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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

音楽著作物の侵害性楽曲の侵害性一般

▶平成151219日東京地方裁判所[平成14()6709]
一般に,楽曲に欠くことのできない要素は,旋律(メロディー),和声(ハーモニー)及びリズムの3要素であり,これら3要素の外にテンポや形式等により一体として楽曲が表現されるものであるから,それら楽曲の諸要素を総合して表現上の本質的特徴の同一性を判断すべきである。
もっとも,これらの諸要素のうち,旋律は,単独でも楽曲とすることができるのに対し,これと比較して,和声,リズム,テンポ及び形式等が,一般には,それ単独で楽曲として認識され難く,著作物性を基礎づける要素としての創作性が乏しく,旋律が同一であるのに和声を付したり,リズム,テンポや形式等を変えたりしただけで,原著作物の表現上の本質的な特徴の同一性が失われるとは通常考え難いこととされている。
(略)
よって,甲曲のように,旋律を有する楽曲に関する編曲権侵害の成否の判断において最も重視されるべき要素は,旋律であると解するのが相当であるから,まず,旋律について検討し,その後に楽曲を構成するその余の諸要素について総合的に判断することとする。

▶平成28128日知的財産高等裁判所[平成28()10067]
楽曲についての複製,翻案の判断に当たっては,楽曲を構成する諸要素のうち,まずは旋律の同一性・類似性を中心に考慮し,必要に応じてリズム,テンポ等の他の要素の同一性・類似性をも総合的に考慮して判断すべきものといえるから,原告楽曲と被告楽曲のテンポがほぼ同じであるからといって,直ちに両楽曲の同一性が根拠づけられるものではない。そして,両楽曲は,比較に当たっての中心的な要素となるべき旋律において多くの相違が認められることから,被告楽曲から原告楽曲の表現上の特徴を直接感得することができるとは認め難いといえる。他方,両楽曲のテンポが共通する点は,募集条件により曲の長さや歌詞等が指定されていたことによるものと理解し得ることから,楽曲の表現上の本質的な特徴を基礎づける要素に関わる共通点とはいえないのであって,上記判断を左右するものではない。

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