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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

共同著作共同著作者性の一般的判断基準

▶令和4111日知的財産高等裁判所[令和4()10047]
共同著作物であるための要件は、第一に、二人以上の者が共同して創作した著作物であること、第二に、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないことであり、上記第一の要件である二人以上の者が共同して創作した著作物であることという要件を充足するためには、客観的側面として、各著作者が共同して創作行為を行うこと、主観的側面として、各著作者間に、共同して一つの著作物を創作するという共同意思が存在することが必要である。そして、著作権法は、単なるアイデアを保護するものではなく、思想又は感情の創作的な「表現」を保護するものであるから(著作権法2条1項1号参照)、創作行為を行うとは、アイデアの案出に関与したというだけでは足りず、表現の創出に具体的に関与することを要するものというべきである。

▶令和4613日知的財産高等裁判所[令和3()10017]
2人以上の者が共同して創作した著作物であって,その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものを共同著作物というところ(著作権法2条1項12号),共同して著作物を創作したというためには,当該著作物の制作に際し,創作と評価されるに足りる程度の精神的活動をしている必要があるというべきである。

▶平成170701日東京地方裁判所[平成16()12242]
共同著作物とは,2人以上の者が共同して創作した著作物であって,その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう(著作権法2112号)。したがって,共同著作物というためには,著作者と目される2人以上の者の各人につき創作的関与が認められることが必要である。

▶平成140829日大阪地方裁判所[平成11()965]
プログラムの著作物(同法1019号)の作成に複数の者が関与している場合において、各人が共同著作者となるためには、各人が当該プログラムの作成に創作的に寄与していることを要し、著作物の企画を立てた者や単なる開発委託者のように、補助的に参画しているにすぎない者は共同著作者にはなり得ないものというべきである。

▶平成160423日大阪高等裁判所[平成14()3322]
プログラムの著作物の作製に複数の者が関与している場合において,関与者が共同著作者となるためには,当該プログラムの作製に創作的に寄与していることを要し,補助的に参画しているにすぎない者は共同著作者にはなり得ないというべきである。

▶平成31215日東京地方裁判所[平成29()10909]
仮に,Bが何らかの着想等を提供したことがあったとしても,共同著作物と認められるためには,「2人以上の者が共同して創作した」ことが必要であり,客観的に各著作者が共同して創作行為を行うこと,主観的に各著作者間に共同して1つの著作物を創作するという共同意思が必要である(。)

▶平成211022日大阪地方裁判所[平成19()15259]
原告は,本件原画の著作権者であるP4の相続人である被告P2から,P4ノートの原画に着色するよう依頼されたものではあるが,P4自身との間における共同製作の意思の共通を認める事情は見あたらず,文化社版を原告とP4の共同著作物と認めることはできない。

▶平成250301日東京地方裁判所[平成22()38003]
原告X4が上記創作を行ったのは,亡Wの死後であるから,上記各部分は,原告X4が単独で創作したものであって,亡Wがその創作に関与したことはない。しかも,原告X4は,亡Wの死後に,本件著作物の執筆を依頼されたものであるから,亡Wの生前に,亡Wと原告X4とが,互いに共同で本件著作物を創作することを合意していたこともない。
そして,仮に亡Wが,自己の死後に,その遺稿をもとにして第三者が本件著作物を完成させることを望んでいたとしても,亡Wが,その第三者が原告X4となることを知っていたわけではない以上,亡Wにおいて,原告X4と共同して本件著作物を創作する意思を有していたと認めることはできないというべきである。
そうすると,本件著作物が,亡Wと原告X4とが共同して創作した共同著作物であると認めることはできない。
しかし,上記のとおり,原告X4は,本件著作物について,少なくとも上記創作部分を新たに執筆しているから,その部分については本件著作物を翻案することにより創作した二次的著作物と認められるものである。したがって,原告X4は,少なくとも本件著作物について二次的著作物の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当である。

▶平成210825日東京地方裁判所[平成20()16289]
本件書籍は,82個の単元,多数のコラムや課題学習等から成るものの,各単元やコラムは,本件書籍の他の部分とは分離して利用することも可能であり(本件教科書[注:本件書籍のこと]が,中学校用歴史教科書として使用することが予定された書籍であるからといって,各単元やコラムが中学校用歴史教科書としてしか利用することができないわけではない。),また,各単元やコラムは,特定のテーマに関連する本文の記述(側注を含む),関連する写真,地図,図表やこれらの解説文等で構成されているものの,本件記述(各単元において図版や解説文を除外した本文部分やコラムにおいて,図版や解説文を除外した部分)を,写真,地図,図表やこれらの解説文等とは分離して利用することも可能であるから,本件書籍はこれらの各著作物が結合したいわゆる結合著作物に当たるというべきであり,これらの各単元やコラムが一体として著作権法2112号の「共同著作物」に当たると解することはできない。

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