妙高山 Mt. Myokosan 妙高市



新潟県南西部の妙高市に位置する標高2,454mの成層火山。妙高火山群の主峰をなす複式コニーデ型の火山で、赤倉山、三田原山、神奈山、前山などで構成される直径約3キロの外輪山に囲まれて、中央火口丘の妙高山がそびえる。周りにはなだらかな裾野が広がり、高山植物(トウヤクリンドウミョウコウトリカブトコバイケソウワタスゲハクサンチドリイワイチョウハクサンコザクラなど)の多さに感動するだろう。美しい円錐形の山容をもつことから、“越後富士”の別称があり、日本百名山の一つ。山名の由来は古名「越の中山」に名香山をあて、これを音読して「みょうこうさん」とした。仏教世界の最高峰に君臨した「須弥山」は「妙高山」の別名である。上杉謙信の時代から春日神社氏子による代行登山が継続されるなど、古くから信仰の対象であった。
長野県との県境に近い為、新潟県に位置しながら北信五岳のひとつとして親しまれる。また近隣の火打山、焼山と共に頸城三山を形成している。

北東から南東にかけて雄大な広がりを見せる裾野一帯は、妙高高原の名で知られ、夏は避暑地、冬は各所にゲレンデが開設されて、スキー場で賑わいをみせる。
麓にある妙高高原温泉郷は、赤倉、新赤倉、池の平、妙高、杉野沢、関、燕の7つの温泉を有する。

妙高山は安山岩の成層火山で、約30万年前から活動を開始し、長い休止期をはさむ4回の活動期により形成された。現在の地形は第四紀の成層火山と、その頂部の直径3㎞の爆発カルデラ、その中にある中央火口丘の妙高山溶岩ドームからなる。
カルデラ内北寄りに長助池、西側に大正池と称する二つの火口原湖があり、火口原から流れた水はそれぞれ大田切川と白田切川となってともに関川に注ぐ。
北東腹標高1400メートル付近の田切川筋に“北地獄谷”、南東腹の白田切川源流渓谷中の標高1900メートルあたりに“南地獄谷”と呼ぶ温泉湧出地があって、妙高高原の各温泉の源泉になっている。

旧登山道は関山神社(妙高信仰の中核的存在)から発しており、社伝によれば、和同元年(708)に裸形上人が山頂まで登り、関山権現を開基したとされている。平安時代の昔から信仰登山の場として親しまれ、江戸時代中期には登拝者数が1200人(1712)いたと記録されている。
寿永元年(1182)には木曽義仲が自らの守り本尊である阿弥陀如来像を妙高山山頂に奉納したといわれている。戦国時代には上杉謙信も篤く帰依し出陣の折に妙高山山頂へ登り妙高堂に籠り戦勝祈願をしたとされている。

登山コースは東面の燕、赤倉、池ノ平温泉や南西面の笹ヶ峰牧場からと多様で、各登山口から4~5時間で頂上に達するが、燕温泉から北地獄谷、天狗堂跡経由の道が多く利用されている。頂上からは、佐渡島や浅間山、南・北両アルプス、戸隠山、黒姫山など、広い眺望が楽しめる。(案内図)

🔶燕登山コース
燕温泉入り口駐車場から温泉街を通り抜けると道は二分し、右は惣滝、麻平へ続くコース、左のコースへ続く石段を上がる。
緩やかな斜面を登ると露天風呂「黄金の湯」がある。『サブコース』をサンカヨウユキザサヤグルマソウシモツケソウトリアシショウマが美しく咲き誇っているスキー場跡の斜面を緩登すると、傍らに『泉源清水』がある。やがて硫黄の臭いがする川原から少し登ると麻平からの道と合流する。賽の河原を過ぎ、低木帯を進むと急に左に折れて、急登となり『天狗堂』まで登る。途中ミソサザイビンズイオオルリクロジウソカケスなどに出合う。
天狗堂からは少し登ってウサギギクが咲く登山道少し登って『光善寺池』、無数のアカモノ(イワハゼ)が彩っている尾根道を進むと、『風穴』があり徐々に傾斜を増して急登し、岩場の鎖場となる。
ロープや鎖をたよりに慎重に岩場を越え、かれんに咲く ヨツバシオガマウスユキソウトウヤクリンドウミョウコウトリカブトを見ながら、赤茶けた溶岩ドームをよじ登ると、妙高の『南峰』、関山神社奥の院と将軍地蔵の祀ってある山頂に着く。頂上付近はイワヒバリが鳴く。
眺望は北に佐渡、南に南アルプス、八ヶ岳、富士山、東に苗場山、谷川連峰、西に北アルプスと360度の大パノラマだ。南峰から北に進むと一等三角点のある『北峰』となる。

🔶燕新道コース
昭和34年(1959)に燕新道が開かれた。燕温泉口から長助池に出る道で、非常に登りやすく、4時間ほどで山頂に到達できる。
燕温泉から北地獄谷を渡って、惣滝への分岐点から約20分で、燕登山道の分岐点『麻生平』につく。
ここを右へ入って大倉沢を渡って、約1時間勾配の緩い山道を歩くと小沢を渡る。
10分くらいで大倉山・神奈山への分岐点となる。これを見送って小さな湿原を越え、広葉樹林に入り、抜けると『長助池』があらわれる。
長助池は、ガイド故岡田長助の名をとって名付けたものである。コバイケソウイワイチョウワタスゲハクサンチドリハクサンコザクラなどが、いっぱい生え繁っている。
大倉乗り越しから高谷池へいく道との分岐点を過ぎて、沢沿いの道をいき、急坂をよじのぼる。森林帯の中妙高山山頂まで高度差450メートルである。

🔶スカイケーブル利用
赤倉スキー場に1984年(昭和59)妙高高原ゴンドラリフト(妙高高原スカイケーブル) 2607m が設置される。山麓駅から標高1236メートルの山頂駅まで約11分で運ぶ。山頂駅からスキーゲレンデの遊歩道を行き、標高1400メートルあたりで登山道につながる。
草と落葉で覆われた道を行くと、やがて中腹を切り裂いたような南地獄谷作業道路が見える。この舗装道路に出れば、まもなく南地獄谷源泉の湯煙を背に無人小屋の大谷ヒュッテが建っている。燕登山道コースと合流する『天狗堂』へもわずかな道のりである。


☯妙高市および環境省では、2019年(令和元)7月1日~10月30日(金)までの約3ヶ月間、妙高山の笹ヶ峰、燕温泉、新赤倉の3か所の登山口で、登山者、入山者に対して500円からの入山協力金の呼びかけた。























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