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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

侵害とみなす行為▶法1135項(旧2項)の意義と解釈

▶平成120516日東京地方裁判所[平成10()17018]
著作権法は、プログラム著作物に関して、著作者がこれを使用する権利を専有する旨の規定を置いていない。しかも、同法1132[(注)現5]は、「プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によって作成された複製物を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知っていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。」と規定しているところ、同条項は、プログラムを使用する行為のうち、一定の要件を満たすものに限って、プログラムに係る著作権を侵害する行為とみなすというものであるから、プログラムを使用する行為一般が著作権法上本来的には著作権侵害にならないことを当然の前提としているということになる。

▶平成220311日大阪地方裁判所[平成19()15556]
被告は,本件事業に使用するサーバを準備し,これに本件ソフトウェアをインストールしたことが認められるが,実際にインストールしたのは原告[注:本件ソフトウェアの著作権者]であり,上記インストールを原告の本件ソフトウェアに係るプログラム著作権を侵害する複製行為ということはできない。
したがって,被告が,その後,本件ソフトウェアの使用を継続しているものの,著作権法1132[(注)現5]の適用もなく,被告の本件ソフトウェアの使用の継続のみをもって,本件ソフトウェアに関するプログラム著作権を侵害しているということはできない。

▶令和3324日東京地方裁判所[平成30()38486]
被告会社による著作権侵害について
本件プログラムをパソコンにインストールすることは,本件プログラムを有形的に再製するものとして,本件プログラムの複製に該当するところ(著作権法2条1項15号),前記によれば,本件平成20年契約においては,平成20年9月の一時期を除き,パソコン1台分についてのみ本件プログラムのインストールすることが許諾されていたと認められるから, 前記のとおり,被告会社において,本件平成20年契約の締結当初から本件旧プログラムをインストールしていた1台に加え,平成26年3月以降,合計10台のパソコンに本件旧プログラムをインストールしたことは,本件旧プログラムの著作権(複製権)の侵害に該当する。(中略)
また,被告会社は,自ら複製権侵害行為を行っているから,上記10台に複製された本件旧プログラムについて,その使用する権原を取得した時に著作権侵害の事実について知っていたものと認められ,これを使用する行為は,著作権法113条2項[(注)現5]により,本件旧プログラムの著作権を侵害する行為とみなされる。

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