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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

写真著作物

【写真著作物性一般】

本件写真は、控訴人が、我国古代史の研究ないし解明に役立つと考えて、被写体を選定し、その撮影方法についても工夫を凝らして、古代史学に関する資料を他にさきがけて明確にしておく目的で撮影したものであり、控訴人の著作物として保護されるべきものであることは疑いを容れないところであって、控訴人がいわゆる学者や職業的写真家ではなく、写真に関しては素人であることは右判断の妨げとなるものではない。
<平成90130日仙台高等裁判所[平成7()207]>

本件写真のように原作品がどのようなものかを紹介するための写真において、撮影対象が平面的な作品である場合には、正面から撮影する以外に撮影位置を選択する余地がない上、右認定のような技術的な配慮も、原画をできるだけ忠実に再現するためにされるものであって、独自に何かを付け加えるというものではないから、そのような写真は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法211号)ということはできない。
<平成101130日東京地方裁判所[昭和63()1372]>

写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現である。
このような表現は,レンズの選択,露光の調節,シャッタースピードや被写界深度の設定,照明等の撮影技法を駆使した成果として得られることもあれば,オートフォーカスカメラやデジタルカメラの機械的作用を利用した結果として得られることもある。また,構図やシャッターチャンスのように人為的操作により決定されることの多い要素についても,偶然にシャッターチャンスを捉えた場合のように,撮影者の意図を離れて偶然の結果に左右されることもある。
そして,ある写真が,どのような撮影技法を用いて得られたものであるのかを,その写真自体から知ることは困難であることが多く,写真から知り得るのは,結果として得られた表現の内容である。撮影に当たってどのような技法が用いられたのかにかかわらず,静物や風景を撮影した写真でも,その構図,光線,背景等には何らかの独自性が表れることが多く,結果として得られた写真の表現自体に独自性が表れ,創作性の存在を肯定し得る場合があるというべきである。
もっとも,創作性の存在が肯定される場合でも,その写真における表現の独自性がどの程度のものであるかによって,創作性の程度に高度なものから微少なものまで大きな差異があることはいうまでもないから,著作物の保護の範囲,仕方等は,そうした差異に大きく依存するものというべきである。したがって,創作性が微少な場合には,当該写真をそのままコピーして利用したような場合にほぼ限定して複製権侵害を肯定するにとどめるべきものである。
<平成180329日知的財産高等裁判所[平成17()10094]>

「写真の著作物」は,著作権法10条1項8号に列挙された著作物であるところ,同法は,写真の著作物につき特別の定義規定を置いていないが,「写真の著作物」には写真の製作方法に類似した方法を用いて表現される著作物を含むものとし(同法2条4項),その著作者は発行されていない写真の著作物を原作品により公に展示する権利を専有することとし(同法25条),公表や展示の同意に関する特別の規定(同法4条4項,18条2項2号,45条1項)を設けるなど,写真の著作物に特有の,特に美術の著作物に類する規定を置いている。その一方で,写真の著作物の創作性を表現する方法である「写真」については,有形的再生である複製の方法として規定している(同法2条1項15号)ことからも明らかなとおり,写真それ自体が被写体に何らの創作性を加えない場合もあり得ることを同法は予定しているものである。
写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現である。こうした写真の表現方法のうち,レンズの選択,露光の調節,シャッタースピードや被写界深度の設定,照明等の撮影技法を駆使した成果として得られることもあれば,オートフォーカスカメラやデジタルカメラの機械的作用を利用した結果として得られることもある。また,このうちの構図やシャッターチャンスのように人為的操作により決定されることの多い要素についても,偶然にシャッターチャンスを捉えた場合のように,撮影者の意図を離れて偶然の結果に左右されることもある。その写真について,どのような撮影技法を用いて得られたものであるのかを写真自体から知ることは困難な場合もあり,写真から知り得るのは結果として得られた表現の内容ではあるものの,静物や風景を撮影した写真であっても,その構図,光線,背景等,上記諸要素の設定や取捨選択等に何らかの個性が表れることが多く,結果として得られた写真の表現にこうした独自性が表れているのであれば,そこに写真の著作物の創作性を肯定することができるというべきである。
<平成27129日東京地方裁判所[平成27()14747]>

