窓の外を移っていく景色は単調なのに
なぜかしら心は弾む
一瞬の光と影のあやなす風景が
心の中のフォトアルバムを埋めていく






外は雨
ずっと雨
ランチのひとときも雨
アラスカ鉄道は雨の中をゆっくりと
アンカレジへ




デナリの駅にしずしずと到着したアラスカ鉄道の列車
ふだんは鉄道なんかに興味はないのに
このときばかりは先頭列車を撮りたくて雨の中に飛び出した





デナリをあとにするのは寂しかったけれど
車窓の向こう側に繰り広げられるドラマもまた
興味が尽きない





ドームカーの中
BABYと
若い父親
なんて素敵な笑顔だろう






川あり、森あり、湖あり




鉄橋を渡るときなど大騒ぎ
カメラ大好きの乗客たちが喫煙用デッキに押し寄せ、
「瞬間」の風景を我がものにと躍起になる





雨が上がったように見えても
空はちっとも晴れない
でも濡れた線路は美しい





時々窓いっぱいに花畑が広がる
あれはきっと
ファイヤーウィード





女の子が手を振る
線路の周辺に住んでいるのだろうか





魚釣りを楽しむ人々
釣った獲物を誇らしげに掲げているところをパチリ
シャッターを切ったあと手を振ったら、
向こうからも手を振ってくれた
一瞬の、
けれど
確かなコミュニケーション






列車からの眺めは
面白くないものはない
こんな標識さえも




タルキートゥナ駅
何人かの乗客が降り、
静けさが広がる







雨に濡れた枕木の黒い存在感





線路はどこまでも続く
車窓の風景を引き連れて



Denali   氷河クルーズ