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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

表現形式が異なる著作物間の侵害性▶美術著作物vs.映画著作物

▶平成251122日 東京地方裁判所[平成25()13598]
本件映画は,登場人物やストーリー展開が本件漫画と同じであり,台詞も本件漫画と多くの部分が同じである。
確かに,本件映画と本件漫画は,その設定場面において,本件映画が日本家屋の縁側,本件漫画が主として日本家屋の座敷であるという違いや,本件映画には,本件漫画にはない性転換手術についての会話,父が裕子の顔に杯をかける場面,母が父に対して秘密を話すことを促す場面があるなどの違いがあり,それらの点において,本件漫画と異なる創作性が認められる。しかしながら,本件漫画は,息子(達彦)の彼女(婚約者)である裕子が,達彦を装って性転換を告白したために,達彦の父母が裕子を達彦であると誤解し,達彦(実は裕子)に対し,自分達夫婦が実はともに女性であること及び達彦は父(実は女性)が出産したことを告白するという奇抜なストーリー展開とそれを支える台詞や登場人物の感情の動きについての描写に,その表現上の本質的な特徴があるといえるのであって,その表現上の本質的特徴部分において,本件映画は本件漫画と同一である。
したがって,本件映画を鑑賞した者は,映画と漫画という表現形式の相違や設定場面の若干の相違といった点を超えて,本件映画から本件漫画の表現上の本質的な特徴を直接感得することができると認められる。

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