田代の七つ釜 Nanatsu kama of Tashiro 十日町市



津南町との境界を流れる魚野川に合流する清津川の支流、釜川の上流にあり、源流は苗場山(2145m)である。
大正14年(1925)、国の天然記念物に、そして昭和12年(1937)、文部省の名勝地に指定された。
苗場山系から流れでる谷川の渓流に点在する何本かの滝がかかり、その滝つぼは深い甌穴、いわゆる釜となっていて、この釜が七つあるところから、『七ツ釜』の名がついたといわれる。
釜川橋から釜川沿いに、七ツ釜キャンプ場のある広場に着く。コケむす渓谷のほとりに古びた弁天堂が建つ。右岸沿いに付けられた遊歩道を行く。一番滝(弁天滝、落差20m)の滝壺に出る。下流に向かって、二番滝、三番滝(不動滝)、ゆり釜(中の滝)、手洗釜(巻の滝)、赤渕(観音滝)、長渕(御手洗滝)と続く。全長1kmに及ぶ見事な渓流である。
右岸が切り立った断面層、左岸が柱状節理を見せる切り立つ縦岩という、両岸で異なる様相を呈するという、学術的にも大変珍しい景観となっている。

(見どころ)

🤩展望台からの絶景 駐車場から徒歩5分ほどの場所に展望台があり、渓谷を一望できる。
🤩紅葉の名所 10月下旬〜11月上旬には、白い岩肌と赤や黄色の木の葉が美しいコントラストを描く。

柱状節理の縦層、断面層の違い
「縦層」と「断面層」は、マグマが冷えて固まった時にできた「柱」を、どの角度から見ているかの違い。田代の七ツ釜では、川の両岸でこの異なる表情を同時に見ることができる。
縦層 柱が垂直に切り立っている状態。長い「棒」が何本も並んでいるように見える。
断面層 柱の「切り口」が見えている状態。鉛筆の束を真上から見たような、亀の甲羅(六角形など)の模様が並んで見える。
竜神・大蛇の伝説
🤩鉄砲打ちと片目の大蛇(主との約束)
昔々、胆の据わった鉄砲打ち(豪傑)が魚を獲ろうと七ツ釜へ向かった。彼は一番滝の弁天様に「一網だけ魚を授けてほしい」と祈り、投げ入れると山のような大漁となった。しかし、欲が出て約束を破り二度目の網を投げたところ、網が何かに引っかかり揚がらなくなった。
「主の仕業に違いない」と考えた男が滝壺へ鉄砲を撃ち込むと、辺りは急に暗転して嵐となり、片目を撃たれた大蛇が現れた。
命からがら逃げ帰ったものの、大蛇は男の家に身体を七回り半も巻き付け、男は恐怖のあまり狂い死にしてしまったと伝えられている。

🤩雨乞いの竜神伝説
七ツ釜には古くから竜神が住むと信じられており、水にまつわる信仰が根付いている。日照りが続くと、里の人々は七ツ釜の水を汲みに行った。その水をもらうと「必ず雨が降る」と固く信じられており、現在でも祈願に訪れる人がいる。一番滝には弁才天が祀られており、竜神信仰と習合して地域の人々に大切にされている。

(七ツ釜の崩壊事故と復旧工事)

平成7年(1995)4月23日、融雪によるとみられる大量出水による、上流部の田畑の流出によって、七ツ釜は崩壊した。
一番滝滝の上の右岸にあった土地が崩壊し、約3万3千立方メートル土砂が下流に流出。20m近い高さのあった一番滝をはじめ、七つの滝つぼはすべて埋没した。崩壊した一番滝は、天に伸びる柱状節理の岩盤の美しさに加えて、天然の砂防ダムの役割も果たしていた。
平成8年(1996)開始された国の「七ツ釜災害関連緊急事業」では、左岸の表面に、擬岩を外壁にして全国で初の工法が用いられた。柱状節理を模した擬岩は、崩壊しなかった左岸から型取りして造られた。本物の柱状節理と境目が分からない程の出来栄えとなった。
平成9年(1997)秋に、全国初の擬岩による砂防ダムが完成し、崩壊前の滝に近い型で復元された。さらに右岸上部には、一番滝上流から下流を一望できる展望駐車場が整備された。(案内図)

7つの滝つぼ(釜)
🤩一番滝(弁天滝) 最も上流にあり、落差約10mの迫力ある滝。滝つぼの傍らには「弁財天」が祀られており、雨乞い信仰の中心地となっている。現在の滝は崩落後に復元されたもので、柱状節理の景観を壊さないよう、全国で初めて「擬岩(人工の岩)」を用いた砂防ダムとして整備されている。
🤩二番滝・三番滝 一番滝に続く滝で、これら上位3つの滝は展望台からもその姿を確認しやすく、渓谷美の主要な構成要素となっている。
🤩ゆり釜 4番目の釜。「ゆり」という名称の由来については諸説あるが、水の流れがゆったりと渦を巻く様子や、その形状から名付けられたといわれている。
🤩手洗釜 5番目の釜。その名の通り、かつて旅人や修行者が手を洗って身を清めた場所、あるいはそのくらいのサイズ感であることから名付けられたという説がある。
🤩赤淵 6番目の釜。周囲の岩肌の色や、光の加減で水底が赤っぽく見えたことに由来するとされている。
🤩長淵 最も下流にある7番目の釜。他の釜に比べて細長く、ゆったりとした淵になっているのが特徴。





≪現地案内看板≫
文部省指定 名勝地 七ツ釜

七ツ釜とは釜川渓流のうち一番滝・二番滝・三番滝・ゆり釜・手洗釜・赤淵・長淵以上七ツの滝淵とおよそ一kmにおよぶ渓流を総称したものであります。
その幽玄な景色と両岸にわたる柱状節理の岩石美(左岸縦岩・右岸断面層)の見事さは全国でも稀にみる景勝地といわれ昭和12年6月15日文部省指定名勝地に指定されました。
馬場村(現十日町市馬場)の太田新右衛門が釜の主、大蛇との約束を破って投げ網を投じたところ、新右衛門の家に七回り半も巻きついて狂い死にさせたという伝説は未だに広く語り伝えられています。

文部省 新潟県 十日町市

























七ツ釜 弁天堂 展望大駐車場 七ツ釜キャンプ場