本件各写真は,被控訴人が,本件スカイダイビングに参加していた当時,自らもスカイダイビングの体勢をとり,頭部ヘルメット上に固定したカメラを手元で遠隔操作して,同じくスカイダイビング中の他の参加者等を空中で撮影した写真であって,その際,被控訴人は,事前に,地上の光量と上空の光量との違い,撮影すべき写真の構図及びシャッターチャンス,順光・逆光の選択等その撮影効果を検討,想定し,カメラの露出をセットするなどの準備をした上,スカイダイビング中において,自己及び撮影依頼者の安全に注意し,あらかじめ検討,想定した被写体との距離及び位置関係を保てるよう自己の位置を調整し,最も効果的な構図でシャッターを切る工夫をして撮影したものである。そうすると,本件各写真は,被控訴人において,上記諸要素を考慮して撮影効果を工夫し,自ら構図を決定し,シャッターチャンスをとらえて撮影した写真であるから,被控訴人の思想又は感情を一定の映像によって創作的に表現したものとして著作物性を有するというべきである。
<平成150226日東京高等裁判所[平成14()3296]>

著作物について要求される表現の創作性については、著作者の個性が表現の中に何らかの形で現れていれば足りると解すべきである。
これを写真についてみると、単なるカメラの機械的な作用のみに依存することなく、被写体の選定、写真の構図、光量の調整等に工夫を凝らし、撮影者の個性が写真に現れている場合には、写真の著作物(同法1018号)として著作権法上の保護の対象になるものというべきである。
<平成70328日大阪地方裁判所[平成4()1958]>

一般に写真撮影は機械的作用に依存する部分が多く、精神的操作の余地が少ないものと認められ、この点において他の著作物と趣を異にすることは否定できない。しかしながら、写真の撮影についても、主題の決定、被写体・構図・カメラアングル・光量・シャッターチャンス等の選択について創作性が現れる余地があり、このような創作性が認められる限り、写真の著作物性が肯定されるものと解するのが相当である。
<平成70221日青森地方裁判所[平成4()344]>

写真が,著作権法1018号の「写真の著作物」として著作権法の保護の対象となるためには,それが対象物の単なる機械的複製ではなく,写真の被写体の選定,写真の構図,光量の調節,シャッター速度などの工夫によって,撮影者の思想又は感情を創作的に表現したものと認められることを要すると解される(。)
<平成131011日東京地方裁判所[平成12()2772]>

写真は、誰でもカメラで撮影すれば、現像、焼付等の処理を経ることにより被写体を写し取った写真が出来上がるものであるから、カメラという機械に依存するところが大きく、撮影者の創作性が発揮される部分が小さい。しかし、写真がカメラの機械的作用に依存するところが大きいとしても、被写体の選定、露光の調節、構図の設定、シャッターチャンスの捉え方、その他の撮影方法において、撮影者の個性が現れた創作的表現が認められれば、著作物として保護されるものというべきである(著作権法1018号)。
<平成141114日大阪地方裁判所[平成13()8552]>

写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現であり,そこに撮影者等の個性が何らかの形で表れていれば創作性が認められ,著作物に当たるというべきである。
これを本件についてみると,本件写真素材は,右手にコーヒーカップを持ち,やや左にうつむきながらコーヒーカップを口元付近に保持している男性を被写体とし,被写体に左前面上方から光を当てつつ焦点を合わせ,背景の一部に柱や植物を取り入れながら全体として白っぽくぼかすことで,赤色基調のシャツを着た被写体人物が自然と強調されたカラー写真であり,被写体の配置や構図,被写体と光線の関係,色彩の配合,被写体と背景のコントラスト等の総合的な表現において撮影者の個性が表れているものといえる。したがって,本件写真素材は上記の総合的表現を全体としてみれば創作性が認められ,著作物に当たる。
これに対し,被告は,本件写真素材は,背景,照明・光量,色合いのいずれにおいても多くの類例がみられる平凡かつありふれた表現であり,創作性が存在しないため,著作物とは認められないと主張する。しかし,写真の創作性は,写真を構成する諸要素を総合して判断されるべきものであるところ,背景,照明・光量,色合い等の各要素において,それぞれ似たような例が存在するとしても,そのことは直ちに創作性を否定する理由とはならない。本件写真素材の総合的表現を全体としてみればそこに創作性が認められることは前記のとおりであるから,被告の主張は採用できない。
<平成30329日 東京地方裁判所[平成29()672]>

