Kaneda Copyright Agency ホームに戻る
カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

二次的著作物▶その他の個別事例

▶平成130530日東京高等裁判所[平成11()6345]
本件人形の形態は、キューピーイラストの有する表現上の特徴をすべて具備していることに加え、これを変形して立体的に表現したという点において新たな創作性が付与されたものと認められる。したがって、本件著作物は、ローズ・オニールがその制作に先立って創作したキューピーイラストの二次的著作物として創作性を有するというべきである。

▶平成190725日知的財産高等裁判所[平成19()10022]
本件写真集に掲載された本件各人形の写真は,本件各人形の形状・色彩等をただ単に写真の形式を借りて平面的に改めたものではなく,Aらにおいて,被写体として選択した本件各人形ごとに構図,カメラアングル,背景,照明等の組合せを選択,調整するなど,さまざまなアイデア,工夫を凝らして撮影し,作品として完成したものであり,正に,撮影者であるAらの思想又は感情を創作的に表現したものであるから,二次的著作物としての創作性が認められることに疑いを入れる余地はない。

▶平成27316日東京地方裁判所[平成26()4962]
本件著作物は,原作映画[注:著作権の保護期間を満了しパブリックドメインとなったディズニーの名作長編アニメーション映画「三人の騎士」のこと]の英語音声を日本語に翻訳した日本語台詞原稿及び日本語字幕であり,その翻訳には翻訳者の個性が発揮され創作性があるものと認められる。

▶平成3061日東京地方裁判所[平成26()25640]
被告らは,原告レポートと本件共同著作物の相違部分には創作性がないと主張する。しかし,原告表現 ○○と本件共同著作物の表現を対比すると,原告表現の文章の長さは,いずれも対応する本件共同著作物の文章の長さより も,相当程度に長く,概ね1.5倍程度になっていることから,原告表現○○の少なくとも3分の1は,原告Xが新たに創作した部分であると認められる。 そして,原告Xが加筆した部分は形式的な修正にとどまらず,例えば,原告表現○○1において「マスコットがチータのあなたは,人生の目標を大きく持ち,それを達成するまで何度もチャレンジを続けます。世界中を飛び回って活躍するような,ダイナミックな一生を送りたいと思っているでしょう。」との表現が付加されているように, 原告レポートには本件共同著作物にはない新たな文章が付加されており,その部分がありふれているということはできない。 また,本件共同著作物と原告表現○○とで文章の位置が入れ替わっているものも多くみられる。例えば,(中略)このように,原告表現○○には原告Xが独自に創作した新しい文章が付加されている部分,本件共同著作物の文章の順序が変更されている部分などが多くみられるのであり,これによれば原告レポートと本件共同著作物の相違部分に係る表現は創作性を有するものと認めるのが相当である。
(略)
被告らは,原告表現△△は,先行著作物又は本件共同著作物を箇条書きに整理したにすぎず,その寄せ集めにすぎないか,ありふれた表現であるから,創作性が認められないか,極めて限られた範囲・程度の創作性が認められるにすぎないと主張する。しかし,原告表現△△と本件共同著作物の対応する表現との相違部分を比較すると,原告表現の方が文字数にして半数以下になっており,本件共同著作物を要約・整理する過程で原告Xの個性が発揮されているということができる。 また,原告表現△△には,本件共同著作物にはない項目が追加されているものや,表現が追加され又は記載の順序が入れ替えられているものもあると認められ,これらの相違部分は創作性を有するものと認められる。 以上によれば,原告表現△△と本件共同著作物の対応する表現との相違部分は創作性を有すると認められる。

一覧に戻る

https://willwaylegal.wixsite.com/copyright-jp