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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

不法行為に関するその他の論点共同不法行為事例②(「漫画村」の管理者に広告掲載料を提供していた広告代理店の共同不法行為性が問題となった事例)

▶令和31221日東京地方裁判所[令和3()1333]▶令和4629日知的財産高等裁判所[令和4()10005]
[注:原審は,漫画家である原告が,インターネット上の漫画閲覧サイト(「漫画村」という名称のウェブサイト。以下「本件ウェブサイト」)において原告の著作物である漫画が無断掲載されて原告の公衆送信権が侵害されているところ,被告らは本件ウェブサイトに掲載する広告主を募り,本件ウェブサイトの管理者に広告掲載料として運営資金の提供等をすることにより,上記公衆送信権侵害を幇助したと主張して,被告らに対し,共同不法行為者としての責任(民法719条2項,709条)に基づき,損害賠償金等の連帯支払を求める事案である。]
[注:控訴審は、「漫画村」という名称のウェブサイト(本件ウェブサイト)上に原告漫画の少なくとも一部がアップロードされてその公衆送信権を侵害された被控訴人が、控訴人らに対し、本件ウェブサイトに広告を提供して本件ウェブサイトの管理運営者に広告料(広告費)を支払ったという控訴人らの一連の行為(以下「本件行為」ということがある。)は、上記侵害についての幇助行為に当たると主張して、不法行為(民法719条1項・2項、709条)に基づき、損害賠償金等の連帯支払を求める事案である。 原判決は、被控訴人の請求をいずれも認容した。これを不服として、控訴人らが控訴を提起した。]
1 争点1(被告らの共同不法行為責任の有無)について
(1) 認定事実
(略)
(2) 上記認定事実に基づき,以下判断する。
ア 【争点1-1(本件行為の幇助行為該当性等)及び争点1―2(控訴人らの行為と被控訴人の損害との間の一般的な因果関係の有無)について】
(ア)【控訴人らの本件行為が、本件ウェブサイトにおける】原告漫画の無断掲載行為という著作権(公衆送信権)侵害行為を共同して幇助する行為に当たるかについて検討する。
(イ) 本件ウェブサイトの運営実態を見ると,本件ウェブサイトの運営者は,5万冊以上もの漫画作品をインターネット上に掲載していたが,原告漫画を含め,本件ウェブサイトに掲載されている漫画の多くを,著作権者の許諾を得ずに無断で掲載する一方,利用者において無料でそれらの漫画を閲覧することができるようにし,発行翌日に新作閲覧ができるようにするなどのこともして利用者の誘引や閲覧数の増大を図り,費用は広告収入で賄う仕組みを作り上げ,本件ウェブサイトの開設から2年後には,月間の閲覧数が【延べ1億7000万人を突破する】など,本件ウェブサイトの利用者は相当の規模に上っていたことが認められる。
(ウ) そうすると,本件ウェブサイトは,その利用者からの支払によりこれを運営するための経費(本件ウェブサイトが使用するサーバ等,その維持管理に必要となる費用や本件ウェブサイトの運営者等の得る報酬等)を賄うことが構造上予定されず,その規模を増大させることにより,本件ウェブサイト上での広告掲載効果を期待する事業主を増加させ,その運営資金源のほとんどを,広告事業主から支払われる広告料によって賄う仕組みであったことがうかがわれるのであって,当該広告料収入がほとんど唯一のその資金源であったというべきである。このような本件ウェブサイトの運営実態からすると,本件ウェブサイトに広告を出稿しその運営者側に広告料を【支払うという行為は、一般的に】,その構造上,本件ウェブサイトを運営するための上記経費となるほとんど唯一の資金源を提供することによって,原告漫画を含め,本件ウェブサイトに掲載されている漫画の多くを,著作権者の許諾を得ずに無断で掲載するという本件ウェブサイトの運営者の行為,すなわち,公衆送信権の侵害行為を補助しあるいは容易ならしめる行為(幇助行為)といえるものである。
