない。
ソ 本件画像14
() 本件画像14は,控訴人が購入した女性の写真に,緑色線の吹き出しを加え,その中に,紺色の「\」「株式投資で失敗したくない方へ」「/」,「あなたの」の文字,緑色の太くやや大きい「疑問や不安」の文字,紺色の「を,これまでの」の文字,緑色の太くやや大きい「受講生の皆さまの声」の文字,紺色の「の中から,ご紹介します!」との文字をはめた画像である。
しかるところ,購入した写真は控訴人の著作物ではない。また,上記文言は,受講生の体験等を紹介する文章の構成としてありふれたものであり,上記文字の字体や色彩にも特徴はないから,この文字部分に創作性はなく,受講生の体験等を紹介する文章の構成として受講生が発言する構成にとることもありふれている。
そうすると,本件画像14が元の写真に新たな創作性が付加されたものとはいえず,本件画像14に作成者の個性が表れていると認めることはできないから,本件画像14は著作物に該当すると認めることはできない。
控訴人の上記主張は,採用することができない。
() これに対し控訴人は,女性の画像は適切なイメージを持つ女性として控訴人が選択し,顧客が,女性の目線で注意を引かれた後,左側の吹き出し内容を読んでもらえるようなデザインとレイアウトを行っており,吹き出し枠には,吹き出しからはみ出た部分の文字を置き,吹き出しに立体表現を取り入れた旨主張するが,いずれもありふれた手法であり,元の写真に新たな創作性を付加するようなものではない。
タ 本件画像15
() 本件画像15は,横浜駅近くのビル群を撮影した写真の画像であるが,近景に都市の水辺を配置し,遠景にビル群が立つ様子を撮影して水辺とビル群を対比させるよう撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当すると認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像15は,建物の外観全体が見渡せる川の対岸から撮影するという構図はありふれたものであり,また,特筆すべき決定的瞬間を写したものでもなく,被写体となる建物を撮影する写真としてはありふれた表現物であるから,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像15は,水辺とビル群を近景と遠景に分けて配置するよう撮影しているのであり,単に川の対岸にある建物を撮影したものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
チ 本件画像16
() 本件画像16は,研修会の会場で掲示されていた資料(グラフ)を撮影した写真の画像であるが,掲示されている資料に対し,左側のごく近接した位置から右側に向け,画面中央にのみ焦点を合わせるようして,資料に立体感と奥行きが与えられるよう撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像16は,手書きのチャート図をほぼ画面いっぱいに撮影したものであり,いわば被写体を忠実に写し撮ったものに過ぎず,カメラワークに特段の工夫も見て取れず,また,特筆すべき決定的瞬間を写したものでもないから,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像16は,撮影方向や焦点を調整して資料に立体感と奥行きが生じるよう撮影したものであり,単に図面を平面的に撮影したものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
ツ 本件画像17
() 本件画像17は,控訴人が購入したピラミッド状のイラストの上3段分を抜き出し,3段目の色を黄色から黄緑色に変え,元のイラストにあったテキストを削除して,上の段から順に,赤地の段に紫色の「発展」及び黒色の「実践会」の文字,橙色の段に赤色の「応用」及び黒色の「RTC」の文字,黄緑色の段に緑色の「基礎」及び黒色の「初級・中級・上級」の文字をはめ込んだものである。上記文言は,階層又はカテゴリーを示すありふれた語句に被控訴人ピー・エム・エーのクラス名を組み合わせたものにすぎず,それら文字に字体や配色もごく普通のものである。
そうすると,本件画像17が元の画像に新たな創作的部分が付加されたとはいえず,本件画像17に作成者の個性が表れていると認めることはできないから,本件画像17は著作物に該当すると認めることはできない。
() これに対し控訴人は,本件画像17は,伝えたいことを大きく3つのポイントに分けて説明すると相手に伝わりやすいという手法を応用して,「基礎」,「応用」又は「発展」の3つの区分と本件スクールのクラスとを対応させた旨主張するが,それ自体はアイディアであって表現にすぎず,また,具体的な表現をとしてもありきたりのものであるから,元の画像に新たな創作的部分を付加するものとはいえない。
控訴人の上記主張は,採用することができない。
テ 本件画像18
() 本件画像18は,会議室で研修を受けている出席者の姿を後方から撮影した写真の画像であるが,天井のスポットライトや凹凸ある壁も画面に取り込んで会場の奥行きを強調して撮影している点に撮影者の個性が表れているといえるから,著作物に該当するものと認められる。
() これに対し被控訴人らは,本件画像18は,会場全体が見渡せるように会場後部から撮影するという構図はありふれており,写っている来場者も一様に聴講し特段の決定的瞬間を写し撮ったものではなく,通常,このようなセミナー風景を撮影する写真としては誰が撮影しても同じようなものとなるありふれた表現物であるから,撮影者の個性が表れているとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件画像18は,スタジオ風の会場の形状を取り込みながら会場の奥行きを強調して同所を撮影しているのであり,単に会場後部から会場の様子を撮影したものではなく,撮影者の個性が表れているといえるから,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。
ト 小括
以上のとおり,本件各画像のうち,本件画像1から6,8,10,15,16及び18の11枚の画像については,著作物と認めることができる。

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