ところで写真が著作物として認められ得るのは,被写体の選択,シャッターチャンス,シャッタースピードの設定,アングル,ライティング,構図・トリミング,レンズの選択等により,写真の中に撮影者の思想又は感情が表現されているからであり,したがって写真は,原則として,その撮影者が著作者であり,著作権者となるというべきことになる。
これにより本件について見ると,本件写真は,舞のポーズをとった舞妓を,やや斜め左前の位置で,舞妓をごく僅かに見上げる高さから撮影したものであるが,舞を踊るポーズを取る舞妓の表情及び全身を捉える撮影位置,撮影アングル,構図を選択したのは撮影者の原告であり,本件写真は,このことにより撮影者である原告の思想又は感情が創作的に表現されているといえるから,これによりその著作物性が肯定され得る。
< 平成28719日大阪地方裁判所[平成26()10559]>

【スナップ写真】

スナップ写真であっても思想又は感情が創作的に表現されていれば著作物性を認めることができる(。)
<平成27625日東京地方裁判所[平成26()19866]>

【商品紹介写真】

本件各写真は,本件ホームページで商品を広告販売するために撮影されたものであり,その内容は,次のとおりである。
本件写真1は,固形据え置きタイプの商品を,大小サイズ1個ずつ横に並べ,ラベルが若干内向きとなるように配置して,正面斜め上から撮影したものである。光線は右斜め上から照射され,左下方向に短い影が形成されている。背景は,薄いブルーとなっている。
本件写真2は,霧吹きタイプの商品を,水平に寝かせた状態で横に2個並べ,画面の上下方向に対して若干斜めになるように配置して,真上から撮影したものである。光線は右側から照射され,左側に影が形成されている。背景は,オフホワイトとなっている。
以上から,本件各写真には,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているということができる。
(略)
確かに,本件各写真は,ホームページで商品を紹介するための手段として撮影されたものであり,同じタイプの商品を撮影した他の写真と比べて,殊更に商品の高級感を醸し出す等の特異な印象を与えるものではなく,むしろ商品を紹介する写真として平凡な印象を与えるものであるとの見方もあり得る。しかし,本件各写真については,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているのであるから,創作性の存在を肯定することができ,著作物性はあるものというべきである。他方,その創作性の程度は極めて低いものであって,著作物性を肯定し得る限界事例に近いものといわざるを得ない。
<平成180329日知的財産高等裁判所[平成17()10094]>

原告各写真は,原告製品の広告写真であり,いずれも,被写体の影がなく,背景が白であるなどの特徴がある。また,被写体の配置や構図,カメラアングルは,製品に応じて異なるが,原告写真○○については,同種製品を色が虹を想起せしめるグラデーションとなるように整然と並べるなどの工夫が凝らされているし,原告写真△△については,マット等をほぼ真上から撮影したもので,生地の質感が看取できるよう撮影方法に工夫が凝らされている。これらの工夫により,原告各写真は,原色を多用した色彩豊かな製品を白い背景とのコントラストの中で鮮やかに浮かび上がらせる効果を生み,原告製品の広告写真としての統一感を出し,商品の特性を消費者に視覚的に伝えるものとなっている。(中略)そうであるから,原告各写真については創作性を認めることができ,いずれも著作物であると認められる。
<平成27129日東京地方裁判所[平成24()21067]>

