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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

権利の目的とならない著作物▶法13条の意義と解釈

▶平成60725日東京地方裁判所[平成4()3549]
法令は、その性質上国民に広く開放され、伝達され、かつ利用されるべき著作物であり、そのため著作権法131号においても、憲法その他の法令は著作者の権利の目的とならない旨規定されている。したがって、このような性格を有する法令の全部又は一部をそのまま利用したり単に要約したりして作成されたものは著作物性を取得しないというべきである。

▶昭和520330日東京地方裁判所[昭和49()2939]
旧法第11[(注)現13条に相当]1号によれば、官公文書は、著作権の目的から除外されているところ、これは、官公文書が一般に公示され、周知徹底されるべき性質を有するものであり、何人にも自由に利用できる状態に置かれなければならないものであることに基づくのであるが、これに反し、官公庁の発行する文書でも高度に学術的意義を有し、必ずしも一般的に周知させることのみを意図しないものは、学術に関する著作物として、著作権の保護を受けるべきものと解するのが相当である。

▶昭和570422日東京高等裁判所[昭和52()827]
旧著作権法第11[(注)現13条に相当]には、著作権の目的とならない著作物として、第1号において、法律命令及び官公文書を挙げ、また、現行著作権法第13条も、権利の目的とならない著作物として、憲法その他の法令(第1号)、国又は地方公共団体の機関が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの(第2号)、裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行なわれるもの(第3号)を挙げている。このことからみても、旧著作権法第11条第1号の「官公文書」とは、現行著作権法第13条第2号、第3号の規定で具体的に列挙されている如き官公庁が公務上作成する文書のうち一般公衆に公示する目的の文書をいうものと解すべきである。したがつて、国又は地方公共団体の発行した文書でも、高度に、学術的意義を有し、必ずしも一般に周知徹底させることを意図していない文書は、学術に関する著作物として著作権の目的となりうべきものであることは明らかである。

令和元年827日京都地方裁判所[平成30(行ウ)26]
鑑定書[(注)「不動産鑑定評価書」のこと。以下同じ]そのものについては,「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)に該当する「その他の言語の著作物」(同法10条1項1号)として,作成者の著作権が及ぶと解する余地があるとしても,不開示情報3は,裁判所が作成する別件判決の中で,証拠として提出された鑑定書の内容を判断に必要な範囲で引用しているにすぎないところ,裁判所の判決は著作権の目的とはならないとされている(同法13条3号)。そうすると,鑑定書自体は著作物であるとしても,それが証拠として提出され,裁判所が作成する判決中でその判断の一部として引用される限りにおいては,著作権の目的とはならないと解するのが相当である。

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