僧堂日記


自分でアップしやすいようにBBS方式にしました。 僧堂時代の思い出を綴っていきます。
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【入門物語1】庭詰め一日目 yo-san 03/10/6(月) 11:39 [添付]

【入門物語5】旦過詰三日目 yo-san 03/10/6(月) 11:44
【入門物語6】新到参堂 yo-san 03/10/6(月) 11:45

【入門物語5】旦過詰三日目
 yo-san  - 03/10/6(月) 11:44 -

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       旦過詰3日目

震鈴の音で目が覚める、この震鈴の音は夢の世界から厳しい現実に 連れ戻す恐怖の音としてその後条件付けされてしまう。
前日と同じ朝の活動である。ただし斎座からは私が低頭しないといけないので 詳しく見て憶える。しかし何日いても飯台座(食事)は恐い、食べなくて良いから 出たくない、必死で粥を食べると先の二人は新到参堂の為に袈裟を持って堂内に行く 昨日来たのと一緒に掃除をする、上の二人が居なくなったらやはり不安だ。 でも一人になるときがなかったのはラッキーだ。

さて今日一日旦過で坐っていれば明日は参堂である逃げるなら今日だ と言う考えもかすかに頭をよぎる。もう一人は庭詰めに行く、さ〜一人だ 結局雨は降らずに3日間戸は開けっ放しである。雨の中寒い庭詰めをしていたときに 窓を閉めて見えないところで旦過詰めをした、先の二人をうらやましく思う
しかし一人だと今までよりももっともっと時間がたつのが遅い1日が一週間にも 感じる。まだ午前中、いやまだ朝だ。う〜〜んただただ坐るただそれだけ、 明日が参堂なのでその事を考える、俺なんか本当につとまるのだろうか? みんな恐そうだしもう既に怒鳴られてるし恐いな〜(本当はもっと恐い) そんなことを考えてる内にさすがに3日間も坐ってるとどんな坐りかたしても 足が痛いしつらい、「いたい、つらいいたいつらいいたいつらいいたいつらいいたいつらい・・・・・」 「うが〜〜〜〜〜い・た・い〜〜〜〜!!」足と腰がこらえきらないくらいに痛くなってきた。 取りあえず東司に行って東司の中で足を揉むポットントイレは臭いのだがさすがに掃除はして有って きれいである便器に腰をかけてしばらく居る。さてさすがにもう出ないとまずい、また坐り出すが すぐにつらくなってくる。そのうち、外からハチの羽音が聞こえてくる、どこかにハチがいっぱいいるのだろうか 、でもそれはハチの羽音ではなかった。だんだん音がちがづいてくるとそれはお経であった。 托鉢の帰り表参道に来るとお経を読みながら参道を上がってくるのである。これを聞いたとき そこには感動があった、いろんな声が重なって凄いハモリになって聞こえてくる。若い人が多いので 特に凄い。しばらくすると庭詰めしていた者が帰ってきた、どうやら斎座らしい、雲板がなる。 さて今日は私が低頭する番だ、下が居る手前余裕があるように見せながら知客寮の前で「御願い致します 斎座御願いいたします」と低頭、たかがこれだけの文句でも何回も何回も読み直して 練習していたのである。そしていつものように列の最後に着いて食堂に入る、今日の 斎座はいつもと違ってみんな衣だし粥座と同じ飯台の並びである(斎座本飯である) 今までとまたぜんぜん違う流れだ粥座は粥と菜器(漬け物)だけだが斎座は飯器と汁器 そして菜器があり、よそるだけでも時間が掛かる。本飯は坐を組むのであるがそれでも 足が痛いよそるだけでへとへとになってしまう、そして食べてるうちにすぐにお代わりが 来てしまう、しかも最後に少量のお茶ずけを食べたりするので湯器が回ってきたり サバを取りに来たりで食べる時間の数倍の時間が掛かる。普段でも地獄なのにこの長い斎座の時間は 大変であった。へとへとになりながらも斎座が終わる。「御願い致します斎座有り難うございました」 低頭して旦過に戻る。しかし休息もないでまた坐り出す。午後も明日からのことを考えながら 不安の中でただただ坐る。そして庭詰めが係りの人に連れられて帰ってきた。 なんとかやり遂げたみたいだ、みんな入ってるだから大丈夫だろうなんて思っていたが 想像以上に大変だった。さて薬石のおじやを食べると係りが「袈裟を出して」と言いに来る 袈裟文庫は袈裟を入れる物だが実際は袈裟は荷物の中である。荷物は参堂まで開けられないが 袈裟を出す為に開けて出してもらう。「そして御願い致します茶礼御願いいたします」お茶を持って 係りがやってきた。「明日の新到参堂の説明をします」と堂内の図面をみせてもらい説明を聞く 「まずは後門入り口で問訊、左足で敷居を跨いで入り右回りでしょうそう様の前に行き拝敷きを 開いて三拝、拝敷きを閉じて・・・・・・・」知らない言葉が羅列される・・・良く分からないが 何回も聞き直しなんとか憶える、でも実際に堂内の事は知らないので不安だ。
次に開浴だ5日ぶりの風呂だ、係りの人が一緒に入ってくれる、「まずはここで三拝してそれから たなにきれいにたたみながらぬいで下着は表に出さない」「浴室に入るときはしつれいいたしますと言ってはいる」など風呂にはいるのにも決まり事が多い、私の体は衣の藍色に染まっていたので それを洗う青い泡がでてるがきれいに落ちない・・・ しかも開浴時間は短いのですぐに出るようになる。
次に剃髪、まずは自分で髭を剃り次に頭を剃ってもらうのだが頭が剃られ馴れてないので 切れる血が目の前に垂れてくる、痛いが我慢する。そして剃り終わったら旦過寮に帰る。 また開板が鳴る、寝る時間だ、とうとう明日は参堂である何とか5日間は耐えた、後1年本当に 持つのだろうか?3年だと言う話は本当なのだろうか3年は絶待に嫌だ・・・・ 等と考えながらもまた幸せな夢の世界に浸るのであった。