() 控訴人らの本件行為についてみるに、そもそも控訴人らは、いずれもインターネット広告を取り扱う広告代理業を目的とする株式会社であるところ、控訴人○○の代表者であるDは控訴人▽▽の取締役を務めており、控訴人▽▽の登記簿上の本店所在地は、控訴人○○の登記簿上の支店所在地と同一であり、控訴人らも株主を共通にするという限度では控訴人らが一定の関連性を有することを認め、控訴人▽▽が作成した書面にも控訴人○○が控訴人▽▽のグループ法人である旨の記載があったものである。また、控訴人▽▽に広告掲載が依頼された場合でも、広告の出稿は控訴人○○が運用していた「MEDIADⅡ」を利用して行われ、「MEDIADⅡ」に関する取引先からの問合せに対して控訴人○○の従業員が対応する際にメールのCCとして控訴人▽▽の関係者が含められたり、同一人が控訴人○○の従業員としてのメールアドレスと控訴人▽▽の従業員としてのメールアドレスを使い分けたりしていたところである。これらの事情からすると、控訴人らは、客観的にも、主観的にも、共同して本件行為を遂行していたというべきである。
そして、本件行為について、前記()で指摘したように一般的に公衆送信権の侵害行為の幇助行為とみるべき行為と異なって解すべき事情は見当たらない。
したがって、控訴人らが共同して遂行していた本件行為は、原告漫画についての公衆送信権の侵害行為を幇助する行為に当たるというべきである。
また、控訴人らが共同して遂行した本件行為という幇助行為の結果、本件ウェブサイトを利用して原告漫画が閲覧されることとなり、その結果、原告漫画の売上げ減少による損害等が発生したと認められ、控訴人らの本件行為と被控訴人の損害との間に相当因果関係が存在するというべきである。】
(オ)被告らの主張について
a 被告らは,被告らが本件ウェブサイトの窓口となっていたDに対して広告費の支払を始めたのは,平成29年5月からであって,それより前から本件ウェブサイトに【原告漫画1の一部がアップロードされていた以上、それについての幇助行為は成立し得ないと主張する。】
しかしながら,本件ウェブサイトにおいては,【同月以降も】平成30年4月に閉鎖するに至るまで,原告漫画1が掲載され,原告漫画1に係る著作権(公衆送信権)が侵害されている状態が継続しており,かかる違法状態の継続は,被告らによる広告費の支払によって助長され容易にされていたといえ,これをもって幇助行為と評価することができるというべきである。【また、原告漫画1の一部が本件ウェブサイトに初めてアップロードされたのは、平成29年4月21日であるところ、控訴人らは、遅くとも同月までには□□との間で本件ウェブサイトへの広告の提供に係る契約を締結するに至ったもので、本件行為は当該契約の履行としてされたものであるから、上記契約の締結日が同日以前であった場合はもちろん、それが同日より後であったとしても、本件行為は、原告漫画のうち同月にアップロードされたものに係る公衆送信 権の侵害状態をも前提としたものとみるのが相当である。】
以上によれば,被告らの上記主張は採用することができない。
b また,被告らは,被告らの広告配信サービスの提供が社会通念上,一般的,類型的に著作権侵害を招来する現実的危険性を有する行為とはいえず,幇助に該当しないと主張する。
確かに,被告らが広告掲載先とするウェブサイトの全てが違法に著作物を掲載するようなものであるとは【認められず】,本件ウェブサイトは多数の被告らの取引先の一つに過ぎず,被告らの広告掲載に関する営業活動一般が,一概に著作権侵害を招来する現実的危険を内包するものではないということはできる。しかし,上記説示のとおり,本件ウェブサイトは,原告漫画を含め多くの漫画を著作権者の許諾なく違法に掲載していたのであり,その運営は,広告事業主からの広告料収入をほぼ唯一の資金源としてされていたものであって,そうである以上,本件ウェブサイトとの関係においてみれば,被告らが広告主からの依頼を取り次いで本件ウェブサイトの運営側に広告料を支払うことは,本件ウェブサイトによって行われている著作権侵害行為を助長し,容易にする現実的危険性を有する行為と言わざるを得ない。
以上によれば,被告らの上記主張は採用することができない。
c 被告らは,本件ウェブサイトとは【直接の】取引関係がなく,本件ウェブサイトの窓口となっているDに広告料を支払っていただけであり,被告らが本件ウェブサイトに支払った広告料の割合は不明であり,原告漫画の売上減少にどの程度影響したのか明らかではないことを理由に,上記因果関係を否定する。