本件各写真は,本件各商品を販売するために撮影されたものであると認められるところ,いずれも,商品の特性に応じて,被写体の配置,構図・カメラアングルの設定,被写体と光線との関係,陰影の付け方,背景等の写真の表現上の諸要素につき相応の工夫がされており,撮影者の思想又は感情が創作的に表現されているということができる。
<令和元年918日東京地方裁判所[平成30()14843]>

【工場内全体を撮影した写真】

本件写真は,原告代表者が,R社の工場内の天井,左側壁面及び前方奥の壁面を主な被写体として,これらを写真全体の3分の2程度に大きく取り入れた構図とし,低いアングルから工場内全体を撮影したものであること,②原告代表者は,上記工場内の天井及び壁面にR製品が使用されている状況並びに同工場内にエアコンが設置されていない状況などを表現するために,上記構図及びアングルを選択したことに照らすならば,本件写真は,被写体の構図及びアングルの選択において,撮影者である原告代表者の創作性が認められ,原告代表者の思想又は感情を創作的に表現したものと認められるから,著作物(著作権法211号)に当たるものと認められる。
<平成200626日東京地方裁判所[平成19()17832]>

【夜景の写真】

本件各画像は,いずれも(省略)から眺望した夜景を撮影したものであるが,本件画像1は,長時間露光によって街明かりを写し込み,絞り込むことで手前の街明かりから遠くの街明かりまでピントが合うようにするなどして撮影されたものであること,本件画像2は,シャッターを8秒間開け,被写体のカップルが止まった状態できれいに写るようにタイミングを見計らってシャッターを切るなどして撮影されたものであることが認められる。このように,本件各画像は,絞りやシャッターチャンスの捕捉,構図やアングルなどを工夫して撮影されたものであるから,写真の著作物であると認められる。
<平成31417日東京地方裁判所[平成31()2413]>

本件画像は,夕方に横浜ベイブリッジを中心とする風景を撮影した写真であるところ,手前の陸地が映らないようにされ,横浜ベイブリッジの背後の風景や月が取り込まれるなど,構図,アングル等を工夫して撮影されたものと認められるから,写真の著作物であると認められる。
<令和元年626日東京地方裁判所[平成31()1955]>

本件写真は,原告が,空気の透明度が高い冬季において,天候が良好な日の夜間に,約180度の眺望を有する本件展望台から見ることができる夜景のうち,大阪府内所在のりんくうゲートタワー及びその周辺の建造物の組合せを被写体として選択し,中でも目を引く建造物であるりんくうゲートタワーを構図のほぼ中心に据え,その左右に複数の建造物がそれぞれ配置されるようにして,カメラについては,「70-200mm」のレンズを選択し,レンズ焦点距離を「200.00mm」,シャッター速度を「16.0秒」,絞り値を「f/9」とするなどの設定をした上で,ストロボ発光なしで撮影したものと認められる。
そうすると,本件写真は,原告において,撮影時期及び時間帯,撮影時の天候,撮影場所等の条件を選択し,被写体の組合せ,選択及び配置,構図並びに撮影方法を工夫し,シャッターチャンスを捉えて撮影したものであり,原告の個性が表現されているものと認められる。
したがって,原告が撮影した本件写真及びこれに本件文字を付加して作成した本件写真画像は,いずれも,原告の思想又は感情を創作的に表現したものということができるから,「著作物」(著作権法2条1項1号)に該当する。
被告は,本件写真の被写体であるりんくうゲートタワー及びその周辺の建造物は,屋外に恒常的に設置されているものであるから,これを被写体として撮影しようとすれば,焦点距離や撮影位置,構図等の表現の選択の幅は必然的に限定され,本件写真の構図自体ありふれたものであるから,撮影者の個性が現れたものとはいえず,本件写真には創作性がない旨主張する。
しかしながら,本件写真画像から明らかなように,本件展望台からの眺望は広く,撮影することができる建造物は多数あり,それらから発せられる光も様々であるから,どのような位置から,どのような構図で撮影するか,どの建物に焦点を合わせるかといった選択の幅が限定的であるということはできない。
そして,前記のとおり,原告は,上記の幅の中から1つの撮影位置,構図及び焦点距離を選択した上,さらに,撮影時期及び時間帯,撮影時の天候等の条件についても選択して,撮影方法を工夫し,シャッターチャンスを捉えて撮影したものであるから,本件写真には,原告の個性が現れているものと認められる。
<令和2925日東京地方裁判所[令和2()9105]>