【入門物語6】新到参堂
 yo-san  - 03/10/6(月) 11:45 -

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       新到参堂

ん?なにげに目が覚めるまだ真っ暗だ。
どうやら今日が参堂なので緊張してるみたいだ。
「なんだまだ早いのか」と安心してまた寝ようとすると・・・・
チリチリチリチリ・・・・・・・・・・・・・・・・と震鈴の音がする。 ん〜〜〜先に起きてしまってなんだか凄く損した気分だ。
少ししていつものように開静、朝課だ昨日参堂した二人が一団の最後に 本堂に入ってくる、今日からおれも向こう側の人間なんだな〜 そう思ってたら案の定今読んでるところが今日も分からなかった。 粥座でなんと先の二人が怒鳴られる、また怒鳴られる「うるさい!!」 「早くしろ!!」「違う!!」・・・・これが先に言われた 参堂するまではお客さん扱いからタダの新到の下っ端への扱いの 違いである今までのはまだまだ優しい方だったのだ。 うっ今日参堂すると私が一番下か・・・・・・・・ ま〜いいやもう下は隣にいるし(しつこいようだが実は変わらない扱い)

粥座を食べ終わるとすぐに参堂だ袈裟を大急ぎで付けてもらい
禅堂の後門より入ろ前門の前のしょうそう様に三拝、その後に直日に 単低頭、次に侍者に単低頭そして自分の単(座ったり寝たりする自分の場所) の前に行き隣の単に隣単低頭、そして自分の単布団が既においてありその上に 座る、どこからか「新到さ〜〜〜〜んどう」の声その声に会わせて低頭する。 直実の「茶礼」の一言でお茶が係りによって注いで回られる。自分の番がきたので 袂から茶碗を出してお茶を受ける、普段は少し注がれたら手の平を上にして指を 曲げて注ぐのをやめてもらうのだがそれを忘れてしまいなんと熱いお茶は茶碗になみなみと 注がれてしまった。熱々のお茶を一口で飲めるわけがない、どうしようと 考えてるうちにみんなは少ししか注いで無いのですぐに飲み終わってる。 しょうがないのんだ振りだけしてみんなと同じに単布団の後ろに置くそしてみんなに合わせて 座を組む。直日が出ていくと、誰かが呼びに来る。
外に出て足袋をはくんだ。後門から外に出ると周りの人間によってたかって足袋を履かされ 老師に正見である。
老師を待たせないために周りは必死で私の格好を整える。 そして老師の前に通され低頭、「おまえ名前はなんじゃといきなり聞いてくる」 「しばざきのぶひろです」と言うと「そうじゃない僧名じゃ」というと 違う偉い雲水が言う「しんようです」老師が言う「しんようか、今日からおまえは よっさんじゃ、いいかしっかりとやるように」「はい」と私が答える。 そして退室。

これで参堂は終わった。今から私は雲水として修行生活に入り 一年後には出られるはずだ(実際には三年半)とお気楽な自分であった。 しかし地獄?か天国か?その後は大変な生活が待っていた。
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これにて入門物語は終わりです長い間お待たせしまして申し訳なかったです。 既に参堂から10年近く経ってますので各作法の順序など間違ってるかもしれないですが その辺はご容赦ください、そして気が向きましたら僧堂生活についても書いていこうかと も思ってますが是非読んでみたいなんてメールが来たら書き始めようかとも思ってます。 長い間ありがとうございました。

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