しかしながら,被告らから本件ウェブサイトの運営者にどの程度の金額が還流していたのかは不明であるとしても,被告らが事業主の依頼を受けて広告を出稿すべくDを通じて広告料の全部又は一部を本件ウェブサイトの運営者側に支払うことによって,原告漫画の著作権(公衆送信権)侵害行為を助長していたと評価されることには変わりはなく,被告らが挙げる事情は,被告らの広告掲載活動が本件ウェブサイトに原告漫画が掲載されることにより生じる損害との因果関係を認めることを否定する事情にはならないことは明らかである。
以上によれば,被告らの上記主張は採用することができない。
イ 争点1-3(被告らの故意又は過失の有無)について
() まず、①平成29年に至るまでの間に、広告収入が違法サイトの収入源となっていることが大きな問題とされ、広告配信会社の多くにおいても一定の方法で広告を出したサイトに違法な情報が掲載されていないかを調べるなどの手段を講じていたことや、官民共同の取組として、海賊版サイトを削除するという対策を継続的に行うほか、周辺対策として広告出稿抑止にも重点的に取り組んでいくことが確認されていたことが指摘できる。そのような状況において、②本件ウェブサイトについては、平成29年4月までの時点で、登録不要で完全無料で漫画が読めるとされるサイトであり、検索バナーが必要な程度に大量の漫画が掲載されていることが一見して分かる状態にあったもので、ツイッター上でも、違法性を指摘するツイートが複数されていたところであった。また、③本件ウェブサイトについては、遅くとも平成29年5月10日時点において、日本の著作物について、著作権が保護されないという前提で掲載されていること等が閲覧者に容易に分かる状態となっていた。
控訴人○○は、「MEDIADⅡ」を利用して本件ウェブサイトに広告の配信を開始するに当たり、本件ウェブサイトの表題及びURLの提示を受け、運用チームにおいて、それらを含む情報に基づいて登録の可否を審査して承諾し、手動で広告の配信設定をしたものであるところ、前記①~③の事情を踏まえると、遅くとも平成29年5月までの時点で、控訴人らにおいては、本件ウェブサイトに掲載された多数の漫画が著作権者の許諾を得ることなく掲載されているものであることや、そのように違法に掲載した漫画を無料で閲覧させるという本件ウェブサイトが広告料収入をほぼ唯一の資金源とするものであること、それゆえ控訴人らが本件ウェブサイトに広告を提供し広告料を支払うことは本件ウェブサイトの運営者による著作権侵害行為を支える行為に他ならないことを、容易に推測することができたというべきである。
そうすると、控訴人らは、遅くとも平成29年5月時点で、本件ウェブサイトの運営者に著作権者との間での利用許諾の有無等を確認して適切に対処すべき注意義務、又は、そもそもそのような確認をするまでもなく本件ウェブサイトの「MEDIADⅡ」への登録を拒絶すべき注意義務(既に本件ウェブサイトの「MEDIADⅡ」への登録作業を終えていた場合にはそれに係る契約を解除するなどして対応すべき注意義務)を負っていたというべきであり、それにもかかわらず、本件行為を遂行したことについて、控訴人らには少なくとも過失があったと認められる。
上記に関し、控訴人らが平成29年5月時点で上記の注意義務を怠り、その後、安易に本件行為を継続的に遂行していたことは、控訴人▽▽が海賊サイト対策の取組を推進していたJIAAの会員であり、また、「MEDIADⅡ」の利用規約によると本件ウェブサイトが第三者の著作権を侵害するものである場合にはその利用に係る契約を解除し得る旨が定められていたにもかかわらず、その後、同年10月31日に控訴人らの取引先に係る違法サイト「はるか夢の址」の運営者の逮捕が報道されたり、本件ウェブサイトの違法性が社会的により大きく取り上げられ、平成30年2月2日には取引先から本件ウェブサイトが海賊版サイトであると記載した上での問合せを受けたといった事情があった中でも、控訴人らにおいて、本件ウェブサイトへの「MEDIADⅡ」を利用した広告の提供等の当否について検討したことが一切うかがわれず、かえって、取引先に対し、「漫画村」という名称を明記しつつ、同年3月2日には本件ウェブサイトへの広告の掲載が可能であると回答したり、同月23日には広告の効果がいいという根拠の一つとして本件ウェブサイトの保有を挙げたりしていたもので、ようやく同年4月13日に本件ウェブサイトを名指ししてブロッキングを行うという方針を政府が表明して以降に初めて本件ウェブサイトへの配信停止の検討を開始したといった事情によっても裏付けられているというべきである。】
