「……なんつーか低レベルな戦いやな」

トウジが代表して言った。

小学校低学年レベルまで下がった言い争いは実力行使に移行している。

「ほんと、やっぱり一緒に住んでると似てくるのかしら」

「でも姉妹みたいにそっくりね」

「姉妹喧嘩か、二人とも美人だから喧嘩してても絵になるね」

カメラ片手にケンスケ。

「碇君昔っからこうなの?」

マユミの問いにため息をつくシンジ。

「まぁね。もう慣れたけど」

「でもうれしいんでしょうシンジくん」

リツコが言う。

「ええ、あれだけはしゃいでるってことはそれだけ僕と加持さんが帰ってきたのを喜んでくれてるってことですから」

「この幸せもん」

「まったく変わってもらいたいね」

「はは、それなりに大変だけどね加持さん」

「ん、何だい」

とりあえず料理を習いたいときはいつでも言って下さい」

声を潜めるシンジ。

「この歳になって料理の勉強をすることになるとはなぁま、その時はよろしく頼む」

苦笑いする加持。

 

 

『お邪魔しました〜!』

「はーい、気をつけて帰ってね」

ミサトに見送られてトウジ達は帰っていった。

「さてと、アスカは?」

「レイちゃんと一緒に眠ってるよ」

「あら、だれかビールでも飲ませたの?」

「張本人が言ってりゃ世話無いな」

「加持さん」

二人の所にシンジがやってくる。

「お、どうだった」

とりあえず確認したのは7個です。明日、消毒しておいた方がいいですね」

「何の話?」

シンジが手を開く。手の平の上には幾つかの小さな箱が乗っていた。

盗聴器?」

「この家には電波妨害もかけてあるから問題ないとは思うが、念には念をというからな」

「誰がまさか!?」

ミサトの表情が翳る。

マナです。現場も確認しました」

シンジも少しつらそうに言った。

「そうま、彼女もつらい立場だものね」

「とはいえ放っておく訳にもいかないがな」

ちょっと、まさか」

ミサトの顔色が変わる。

「おいおい、アスカや葛城に恨まれるようなことは願い下げだよ。な、シンジくん」

「そうですね。今回はちょっとリツコさんの知恵を借りましょう」

「リツコの?」
 
 

という訳なんですが」

アスカとレイの様子を見ていたリツコにシンジは事情を説明した。

「うふふふ、そういうことなら任せておいて」

こういう目をしたリツコ(赤木)はろくでもない事を考えている。

3人の見解は一致していた。

加持君」

「な、なんだい?」

徹底的にやっていいのね?」

「ま、まぁお手柔らかに頼むよ」

笑いが引きつる加持。

「わかったわ、うふふふ」

リツコはとても楽しそうに笑った。
 
 

数日後、日本政府内務省調査部は悪夢のような事態に襲われた。

何があったか関係者は口を閉ざし、全ての記録は抹消された。

後に残ったのはマナが正式にネルフに移籍したという事実だけだった。

 

 

 

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