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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

同一性保持権▶その他の個別事例(ゲームソフトにおける特殊なメモリーカードの使用

[ゲームソフトにおける特殊なメモリーカードの使用]
平成13213最高裁判所第三小法廷[平成11()955]
本件ゲームソフトの影像は,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号にいう著作物ということができるものであるところ,本件メモリーカードの使用は,本件ゲームソフトを改変し,被上告人の有する同一性保持権を侵害するものと解するのが相当である。けだし,本件ゲームソフトにおけるパラメータは,それによって主人公の人物像を表現するものであり,その変化に応じてストーリーが展開されるものであるところ,本件メモリーカードの使用によって,本件ゲームソフトにおいて設定されたパラメータによって表現される主人公の人物像が改変されるとともに,その結果,本件ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開され,ストーリーの改変をもたらすことになるからである。

平成140830日東京地方裁判所[平成13()23818]▶平成160331日東京高等裁判所[平成14()4763]
本件編集ツールによって編集された本件メモリーカードを使用して,本件裸体画像を表示することは,本件ゲームソフト中の「かすみ」のコスチュームの映像を改変するものであって,原告の本件ゲームソフトに対して有する同一性保持権を侵害するものと解するのが相当である。なぜなら,通常市販されているメモリーカードを使用した場合には,「かすみ」の使用可能なコスチューム数の最大値は6であって,本件裸体画像を表示することはできないところ,本件メモリーカードを使用することによって,上記コスチューム数の制限を超え,本件裸体画像を表示することが可能になるからである。
[控訴審同旨]
ユーザーが,通常にプレイした場合,対戦画面において「かすみ」が本件裸体影像で対戦相手と戦闘することはないのに対し,本件メモリーカードを使用すると,「かすみ」が本件裸体影像で対戦相手と戦闘することができるようになるものであり,これは,本件ゲームソフトの対戦画面の影像ないしゲーム展開が,本来予定された範囲を超えたものである。したがって,本件メモリーカードの使用は,本件ゲームソフトを改変し,本件同一性保持権を侵害するものというべきである(。)

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