(イ)被告らは,外形上,本件ウェブサイトが著作権侵害をしているかどうかは明らかではなく,また,被告らにおいては広告配信の成果を表す数値を基礎として依頼された広告の掲載先を審査するという審査実態があり,被告らが本件ウェブサイトの運営者と直接取引を【していた】わけではないこと,被告らは被告らの広告配信サービスを利用する取引先に対して著作権等の侵害行為を行うおそれのあるウェブサイトを広告掲載先に有する場合には取引をしない旨の条項を【MEDIADⅡ利用規約に定めて取引先に注意義務を課していた】こと,仮に被告らが広告掲載先の著作権使用許諾契約の有無を確認しようにも広告代理店は取引先情報を秘匿するという業界の実態などを理由に,本件ウェブサイトが違法に著作物を掲載していることを認識することは【困難であった】し,著作権者等から使用許諾を得ているかの確認をすることも困難である旨主張する。
しかしながら,前記説示のとおり,本件ウェブサイトに関しては,これに掲載されている漫画の多くが著作権の対象であるにもかかわらず,利用者から利用料等の対価を徴収せず,広告料収入をほぼ唯一の資金源として,新作を含む多数の漫画を違法に掲載して利用者に閲覧させているという運営実態が存したものである。しかして,被告らが本件ウェブサイトに係る広告配信サービスの提供を開始した時点では,既に海賊版サイトによる著作権侵害が社会問題となっており,広告業界においても,これに対する対策の必要性について認識されていた【ことなど既に指摘した諸事情を踏まえると】,被告らにおいても,本件ウェブサイトが著作権侵害をしていることを【推測する】ことは十分に可能であったというべきである。また,被告らの広告掲載先の審査実態の点は,むしろ,被告らにおいて,自己の利益を優先し,広告掲載先のサイトの適性の検討・確認を怠っていたことを自認するに等しく,また,取引先に対する注意義務を課していたという点も,その内容自体に照らし,幇助行為の注意義務やその懈怠を否定する事情にはならないというほかない。さらに,本件ウェブサイトとの間で直接取引していなかったことや広告代理店から取引先情報を秘匿されるなどといった点も,本件ウェブサイトの窓口となっていたDとの取引があることや違法な海賊版サイトが社会問題として【既に認識されていた当時の】事情に鑑みれば,本件ウェブサイトによる著作物使用許諾の確認を困難ならしめる事情ということはできず,また,その確認ができないのであれば,被告らの広告配信サービスによる広告掲載先から本件ウェブサイトを除くという措置を講じることも容易であったというべきである。
以上によれば,被告らの上記主張はいずれも採用することができない。
[以下、本件の控訴審]
▶令和4629日知的財産高等裁判所[令和4()10005]
ア 争点1-1(本件行為の幇助行為該当性等)について
次の()のとおり改め、()のとおり当審における控訴人らの補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決に記載するとおりであるから、これを引用する。
() 引用に係る原判決の訂正
(略)
() 当審における控訴人らの補充主張についての判断
a 控訴人らは、本件行為が本件ウェブサイトの運営者側に対して著作権侵害行為自体を直接誘発し、又は促進するものではないから幇助行為には当たらないと主張するが、訂正して引用した原判決のとおり、広告料収入をほとんど唯一の資金源とするという本件ウェブサイトの実態を踏まえると、本件行為は、本件ウェブサイトの運営者において、原告漫画のうち既にアップロードしたものの掲載を継続するとともに、さらにアップロードする対象を追加することを直接誘発し、また促進するものというのが相当であるから、控訴人らの上記主張は採用することができない。
上記に関し、控訴人らは、幇助の適用範囲が広がりすぎて不当であるとも主張するが、本件ウェブサイトの上記実態を無視して一般論として幇助の範囲が拡大されることを前提とした主張にすぎず、また、客観的に幇助行為に該当することから直ちに幇助行為について不法行為責任を問われるものでもないから、控訴人らの上記主張も前記認定判断を左右するものではない。
