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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

同一性保持権▶個別事例[侵害否認例]

▶令和元年918日東京地方裁判所[平成30()14843]
被告各写真が本件各写真と画素数が異なるとしても,本件各写真がウェブサイト上で商品販売促進用に限定的な大きさで表示されるものとして作成されていること(等)からすれば,当該画素数の変更が原告の意に反するものであるとまでは認められず,被告が原告の同一性保持権を侵害したとは認められない。

令和3526日東京地方裁判所[令和2()19351]▶令和4329日知的財産高等裁判所[令和3()10060]
同一性保持権侵害の成否について
【(1)】原告は,本件批評中において,本件ツイートのハッシュタグ化されていない「#kutoo」を,本件書籍内でハッシュタグの意味で用いられている「#KuToo」に改変した行為は,原告の意に反して本件ツイートに係る原告の思想又は感情の創作的表現を改変する行為であるから,原告の同一性保持権を侵害すると主張する。
【しかし,本件ツイート中の「#kutoo の賛同者」との表記は,「本件活動(「#KuToo」と称する活動)に賛同する者」を意味するものであり,これを「#KuToo の賛同者」と表記したとしても,その意味するところが異なることはないし,表記上の差異も「k」と「t」の各文字が大文字となっているにすぎず,本件ツイートのそのほかの部分は本件見開きにおいてそのまま掲載されていることからすれば,本件見開きにおいて,本件ツイートは実質的に変更がされていないとみるべきである。また,】本件書籍の読者も「#KuToo」を「#kutoo」と表記することにより,本件ツイートの意味内容を誤解することはないというべきである。
したがって,【被控訴人ら】が原告の同一性保持権を侵害したとは認めることはできない。
【⑵ 控訴人は,本件見開きにおいては,本件ツイートの返信先アカウント表示が削除され,被控訴人Yによる本件ツイートの引用ツイートが控訴人に対するリプライの形式に変更されるなどして,本件ツイートが,被控訴人Yに対するリプライであるかのように掲載されたことにより,本件ツイートの意味に変更が加えられている,本件ツイートの「#kutoo」はハッシュタグ化していない(ハッシュタグを示す青文字になっていない)ため,拡散の意味を持っていないところ,本件見開きでは,ハッシュタグ化していないことについて注記等せずに漫然と「#KuToo」との文字列で掲載しており,本件ツイートに拡散の意味を付加する変更を加えているとして,これらの変更が著作権法20条1項の「変更,切除その他の改変」に当たる旨主張する。
しかし,①については,前記のとおり,本件見開きにおいて,本件ツイートが被控訴人Yのツイートに対するリプライとして掲載されているということはできない。
②については,本件見開きにおいて,「#KuToo」の文字列は他の文字と同一の黒色で記載されており,ハッシュタグ化しているように記載されていないから,本件ツイートに拡散の意味を付加する変更が加えられたものとは認められない。
したがって,控訴人の上記主張は,理由がない。】

[写真集(編集著作物)]
平成200623日知的財産高等裁判所[平成20()10008]
控訴人は,本件写真集は対応する日付による花の写真の順序に殊の外意味があり,無作為に並べ替えるのではその意味が全く失われてしまう性格のものであるから,花の写真の配信が毎週1枚のみでしかも各配信日に対応すべき花の写真が用いられないことは同一性保持権侵害になると主張し,これに対し被控訴人は,著作権法20条の同一性保持権を侵害する行為とは他人の著作物における表現形式上の本質的特徴を維持しつつその外面的な表現形式に改変を加える行為をいい,他人の著作物を素材として利用してもその表現形式上の本質的特徴を感得させないような態様においてこれを利用する行為は同一性保持権を侵害しない,等と反論する。
よって検討するに,著作権法20条は同一性保持権について規定し,第1項で「著作者は,その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し,その意に反してこれらの変更,切除その他の改変を受けないものとする」と定めているところ,平成15527日ころまでに控訴人から本件写真集の個々の写真の著作物及び全体についての編集著作権の譲渡を受けた被控訴人が,各配信開始日に,概ね7枚に1枚の割合で,控訴人指定の応当日前後に(ただし,正確に対応しているわけではない)配信しているものであって,いわば編集著作物たる本件写真集につき公衆送信の方法によりその一部を使用しているものであり,その際に,控訴人から提供を受けた写真の内容に変更を加えたことはないものである。
そうすると,著作権法201項が「変更,切除その他の改変」と定めている以上,その文理的意味からして,被控訴人の上記配信行為が本件写真集に対する控訴人の同一性保持権を侵害したと認めることはできない(毎日別の写真を日めくりで配信すべきか否かは,基本的には控訴人と被控訴人間の契約関係において処理すべき問題であり,前記認定の事実関係からすると,そのような合意がなされたとまで認めることもできない)。
上記によれば,控訴人が被控訴人に譲渡した本件写真集は著作権法12条にいう編集著作物性を有するものの,被控訴人がなした上記配信行為が同法20条に基づき控訴人が有する同一性保持権を侵害したということはできない(。)

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