継続だんご Keizoku Dango 上越市
直江津駅開業は明治18年(1885)。その数年後に開業したのが三野屋で、初代の重原米吉氏が柏崎市にあった和菓子店の美野屋で修業。のれん分けを許され、1890年(明治23)前後に創業した。 1903年(明治36)、直江津の米穀取引所に閉鎖の指令が下った。だが地域を挙げて嘆願、そのかいあって、継続許可がおりた。それを祝い、記念に作ったのが継続だんごだった。 継続だんごは、白あんを小さく平に丸めて串に刺し、表面を軽く焼いて寒天で照りを出したもの。 あっさりとした甘味と風味が人気。1串に直径3cmの一口大のだんご4個が通し、表面をあぶるように焼いた和菓子だ。つやを出し表面の乾きを抑えるため溶かした寒天をかける。そのかわいい姿が、淡白な甘み、高雅な風味と相まって人気をよんできた。 これが昭和3年(1928)に出版された林芙美子の自伝的小説『放浪記』で一躍有名に。 林芙美子『放浪記』で継続だんごに触れた一説
継続だんごの素朴な味が、林芙美子に生きる力を与えたというわけだ。お店では毎日その日の分だけ焼く.。(9月×日)直江津の駅についた。土間の上に古びたまま建っているような港の駅なり。…軒の出っぱったすすけた街が見えている。…あんなにあこがれて来た私の港の夢はこっぱみじんに叩きこわされてしまった。…街を行く人たちは家々の深いひさしの下を歩いている。芝居小屋の前をすぎると長い木橋があった。海なのだろうか、河なのだろうか、水の色がとても青すぎる。 …駅のそばで団子を買った。 「この団子の名前は何と言うんですか?」 「へえ継続だんごです」 「継続だんご……団子が続いているからですか?」 駅の歪んだ待合所に腰をかけて、白い継続だんごを食べる。あんこをなめていると、あんなにも死ぬる事に明るさを感じていた事が馬鹿らしくなってきた。どんな田舎だって人は生活してるんだ。生きて働かなくてはいけないと思う。 ![]() 三野屋 ![]() ![]() |