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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

共同著作▶個別事例①(座談会/編集作業

▶平成170701日東京地方裁判所[平成16()12242]
上記座談会は,原告が複数の三坂小学校関係者に対して,個々人の文章や手紙又は電話による質問をもとに,異なる時点,異なる場所でされた回答等をあたかも同一の場所で座談会を開いたかのような体裁の文章に仕上げたものである。
そうすると,上記座談会については原告の個性が表れており,同原告の創作的関与がされたもので,同文章につき原告は少なくとも共同著作物の著作者の権利を有するものということができる。

令和3121日東京地方裁判所[平成30()37847]令和4613日知的財産高等裁判所[令和3()10017]
原告が本件各作品の共同著作者に当たるか否かについて
(1) 2人以上の者が共同して創作した著作物であって,その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものを共同著作物というところ(著作権法2条1項12号),【共同して著作物を創作した】というためには,当該著作物の制作に際し,創作と評価されるに足りる程度の精神的活動をしている必要があるというべきである。
そこで,原告において本件各作品の制作に際し,かかる創作的関与が認められるか否かにつき見るに,上記で認定したとおり,原告は,本件各作品の制作を企図した被告Aから,制作への協力を依頼され,台詞を読み上げる声優の候補者を数人紹介し,被告Aが制作したシナリオや指示に沿う形で,効果音の収録や編集の作業を担当したにとどまっているものであり,これらの原告の関与の性質・内容に照らせば,ボイスドラマであるという本件各作品【(本件作品5を除く。以下、この(1)において同じ。)】の性質に照らしてもなお,原告が,本件各作品の制作に際し,創作行為を行ったものとみることは困難というほかない。そうすると,本件各作品の制作に際するこれらの関与について,原告が,創作と評価されるに足りる程度の精神的活動をしたものとまで認めるに足りないというべきであり,原告が本件各作品の共同著作者に当たるものとは認められない。
【また、原判決別紙作品目録によると本件制作契約が締結される前に配信が開始され、又は発売されたものと認められる本件作品5についても、補正して引用する原判のとおり、被控訴人Y1は、控訴人に対し、その制作への関与を依頼したものと認められるが、上記説示したのと同様、控訴人が本件作品5に関し創作と評価されるに足りる程度の精神的活動をしたものとは認められず、したがって、控訴人が本件作品5の共同著作者に当たるものとは認められない。】
(2) これに対し,原告は,本件各作品の制作に際し,①声優を選択した点,②セリフや表現方法につきアドバイスをした点,③効果音を選択・収録した点,④全体の長さを一定時間内におさめるよう編集した点において,創作的に関与した旨を主張する。
しかしながら,①の点については,上記のとおり声優の候補者を紹介したにとどまるものであり,②の点については,その具体的内容は判然としないが,いずれにしてもアドバイスをしたにとどまるものであり,③及び④の点については,具体的な作業を担当したとしても,上記のとおり,被告Aが制作したシナリオや指示に沿う形で作業を行い,被告Aのチェックを受けていたものである。これらからすれば,たとえ原告において上記①ないし④の点において尽力した旨の認識であったとしても,そのいずれも,原告の創作的な【精神的活動】がなされたことを具体的に基礎付けるものとまでは言い難い。そうすると,原告の上記主張は,原告の創作的関与を否定した上記認定を左右するものではなく,同主張は採用することができない。
【なお、控訴人は、当審において、控訴人は自ら考え、自らの判断に基づいて効果音の収録、編集の作業等を行ったのであるから、控訴人は創作と評価されるに足りる程度の精神的活動をしたと主張する。
しかしながら、補正して引用する原判決のとおり、被控訴人Y1は、控訴人に対して、シナリオ等における付記により、又は口頭により、効果音を収録するよう具体的に指示していたものであるし、編集の作業についても、控訴人は、被控訴人Y1の指示に従ってこれを行ったものであるところ、本件各作品の完成の最終的な判断については、被控訴人Y1においてこれを行っていたのであるから、仮に、控訴人が従事した個々の作業の中で、控訴人の判断に基づいて収録すべき効果音を選定したり、修正すべき音声を修正したりすることなどがあったとしても、これらの行為をもって、創作と評価されるに足りる程度の精神的活動であると認めることはできない。その他、控訴人が本件各作品につき創作と評価されるに足りる程度の精神的活動を行ったものと認めるに足りる証拠はない。したがって、控訴人の上記主張を採用することはできない。】

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