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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

複製権又は翻案権の射程範囲個別例[複製の射程範囲]

▶令和2114日大阪地方裁判所[平成30()7538]
被告は,平成10年ころから,高岡市内の会社が「ロストワックス鋳造法」(作家が制作した原型を鋳物として,ロウで型をとって鋳型を製造し,原型と同じものをブロンズで複製する鋳造法。複雑な原型でも精巧に複製でき,鋳型さえ作れば安価に大量生産が可能であるという利点がある一方で,複製品が,原型よりも1000分の20収縮するという欠点がある。)により無断で複製したブロンズ像を,渡辺美術の名称で販売していた[注:被告の当該行為を「著作権(複製権)の侵害行為に当たる」と認定した]

平成30927日東京地方裁判所[平成29()6293]
本件写真には,複数の人物が表示されているが,画像が不鮮明であることからその詳細は不明であり,原告表現物に類似するとは認められない。

令和元年1226日知的財産高等裁判所[令和1()10048]
被告プロフィール画像として表示される画像の画質が粗いため,本件写真の上記各部分の本質的特徴を感得することができないとはいえない。

令和元年918日東京地方裁判所[平成30()14843]
被告各写真は,いずれも,本件各写真と画素数が異なるとしても,被告ウェブサイト上で販売対象である本件各商品の形態を示すものとして掲載されており,限定的な大きさで表示されるものとして作成されたと推認され,実際にそのように表示されていると認められることからすれば,本件各写真に修正等を加えた新たな創作的表現であるというのではなく,本件各写真と実質的に同一のものとして,本件各写真に依拠して有形的に再製されたものであると認めることができる。

平成170329日大阪地方裁判所[平成14()4484]
職業写真家が撮影したポジ写真を,CD-ROMに収録するためにA3サイズに拡大印刷しても明瞭さが維持できる程度の高解像度(約350dpi/120mm×95mm)のデジタル画像データにする行為は,ポジ写真をその内容において実質的同一性を維持したままデジタル画像データにする行為であるから,ポジ写真の複製行為ということができる。
(略)
また,当初の写真と比較して,撮影の構図,撮影対象の配置等を変えずに,また,カンプやプレゼンテーションのためであれば特段使用に支障が生じない程度の低解像度(約72dpi/120mm×95mm)の本件ウェブ用画像データを作成して本件ウェブサイトに掲載する行為は,外面的に表現形式が変化するものではなく,また,表現についての本質的な部分を変更するものではないから,やはりポジ写真と実質的に同一の別のデジタル画像データを作成する行為というべきであり,ポジ写真の複製行為ということができる。

平成190530日東京地方裁判所[平成17()24929]
被告が,本件交付ポジフィルム写真の一部について,デジタルデータ化し,サーバに蓄積する過程で,CD-ROMに保存した事実は,当事者間に争いがなく,これによれば,デジタルデータ化の作業を行って,その結果得られた本件デジタルデータをハードディスクその他の記憶媒体に保存したこと,更にCD-ROMにも保存したことは,いずれも上記ポジフィルム写真に係る複製権を侵害するものであると認められる。

平成150129日東京地方裁判所[平成14()4237]
音楽CDをMP3形式へ変換する行為は,聴覚上の音質の劣化を抑えつつ,デジタル信号のデータ量を圧縮するものであり,変換された音楽CDと変換したMP3形式との間には,内容において実質的な同一性が認められるから,レコードの複製行為ということができる。したがって,音楽CDをMP3形式で複製することは,同音楽CDに複製された音楽の著作物の複製行為である。

昭和571206日東京地方裁判所[昭和54()10867]
本件オブジエクトプログラムは本件プログラムの複製物に当たり、訴外○○らの本件オブジエクトプログラムを他のROMに収納した行為は、本件プログラムの複製物から更に複製物を作出したことに当たるから著作物である本件プログラムを有形的に再製するものとして複製に該当する。

昭和590126日大阪地方裁判所[昭和57()4419]
本件オブジエクト・プログラムは本件プログラムに用いられているアツセンブリ言語を開発用コンピユーターを用いて機械語に変換し、ROMに収納したものであり、右変換は機械的に行われることが認められ、そうすると本件オブジエクト・プログラムは本件プログラムの複製物にあたるということができる。そして、被告が本件オブジエクト・プログラムを原告のROMから取り出し、その一部を改変して本件PC基板のROMに収納する行為は、結局本件プログラムの複製物を有形的に再製するものとして本件プログラムの複製に該当するというべきである。

平成241130日 東京地方裁判所[平成24()15034]
原告は,被告がブラウザを用いて本件プログラムにアクセスし,その情報を被告のパソコンのモニタに表示させ,表示された情報のスクリーンショットを撮り,当該スクリーンショットの画像ファイルを紙である別件乙3に印刷したことが,プログラムの著作物である本件プログラムの複製に当たると主張する。
法にいう「複製」とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいうが(法2115号),著作物を有形的に再製したというためには,既存の著作物の創作性のある部分が再製物に再現されていることが必要である。
これを本件についてみると,紙である別件乙3に記載されているのは画像であって,その画像からは本件プログラムの創作性のある部分(指令の表現自体,その指令の表現の組合せ,その表現順序からなる部分)を読み取ることはできず,本件プログラムの創作性のある部分が画像に再現されているということはできないから,別件乙3の印刷が本件プログラムの複製に当たるということはできない。

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