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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

著作物の定義▶カテゴリー性の要件その他

[カテゴリー性の要件]
▶昭和620219日東京高等裁判所[昭和61()833]
「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」というのも、知的、文化的精神活動の所産全般を指すものと解するのが相当である。

▶昭和590928日東京地方裁判所[昭和56()8371]
「文芸、学術、美術又は音楽」というのも、厳格に区分けして用いられているのではなく、知的、文化的精神活動の所産全般を指すものであると解するのが相当で、該著作物がどの分野に属するかを確定する実益はない。
なお、知的、文化的精神活動の所産といいうるか否かは、創作されたものが社会的にどのように利用されるかとは、必ずしも関係がないというべきである。すなわち、創作されたものが、芸術作品として鑑賞されようと、学究目的で利用されようと、全くの娯楽目的で利用されようと実用目的で利用されようと、また、本件に即していえば、遊戯目的で利用されようと、そのことは、著作物性に影響を与えるものではないと解するのが相当である。

▶昭和471011日東京地方裁判所[昭和44()9353]
著作権法によって保護される著作物とは、文芸、学術、美術もしくは音楽の範囲に属する思想、感情の創作すなわち精神的知的創作と解され、これを言い換えれば、法律によって保護の対象から除外されたもの(著作権法第10条第2項、第13条、旧著作権法第11条)以外の、真善美その他、人間社会における価値に関して表現されたすべての思想、感情の創作をいうのであつて、このような思想、感情の創作である限り、それは、文芸、学術、美術もしくは音楽のいずれかの範囲に属せしめて解することができ、この範囲は、その分類形態を示すものということができる。

▶平成120330日大阪地方裁判所[平成10()13577]
被告らは、積算くん[注:建築積算アプリケーションソフトのこと]が実用品ないし工業製品であるから「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」ではないと主張するが、そこに表現されている内容が、技術的、実用的なものであるとしても、その表現自体が知的、文化的精神活動の所産と評価できるものであれば、右要件は充足されるから、被告らの主張は採用することができない。

▶平成131011日東京地方裁判所[平成12()2772]
本件磁石は,量産される工業製品であるから著作権法21号の「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と認めることはできず,同条の「著作物」に該当しないと解されるので,その再製行為は,そもそも著作権違反の問題になり得ないというべきである。

[その他]
▶平成130123日大阪高等裁判所[平成12()2393]
著作物性の有無は、あくまで創作物自体の表現内容から客観的に判断すべきであり、その表現を創作する過程の努力は必ずしも重視されるべきではない(。)

▶平成60218日東京地方裁判所[平成4()2085]
報道すべき主題の発見、取材源の探知、素材の収集は著作権による保護の対象ではないから、それがいかに苦心して発見、探知、収集されたものであっても、既に報道された新聞記事によってその記事が主題とした事項や取材源を知り、その取材源から同様の素材を収集し、その結果、元の記事と同様の事実を含む記事が作成されたとしても、元の記事の著作権を侵害するものとはいえない。

平成261224日 東京地方裁判所[平成26()4088]
思想又は感情の創作的な表現というためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく,作者の何らかの個性が表現されたもので足りると解すべきであるが,事実若しくは事件それ自体など思想又は感情でない部分,思想,感情若しくはアイデアなど表現でない部分又は表現であっても他の表現をする余地が小さく若しくは表現がありふれたものであるなど表現上の創作性がない部分は,いかに思想への想到若しくは事実の発見などに多大な労力を要し,又は思想として独創的なものであろうと,思想又は感情の創作的な表現たり得るものではない。
この点,原告は,本件三文献の解読及び分析に20年の歳月を費やして本件問答集を完成させたこと,従前は類書が存在せず,本件解題に記載された分析も原告が初めてなしたものであること等を,創作的表現の根拠として主張するが,上記のとおり,著作権法は,学術的な思想や発見それ自体を保護するものではないから,本件三文献の解読及び分析に多大な労力を費やしたこと及びそれが原告によって初めてなされたことそれ自体が,著作権法によって保護される創作的表現となるものではない。むしろ,本件解題のように,史料を分析して歴史的な事実を明らかにしようとする場合,個々の分析結果は,他の方法により表現する余地が小さく,学術的な思想ないし発見された事実それ自体であって,創作的表現とならないことが多いというべきである。

▶平成140415日東京地方裁判所[平成13()22066]
言語の作品について,情報としての価値があるか否かは,思想及び感情の創作的表現であるか否かの判断に影響を与えるものということはできない(。)

▶令和4915日東京地方裁判所[令和4()14375]
著作物性が認められるためには、思想又は感情が創作的に表現されていれば足り、必ずしも当該表現に芸術性が備わっている必要はない。

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