蒸し柚餅子 Steaming Yubeshi 新潟市
柚餅子(ゆべし)は、11世紀末から12世紀頃の源平の時代に作られ、菓子というよりも保存食・携帯食に近いものだったとされ、時代とともに現在のような菓子へ変化したといわれている。全国各地で様々な形状・味の柚餅子が存在している。製造法も異なり、千差万別である。 一般に販売されているねり柚餅子とは異なり、越後の蒸し柚餅子は新潟市西蒲区(旧巻町)福井地区のみで作られていた。 福井の蒸し柚餅子が作られたのは文政11年(1826)とされている。冬、旅の雲水がおりからの吹雪をついて、越後の福井までやってきたが、雪で進めず、途方にくれて困っていた。当時部落で農業を営んでいた本間屋初代楢右衛門が、これを見て気の毒に思い我が家で休ませた。お礼にと雲水が教えたのが「蒸し柚餅子」の製法であった。農業から菓子屋に転業した本間屋は元祖として今日に至っている。 出来上がった柚餅子を、当時の地元を治めていた長岡藩に献上したところ、お褒めの言葉を賜った。長岡藩主も参勤交代のおり14代将軍徳川家茂にこの柚餅子を献上し、喜ばれたため、長岡藩の家紋の使用許可と藩の御用菓子屋に任命された。 「蒸し柚餅子」はもち米、砂糖、水飴、柚子を原料として作る。 ①もち米を粉にする②砂糖と水飴で蜜を作る。③蜜ともち米の粉を煮ながら練り合わせ、途中で柚の皮を細かくきざんでジャム状にしたものを入れてさらに攪拌する。④もち米の粉と蜜と柚子の練りあがったものを、蒸篭の上に一定の厚で流し込み、2時間近く蒸す。⑤蒸篭で一晩放置すると、翌日には薄茶色をしたつやのある半透明の柚餅子が出来上がる。⑥これを切って、包装し「蒸し柚餅子」ができあがる。 その特色はほのかな柚子の香り、おさえた甘味、美しい飴色、それに独特の歯切れの良さを持っている。 仕上がった柚餅子は竹の皮に包むが、竹のかおりにも調和してさらにうま味を増している。県外で類似品が多く販売されているが、越後の味の足もとにも及ばない。「さおゆべし」「一口ゆべし」「笹ゆべし」などと包み方で区別される。 ㈲本間屋
〔所在地〕新潟市西蒲区福井1845番地 〔問い合わせ先〕 ☎0256-72-3580 〔アクセス〕
〔定休日〕 🈚 〔取り扱い〕 新潟三越伊勢丹・新潟ふるさと村・燕三条駅構内のキヨスク・じょんのび館・いわむろや・弥彦の各お土産店・食楽園(東京ネスパス内) 〔HP〕 https://honmaya1845.amebaownd.com/ |
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