b 控訴人らは、本件行為が既にアップロードされていたものについて、公衆送信権の侵害行為を助長する行為とはいえないと主張するが、訂正して引用した原判決のとおり、上記主張も採用することができない。また、本件行為を幇助行為とみることは本件ウェブサイトの運営自体を公衆送信権侵害行為と捉えることである旨をいう控訴人らの主張や、平成13年最判で認められた幇助の解釈と整合しないとの控訴人らの主張も、本件において判断の前提とすべき事情の理解を誤るものであって採用できない。
c 控訴人らは、控訴人らが支払っていた広告料が本件ウェブサイトの運営者の広告料収入のわずかな割合しか占めるものでなかったと主張するが、同主張の前提となる割合を証拠上直ちに認めるに足りるかという点をおくとしても、前記のように広告料収入がほとんど唯一の資金源であったという本件ウェブサイトの実態に加え、当該実態に照らすと、最終的に本件ウェブサイトの運営者に支払われる広告料の金額の多寡にかかわらず広告を本件ウェブサイトに提供するとの行為自体が同運営者による著作権侵害行為を助長するものであったというべきこと(なお、(証拠)及び弁論の全趣旨によると、ウェブサイトの運営者に支払われていた広告料は、掲載した広告の数等、広告の量によって単純に定められるものではなく、広告として掲載された商品の広告を見た利用者が商品を購入したことが支払額に影響するなど、広告の提供の程度と広告料の支払額は直接的に対応するものではなかったことがうかがわれる。また、広告主が拠出した広告料から広告代理店が差し引く手数料等の額が多くなればなるほど、ウェブサイトの運営者に支払われる広告料が少なくなっていたことも容易に推測される。)のほか、後記イで認定判断する控訴人らの主観的態様に照らしても、控訴人らが主張する前記の事情は、共同不法行為者間の求償に係る問題にすぎず、被控訴人に対する不法行為責任がないことを基礎づける事情にはならないというべきである。
d 控訴人らが主張するその他の事情も、いずれも前記認定判断を左右するものではない。
イ 争点1-3(控訴人らの故意又は過失の有無)について
次の()のとおり改め、()のとおり当審における控訴人らの補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決に記載するとおりであるから、これを引用する。
() 引用に係る原判決の訂正
(略)
() 当審における控訴人らの補充主張についての判断
控訴人らは、平成29年5月時点において、本件ウェブサイトにおける公衆送信権の侵害行為を予見することができなかったと主張するが、訂正して引用した原判決で認定説示したところに照らし、同主張を採用することはできない。この点、同時点で海賊版サイトが社会問題化されていなかったとの控訴人らの主張は、その前提を欠くものであり(なお、平成29年時点においてインターネットにおいて本件ウェブサイトを含む海賊版サイトに関する記事が存在しないとする乙9は、検索条件等が必ずしも確認できないものである上に、前記認定のインターネットにおける各記事等に照らし、前記認定判断を左右するものではない。)、被控訴人から停止要請を受けていなかったことも、前記認定判断したところからして、控訴人らの注意義務を何ら軽減するものではない。著作権侵害の有無の判別が外形上困難であったとの主張や、□□がメディアの広告枠を一括管理していたことを指摘する主張は、いずれも本件ウェブサイトに係る具体的な事情を無視したものであって相当でない。また、業務実態からして著作権侵害の調査が不可能であったとの主張も、それ自体一般的に控訴人らの注意義務を直ちに軽減するものとはいえず、特に、本件ウェブサイトに係る具体的な事情を踏まえると、本件で控訴人らに注意義務違反がなかったというべき事情には全く当たらない。
控訴人らが平成30年4月13日以降に本件行為を停止するに至ったことをいう主張や控訴人らに結果回避可能性がなかったといった主張等、控訴人らのその他の主張も、いずれも前記認定判断を左右するものではない。
ウ まとめ
前記ア及びイによると、控訴人らは、本件ウェブサイトにおける被控訴人の著作権(公衆送信権)の侵害行為を幇助したものとして、共同して不法行為責任を負うというべきである。

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