【野球大会の応援風景を撮影した写真】

本件写真は,画像の上半分に野球場のフェンス,その土台及びフェンス越しのグラウンド,下半分にスタンドが写っていて,フェンス側及びスタンド側で画面が斜め(右斜め下方向)に分けられているカラー写真である。スタンドとフェンスの間には,スタンドに向いて起立し,背中を大きくそらし,両手を上方に広げ,口を大きく開けて応援団を統率している学生服姿の女子生徒が写っており,その女子生徒の左側にスタンドの観客席で起立してメガホンを持つなどする学生服姿やユニホーム姿の数名の男子生徒が写っていて,また,女子生徒の右側下部分には試合を観戦する観客数名の後頭部が写っている。
本件写真は,撮影者であるAが,平成17年5月16日,埼玉県営大宮公園野球場で開催された関東地区春季高等学校野球大会における群馬県立桐生高等学校応援団による応援風景を,被写体,シャッターチャンス,撮影方向(アングル),撮影角度を変え,全体の構図を考えながら,デジタルカメラで何枚も撮影したうちの1枚であり,野球場のグラウンド部分と三塁側スタンド部分で画面を斜め(右斜め下方向)に分け,中央に女子生徒を配し,同女が応援団を統率する光景を,スタンド上方斜め右(本塁寄り)から俯瞰する角度で,女子生徒が両手を上方に高く広げる構図を狙って撮影したものである。
このように,本件写真の撮影者であるAは,本件写真の撮影に当たり,被写体の選択や配置,シャッターチャンスの捕捉,アングル,構図等に工夫を加えて撮影しており,撮影者の思想・感情が創作的に表現されているから,本件写真は写真の著作物として著作物性が認められる。 <平成30426東京地方裁判所[平成29()29099]>

【ウェブ広告】

本件広告は,競艇予想サイトである原告サイトのトップページに掲載されたウェブ広告であり,「競艇予想のプロ集団 TOP TREND」という標題の下に,会議室のような場所でテーブルを囲んで着席している8名の人物を被写体とする本件写真が大きく表示されているほか,「徹底!当日主義!!徹底!現場主義!!」,「『勝てる!』『獲れる!』」といったキャッチコピーや説明文が表示されている。
そして,本件広告の構成要素のうち,少なくとも,本件写真については,被写体の選択,構図等において,撮影者の思想又は感情が創作的に表現されているということができるから,写真の著作物として認められるべきものであり,そうである以上,本件広告を全体として見た場合に一定の個性が発揮されていることは否定し難く,本件広告について,著作物性が認められるというべきである。
<令和元年717日東京地方裁判所[平成31()99]>

【自身の両脚をスマートフォンで自撮りした写真】

写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現であり,そこに撮影者等の個性が何らかの形で表れていれば創作性が認められ,著作物に当たるというべきである。
これを本件についてみると,本件写真は,フローリング上にスリッパを履いて真っすぐに伸ばした状態の両脚とテーブルの一部を主たる被写体とし,大腿部の上方から足先に向けたアングルで,右斜め前方からの光を取り入れることで陰影を作り出すとともに脚の一部を白っぽく見せ,また,当該光線の白色と,テーブル,スリッパ及びショートパンツの白色とが組み合わさることで,脚全体が白っぽくきれいに映るように撮影されたカラー写真であり,被写体の選択・組合せ,被写体と光線との関係,陰影の付け方,色彩の配合等の総合的な表現において,撮影者の個性が表れているものといえる。
したがって,本件写真は,創作的表現として,写真の著作物であると認められる。
<平成31228東京地方裁判所[平成30()19731]>

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