奴奈川姫の国の一の宮である天津神社の春祭り”一の宮のけんか祭り”は北陸春の風物詩として全国的に有名である。年代ははっきりしないが、数百年の歴史を持つといわれる。 4月10日、夜が明けると”けんかに先がけ”二騎の神輿と肩車に乗った美しい稚児たちが境内を練り歩く”おねり”が行われる。 おねりには男神と女神の露払いが二人いる。男神は茶褐色のかつらをし女面を、女神は黒色のかつらをし男面をつける。いわれとして、昔、露払いがそれぞれの面を違えたまま祭りを行ったところ、五穀豊穣・豊漁となったが、 翌年、それぞれが正しい面をつけて祭りを行ったところ、凶作不漁となっってしまった。以来、面を逆さに付けることが習わしとなっているのも面白い。 おねりが神苑を1回半まわると神主と稚児たちはそれぞれ拝殿、舞台へ上がる。同時に2基の神輿はもうぜんと走りだす。けんかの始まりだ。市内の押上、寺町の2地区の氏子たちが神輿を担ぎ、10回くらい激しくぶつかり合い、渡り合う。壮絶なけんかを繰り返す神輿は、太鼓の音が変わったのを合図に御走りとなる。一の輿が二の輿に見られぬうちに幣殿に上がれば場寺町地区の勝ち、見つかれば押上地区の勝ちとなる。寺町が勝てば豊作、押上が勝てば豊漁と言われている。 やがて祭りは動から静へと変わり、流麗な舞樂の奉納が行われる。この舞は12曲からなり、宮廷風の舞楽に似ているが、中でも終局の「陵王の舞」は気品に満ち溢れる。稚児による舞が多いことから俗に”稚児の舞”と呼ばれ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
🌌天津神社
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一の宮のけんか祭りまで
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